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大橋 博樹 院長の独自取材記事

多摩ファミリークリニック

(川崎市多摩区/登戸駅)

最終更新日:2023/08/30

大橋博樹院長 多摩ファミリークリニック main

登戸駅から徒歩5分ほどの場所に位置する「多摩ファミリークリニック」。2010年の開院以来「地域のニーズに応えること」をモットーに、医師のみならず、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、事務職員などスタッフ体制を拡充。内科と小児科、外科の外来と訪問診療の両面から地域住民の健康を支えている。家族全員の健康に関わる「家庭医療」の専門家である大橋博樹院長は「常に地域の皆さんのニーズに反応し、応えられるよう変化していくクリニックでありたい」という。その結果、オンラインの活用など診療面だけではなく、子育てママのサポートや健康相談など、さまざまな活動を展開しているという。そんな大橋院長に、家庭医療の特徴や同院での特徴的な取り組みについて詳しく聞いた。

(取材日2023年3月29日)

家庭医療を専門とし、地域の健康問題に取り組む

まずはクリニックが取り組む「家庭医療」について教えてください。

大橋博樹院長 多摩ファミリークリニック1

日本でかかりつけ医と呼ばれる町の先生方の多くは、もともと何らかの専門をお持ちです。循環器や消化器などの分野の研鑽を積み、大学病院や市中病院で活躍されたあと、地域医療に携わります。一方、私たち家庭医療を専門とする医師は、最初から地域において一般的な病気全般を診断できるよう研鑽を積むんです。国内ではまだまだ少ないようですが、アメリカでは40年以上の歴史を持つ医療分野。約2割の医師が最初から家庭医療を専門として選んでいます。私たちは家庭医療に携わる医師を「家族全員のお抱えの医者」と呼んでいますが、子どもの診療から高齢者の訪問診療まで家族単位で診ることで、地域が抱えるさまざまな健康問題に対応できるのではないかと考えています。

だからこそ新型コロナウイルス感染症などにも積極的に対応されたのですね。

いかに患者さんをお断りせずに診るかということに尽力してきたので、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、発熱者用の外来を設けて対応しました。少しずつ日常が戻ってきましたが、まだまだ通院には不安がある方はいらっしゃいますし、子育てや仕事で受診しづらいという方も多いので、今後はオンライン診療にも力を入れていきたいと考えています。当院は小児科があり土曜日は非常に混雑します。それと同時に働いている方にも週末のお休みに受診したいというニーズは確かにあります。ですからオンライン診療の幅を広げることで、外来でいらっしゃる方、受診時間が限られている方の双方にメリットが創出できるのではないでしょうか。

家庭医療が患者さんにもたらすメリットについてもお聞かせいただけますか?

大橋博樹院長 多摩ファミリークリニック2

当院には3世代で通っていらっしゃるご家族が多いのですが、中には4世代にわたる世帯もおられます。訪問診療を行っているため、ご高齢の患者さんを在宅で診察したついでにお孫さんの予防接種の相談を受けることも可能です。家族全員を診ていると家庭環境の変化によって起きる病気にも気づきやすく、例えば義理の両親と同居している方が風邪で来院されたとします。私たちは患者さんの家族も診ているので、その原因がお義父さんの介護疲れからきているのではないかという推察ができますよね。単に治療を行うだけではなく、休息できる時間をつくるなど一歩踏み込んだ提案につながっていきます。こうした家庭背景までを考慮した動きは、家庭医療を専門としている当院の強みだと思っています。

さまざまな専門家が連携し幅広い診療や院外活動を展開

複数の医師が在籍しているのもクリニックの大きな特徴ですね。

大橋博樹院長 多摩ファミリークリニック3

在籍している医師全員が家庭医療の専門家ですから、根本的な考え方が同じであるというのは一つの特徴です。同じ医師が同じ患者さんを診続けるというのも、変化を見逃さないという点において重要なのですが、それ以上に多くの医師がいることで多面的な診療が可能です。担当医師が気づいていないところに気づけるというチェック機能はもちろん、神経難病や腹膜透析、末期がんなど重症の方の訪問診療ができますし、新型コロナウイルス感染症の患者さんの受け入れもリスクを取れる体制があったからこそ。それはもちろん医師だけではなく、多くのスタッフ、そして院外の医療従事者の皆さんの協力によって支えられています。

