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岩橋 大輔 院長の独自取材記事

芦屋訪問クリニック

(芦屋市/芦屋駅)

最終更新日:2024/05/15

岩橋大輔院長 芦屋訪問クリニック main

阪神本線の芦屋駅から徒歩2分。2024年4月1日に開業したばかりの「芦屋訪問クリニック」は、訪問診療と予約制の外来診療をメインに、24時間365日体制で地域の患者の健康を支える。院長である岩橋大輔先生は、もともと海上自衛隊のパイロット。任務を通してもっと近い距離で患者の命を救いたいという思いを抱いたことから、30代で医学部に入学し、医師への道を歩み始めた経歴を持つ。「患者さんには最後の1日まで、自分らしく暮らしてほしい」と語る岩橋院長に、クリニックの特徴や診療に対する思いを聞いた。

(取材日2024年4月23日)

命を救いたいと、海上自衛隊パイロットから医師の道へ

開業までのご経歴を教えてください。

岩橋大輔院長 芦屋訪問クリニック1

医師になる前は、乗り物が好きだったこともあり海上自衛隊にてパイロットをしていました。国を支えるという仕事に日々やりがいを感じつつも、新しい世界にも飛び込んでみたいという思いを抱えていたんです。そんな中、ヘリコプターで急患を搬送する業務に携わる機会があったのですが、搬送後の治療に携わることができない点をいつも歯がゆく思っていました。この経験から、もっと多くの人を自分の手でケアできる「医師」として人生を歩んでいきたいと思い、30代で医学部に入学しました。その後、心臓血管外科にて多くの手術に携わっていたのですが、新型コロナウイルス感染症の流行で家族と会えないまま亡くなる患者さんがいる状況を目の当たりにし、訪問診療の必要性を痛感したんです。患者さんとご家族の方が安心できる生活、納得できる人生を送るためのお手伝いをしたい。その一心で開業しました。

テラスもありすてきな院内ですね。どのような点を意識してつくられましたか?

患者さんだけではなく、働くスタッフも気持ち良く働ける環境をめざしました。多くの方が、人生の大半の時間を仕事に捧げることになりますよね。「職場に行くの嫌だな」と思いながら働くのってとても苦痛ですし、何よりそんな思いを抱きながら患者さんと向き合うことは院長として見過ごせません。私のクリニックで働くことを選んでくれたからには、仕事を通して幸せな人生を歩んでほしいんです。スタッフ自身が幸せであってこそ、仕事に対する意識を高く保つことができ、患者さんを全力でサポートすることができると考えています。そのために、院内に太陽の光が入るようにしたほか、気分転換のためのテラスやゆとりのある診察室を設けました。患者さんが来院したい、そしてスタッフに毎日出勤したいと感じてもらえたらうれしいですね。

導入されている機器に関して教えてください。

岩橋大輔院長 芦屋訪問クリニック2

当クリニックでは、血液検査のための全自動血球計数器を導入しています。訪問診療は患者さんのご自宅で診療することが大半なので、行うことができる検査はどうしても限られます。私自身の医師としての知識、そして経験に基づいて判断することが基本の診療スタイルになるのですが、血液検査用の機器だけは数値として異変を察知するのに役立つので、開業する際は必ず導入しようと考えていました。迅速な処置が必要になる感染症など、一刻を争う疾患の診断時にも有用ですね。

年齢や症状問わず、患者の悩みに「全対応」をめざす

クリニックの理念を教えてください。

岩橋大輔院長 芦屋訪問クリニック3

年齢や症状、生活している環境に縛りをなくし、すべての方に「全対応」することです。患者さんによって歩んできた人生も価値観も違うので、診療に対する希望も人それぞれです。最後の日まで治療を続けたい方もいますし、治療をやめて定期的な経過観察だけを希望される方もいます。正反対の希望ですが、共通するのは「最後まで自分らしく生きたい」ということ。保険診療なので最低限のルールはありますが、コミュニケーションをしっかり取りながら一人ひとりの希望に最大限寄り添い、患者さんが満足する生き方に導くことが私の使命だと感じています。

ご家族のサポートはどのように行いますか?

