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門脇 秀和 院長の独自取材記事

秀黄内科クリニック

(松江市/松江駅)

最終更新日:2023/12/11

門脇秀和院長 秀黄内科クリニック main

松江市幸町の住宅や商店が並ぶ一画に、モダンな雰囲気の白い建物が目を引く「秀黄内科クリニック」はある。2023年10月7日に開業したばかりだが、昨今珍しくホームページは作っていない。院長の門脇秀和先生は「今時ホームページもないなんて、とよく言われます」と明るく笑う。それでも、患者がわかるまで懇切丁寧に説明する“門脇流”の診療姿勢がクチコミで静かに広がり、松江市内はもちろん遠方からも患者が訪れる。飛び込み営業でやってきたサラリーマンも、改めて自身の健康相談に来るというから驚きだ。めざすのは、何でも気軽に相談できる「近所の兄ちゃん」という門脇先生に、クリニックのコンセプトから、“門脇流”の診療、重視しているという予防医学についてまで、たっぷりと話を聞いた。

(取材日2023年10月30日)

家族のように、いつでも何でも相談できるクリニック

まずは開業までの経緯を教えていただけますか。

門脇秀和院長 秀黄内科クリニック1

私は、2001年に島根医科大学を卒業し、東京で研鑽を積んだ後に、島根県の東西の一般病院で内科の医師として地域医療に従事してきました。医師として約20年やってきたところで、やはり地元に恩返しをしたいという気持ちが膨れ上がり、この度の開業に至りました。クリニックの場所は、私の実家から徒歩15分ほどのところで、まさに“地元”なんですよ。幼い頃からお世話になってきた地で、開業医として自身が中心となって地域医療を担っていけたらと思っています。医師としての知識やこれまでの経験で培った観察力を駆使して、地域の皆さまの生活や健康を支えていきたいです。

クリニックのコンセプトを教えてください。

「患者の家族となり、その生活に寄り添う」ことを基本理念として掲げています。地域の住民が求めている医師というのは、医療や健康に関する相談がいつでもできて、わからないことや不安なことに対してしっかり説明してくれる、そういう医師ではないかと考えています。当院では、病状を把握できて信頼関係ができた方を「かかりつけ患者」と呼んでいます。内視鏡などの特別な検査は別にして、普段の健康管理を私に任せてくれるということなら「私はかかりつけ医で、あなたはかかりつけ患者さんだね」とお話するんです。「かかりつけ患者さん」と呼ばれた方は、他の病院でより専門的な内容でかかられていても、このクリニックでも診れる病状については相談にのります。「お金が取れないセカンドオピニオンだな」と同僚にはどやされていますが、これでいいんです。「家族」なのですから。

例えば、救急車を呼ぶべきか迷うようなときも、対応していただけるということでしょうか?

門脇秀和院長 秀黄内科クリニック2

もちろんです。困ったときに何でも聞ける「近所の兄ちゃん」と思っていただければいいかなと。例えば、肺炎で入院するかどうか判断が難しい患者さんがいたとして、ご本人は入院したくないという場合、毎日電話をして、きめこまかく病状を聞いて対応します。入院しているのと同じように、安心して療養していただけたらうれしいですね。勤務医として内科一般や救急科外来、病棟管理にまで携わってきた経験を生かして、当院でもできる限り入院と遜色ない治療をしたいと考えています。さらに、クリニックの外でも必要な医療を提供したいという思いから、MEOR構想の実現をめざしています。

患者一人ひとりと、真摯にじっくり向き合いたい

「MEOR」構想とはどのようなものでしょうか?

門脇秀和院長 秀黄内科クリニック3

「Matue Emergency Outpatient Room」の略で「松江の緊急の外来室」という意味です。マラソン大会やイベント、介護施設などに私自身が出向いて、クリニックと同様の診療を提供するというもの。少し前に手術室機能を備えた緊急車両が活躍する医療ドラマがありましたよね。あれほど大がかりな手術はできませんが、小さな傷の縫合や点滴、採血、心電図・超音波検査は可能ですし、軽症の内科疾患にも対応できます。何よりも医師が現場で、自分の目で見て、診て、しっかりと観察した上で、緊急性を判断することが大事だと考えています。勤務医時代、緊急性は高くないのに気軽に救急科外来を受診する人がいる一方で、すぐに受診してほしい方はなかなか来ないというジレンマを抱えていました。ならば、「医師が現場に行けばいいのではないか」と考えたんです。すべてに対応できるわけではありませんが、ぜひ実現していきたいですね。