看護師や薬剤師など、ほかのスタッフも活躍されていますね。

医師や看護師、薬剤師のほか、医療ソーシャルワーカー、事務スタッフ、ドライバーなど、多職種がいるからこそ幅広い診療が可能ですからね。多職種が連携し、それぞれの視点だからこそわかることを大切にして、結果として患者さんのためにという方向に向かっていくことが重要だと考えています。2023年に入ってからは、院外との連携を強化するため各事業所や行政とのパイプ役となる専任のコーディネーターがチームに加わりました。患者さんのニーズだけではなく、地域のニーズに応えるためには医師だけではカバーできません。患者さんの課題も地域の課題も同様にチームで取り組むため、スタッフ全員が忌憚なく意見を交換できるよう環境を整えています。

多職種連携があるからこそ、院外活動も盛んだと伺っています。

大橋博樹院長 多摩ファミリークリニック4

診療においても薬剤師や看護師に相談できる窓口を設けていますが、それだけでは地域のニーズには応えられません。以前から「健康よろずカフェ」と称した健康相談会を開催していますが、肩肘張ったものではなくスタッフとランチを取りながら気軽にお話ができるように工夫しています。新型コロナウイルス感染症の流行で中断せざるを得ませんでしたが、復活に向けて取り組んでいるところです。ほかにも育児中のママをサポートする活動に着手しています。子育て中のママは産後うつなどのリスクを抱えており、なかなか受け皿がありません。だからこそクリニックだけではなく地域で支えられるような体制を構築しなければならないと考えています。

地域のニーズに応えるため変化し続けるクリニックへ

診療の際に心がけていることはありますか?

大橋博樹院長 多摩ファミリークリニック5

一人の人間として接することを大切にしています。たとえ話ですが、長年会社の役員として一生懸命働き、部下からも尊敬されていた方が高齢で寝たきりになってしまったとします。病院では年下の医師や看護師から「おじいちゃん」と呼ばれることがありますが、その呼び方だけでも傷つけてしまうことがあるんです。フレンドリーな接し方を好まれる場合もあるので臨機応変な対応が必要ですが、最初は誰に対してもきちんとした態度で接するようにしています。それに医師一人ですべてを抱え込むとスムーズな診療が難しくなるので、看護師や薬剤師らスタッフと役割分担をしながら、それぞれの立場から患者さんの変化などを共有してもらっています。

患者さんとの印象深いエピソードがあれば教えてください。

幼い子どもから高齢の方まで診察しているので、ご家族の出来事に寄り添わせていただく機会は多いかもしれません。当院で乳児健診を行っていた赤ちゃんが小学校に入学したり、避妊や性病に関する話をしていた高校生から無事出産の報告をいただいたり。世代の移り変わりをご家族と一緒に経験させていただけるのは本当に貴重なこと。緊急で往診で行く際には家族もすっぴんだったり部屋着のままだったりすることもあって、ある種、医師というよりは家族や親戚のように感じてくれているのかなと思うこともあります。気軽に話せる関係を築けているのはうれしいですね。

最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

大橋博樹院長 多摩ファミリークリニック6

子どもから大人までを診療する当院だからこそ、本当の意味での地域包括ケアを多摩地区で実践するお手伝いをしたいと思います。地域包括ケアを受けるべき人は高齢の方に限らず、障害のある方、医療ケア児などさまざまです。当院だけで何かをやるのではなく、多摩地区の地域包括ケアに関わる人たちをワンチームにしていく取り組みや仕かけをつくっていきたいですね。地域のニーズは変化するものですから、皆さんのニーズに敏感に反応し、応えられるよう常に変化していくクリニックでありたいと思います。

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