当クリニックでは、患者さんだけではなくご家族のサポートにも力を入れています。診療内容の説明の際もしっかりと時間を確保し、医師だからこそ持つ知識や情報をお伝えするなど、不安や疑問点を解消できるように努めています。ご家族が遠方にいらっしゃる場合は、電話で随時現状をご報告しますが、将来的にビデオ通話を導入し、患者さんを含めて三者面談のようにお話ができる機会をつくれたらいいなと構想中です。私とだけ話せることもあれば、家族と一緒だからこそ話すことができる感情や思いもあると思うんです。うまく言葉にできないことも、長年一緒に暮らしてきたご家族だからこそ、気持ちをくみ取って代弁できる場合もありますよね。このように、今よりも患者さんとご家族、双方が納得できる方法は他にもないか? という自問を続け、より皆さんのご希望に沿った診療を行えるようにクリニックを成長させていきたいと考えています。

まずは相談だけでも問題ありませんか?

岩橋大輔院長 芦屋訪問クリニック4

もちろんです。この「全対応」には訪問診療を利用されるか悩んでいるご相談者も含んでいます。訪問診療はまだまだ成長途中にあるので「そもそも訪問診療って何?」「この希望は聞いてもらえるのかな?」など不安や疑問点を抱えている方がたくさんいらっしゃると思うんです。そこが解消されていない状況で利用を決めるのってかなり難しいですよね。また、ご自身やご家族の方の命を預けるからには、信頼できる医師じゃないと嫌だと思いますし、実際に直接お話しするからこそ感じることやわかることもあると思います。結果的にご縁がなかったとしても、私としては選択肢の1つとして知っていただけるだけでうれしいことですし、まだ利用予定が明確に決まっていないからと遠慮なさらず、まずは気軽にご相談くださいね。

地域、そして日本中の患者の幸せを願う

訪問診療のメリットは何だと感じられていますか?

岩橋大輔院長 芦屋訪問クリニック5

心落ち着く自宅で、最後の1日まで自分らしく暮らしていただけることだと思います。病気になったら入院して治療を行うことが一般的ですが、医療的な安心感はある反面、集団生活になるのでルールに縛られますし、我慢してもらわないといけない場面がどうしても出てきます。一方で、訪問診療は患者さんとご家族の方の意思に沿って診療を行うものなので、自分らしい生活を送っていただくことが可能です。また、自宅って一番心が落ち着きますよね。旅行中って楽しいけど、いざ家に帰るとほっとするじゃないですか。これと同じで、入院している方からも「やっぱり家が一番」という声をよく耳にするんですよ。終末期を迎え不安を抱えている方も、ご自宅でならルールに縛られず、「自身の意思」を最後まで諦めることなく過ごしていただけるでしょう。このように、訪問診療を通して患者さんの思いを形にしてサポートしていくこと、それが私の使命だと感じています。

今後の展望を教えてください。

私の夢は、もっとたくさんの人に訪問診療の素晴らしさを知ってもらうことです。訪問診療についてはまだあまり知られていなくて、ほとんどの人が入院を唯一の選択肢として考えがちです。また、訪問診療を知っていても、どこか不安に感じる人も少なくありません。もちろん、専門的な治療が必要な場合には病院での入院が適切ですが、訪問診療にはそれだけではないメリットがあります。それは、自宅という慣れ親しんだ環境で愛する家族とともに、自分らしく過ごしながら医療を受けることができるという点です。訪問診療は、皆さんのご希望に沿って行うオーダーメイド診療です。だからこそ、人生の最後の日まで自分らしく過ごすことが望めます。これからも、皆さんに訪問診療を選択肢として考えていただけるよう努めていき、一人でも多くの方が後悔のない人生を送れるようサポートしていきたいと思っています。

そのためにはどうすればいいとお考えですか?

岩橋大輔院長 芦屋訪問クリニック6

訪問診療の普及には、地域の医療機関の連携がとても大切です。入院している方々に訪問診療の選択肢を提案する時、システムや治療方法を知っていなければ、患者さんに適切な情報をお伝えすることができないですよね。だからこそ、医師、看護師、薬剤師、介護士、ケアマネジャーといった、患者さんをサポートするすべての方に、訪問診療の大切さを知ってもらうことが重要だと思っています。また、日々の診療を真摯に行うことはもちろんのこと、勉強会や講演会を開催するなどして、一歩ずつでも着実に前進していきたいと考えています。私のクリニックが良い例となり、これを通じて日本中に訪問診療の素晴らしさが広がり、もっと多くの方が自分らしい人生を楽しめるようになることを願っています。

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