日々の診療で大切にしていることを教えてください。

とにかく説明に時間をかけるということ、これに尽きると思います。例えば感染症1つとっても、原因が細菌とウイルスの場合では症状も経過も違います。風邪の際によく処方される抗生物質ですが、細菌感染症には効果が見込めますが、ウイルス感染症の場合には適さず、多くは症状を和らげるための薬を処方し自然治癒を待つことが多いです。こういうこともすべて説明しておかないと、患者さんは不安になって再受診してしまう。その方の体がどういう状態で、これからどうなるのか、病気のメカニズムまで説明するのが仕事だと思っています。よく「何かあったらまた来てください」と言われますが、私は「こういう経過なら自宅療養で頑張れる。でも、こういう症状が出たら来てください」と具体的に指示します。カルテも全部患者さんに見せながら説明するんですよ。支払い明細についても「今日は診察と血液検査で、大体〇円くらいになります」と、項目ごとに説明します。

支払い明細まで説明されるとは驚きです。

門脇秀和院長 秀黄内科クリニック4

私にとっては、もうこれが当たり前なんですよ。20年近く医師として働いてきた中で、おそらく半分以上の時間を患者さんへの説明に割いていると思います。単なる風邪でも健康診断の結果でも、事細かく説明します。健診の結果を10年分持ってこられた方には、10年分の結果と経過についてしっかり説明をしますから。患者さんは「こんなに説明してもらったことはない」と思われるかもしれません。患者さん一人ひとりとじっくり向き合いたいという気持ちから完全予約制にしていますが、もちろん予約なしの方も大歓迎です。クチコミでいらしたというのは、ある程度、私のやり方をわかって来てくれるのかなと。「面白い先生だな」「この先生なら付き合えるな」と思って来てもらえるのが一番ですね。

健康寿命を延ばすための言葉の力とは

予防医学にも力を入れていると伺いました。

門脇秀和院長 秀黄内科クリニック5

健康寿命を延ばすために、40代~60代の方には、より早い段階でご自身の体に関心を持っていただきたいと考えています。まず肥満がある方にはダイエット、喫煙されている方には禁煙を強くお勧めしています。また、当院では食事についてのアドバイスも行っています。糖尿病や腎臓病などの方への食事指導だけではなく、おなか周りが気になるという中高年の方や、食が細くなった高齢者、あるいは本格的にスポーツに取り組んでいる中高生などに対しても、医学的な立場から食事や栄養に関するアドバイスをします。万病に効く薬はありませんが、食事や栄養というのは、いい意味でも悪い意味でも万病に関わってくるもの。大切にしていただきたいですね。

運動についてはいかがでしょうか。

私はジョギングが趣味で各地のマラソン大会にも参加しているんですが、ダイエットをしたい人には、1回4km、週に2回ジョギングしなさいと言っています。平日に1回、週末に1回で、週2回走れます。健康を守るために、患者さんの行動変容を促すことも医師の仕事の1つだと思うんですよ。そして、人を動かすためには、時には厳しい言葉や、適切に不安をあおるような言葉が必要なこともあると思います。「高血圧をこのまま放っておくと、大変なことになるよ」とかですね。救急科外来に従事した経験をもとに、リスクや危険性について真剣にお話ししています。私は患者さんとは真っすぐ正直に話をしたいし、応えてくれる患者さんにはもっと還元していきたい。そうやって一生付き合っていくのが理想です。

最後に読者へメッセージをお願いします。

門脇秀和院長 秀黄内科クリニック6

生活の中で、ご本人はもちろん、ご家族や周囲の方が「違和感」を感じることがあると思います。わずかな違和感や気づきから、いろいろな発見につながることもあります。まずは躊躇せずにご相談ください。問題ないことであれば、その時は「安心」という心のお薬を差し上げます。遠慮はいりません。何せ私は「近所の兄ちゃん」ですから。「ご自身の身体」に興味を持っていただき、私とともに他愛のない会話でもしながらご自愛いただけるとうれしいです。

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