スギ花粉やダニによるアレルギー
根治をめざす舌下免疫療法とは
なかの耳鼻科・美容皮ふ科
(福岡市城南区/別府駅)
最終更新日:2023/12/14
- 保険診療
多くの現代人が悩まされている疾患の一つに、アレルギー性鼻炎がある。花粉やダニ、ハウスダストなど身近な原因で発症し、つらい症状が日常生活に及ぼす影響は大きい。忙しい人の中には、市販薬を使用しながら生活しているという人も少なくないだろう。子どもから大人まで、さまざまなアレルギー性鼻炎に悩む患者が通う「なかの耳鼻科・美容皮ふ科」では、一人ひとりの症状や年齢、生活環境に合わせて最適な治療法の提案をめざしている。中野貴史院長は「現在は、症状を抑えるための薬の服薬以外にも、アレルギーに対し根本からアプローチする方法など、幅広い治療の選択肢があることをお伝えしています」と語り、医療機関への受診を呼びかける。アレルギー性鼻炎の種類や検査方法、アレルギー症状の根治を図る舌下免疫療法について詳しく話を聞いた。
(取材日2023年11月22日)
目次
内服薬や舌下免疫療法、皮下注射など、適切な治療法を提案し、生活への影響を最小限に抑えることをめざす
- Qアレルギー性鼻炎の種類や症状について教えてください。
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A
鼻はウイルスや細菌、アレルギーの原因物質が入ってくると、それらを追い出そうと防御機能が働きます。防御機能が過剰に反応してしまった結果、鼻水や鼻詰まり、くしゃみ、目のかゆみなどが断続的に現れるのがアレルギー性鼻炎です。鼻詰まりが悪化すると副鼻腔炎を引き起こすこともあります。アレルギー性鼻炎は大きく2つ、スギやヒノキによる季節性のものと、季節と関係なくダニやハウスダスト、ペットの毛などが引き起こす通年性のものに分けられます。季節性のアレルギー性鼻炎は、花粉症といったほうが聞きなじみがあるでしょう。花粉症とアレルギー性鼻炎を別物と捉えている方が多いのですが、花粉症はアレルギー性鼻炎の一種になります。
- Qこちらではどのようなアレルギー治療が受けられますか?
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A
基本となるのは内服薬や点鼻薬、漢方薬を用いた治療法です。アレルギー症状に対して市販薬を使用される方もいますが、耳鼻咽喉科では市販薬よりも強い成分を含み、より高い効果が見込まれる薬や、眠気などの副作用の少ない薬を処方することが可能です。市販薬の中には長期間服用すると症状がかえって重症化してしまうものもあり、注意が必要です。薬以外にも、根本的な体質改善をめざす舌下免疫療法という治療法は、それまで使用していた薬を減らすことが期待できます。そのほか当院ではアレルギー反応を起こしづらくするために鼻の粘膜を焼く鼻粘膜焼灼術や、スギ花粉が飛散する期間には、スギ花粉症の患者さんに対する皮下注射も行っています。
- Qアレルギー性鼻炎の検査方法について教えてください。
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A
検査の方法は、採血によるものと鼻水の成分を調べるものの2つがあります。ほとんどの場合、採血による検査を行います。小さな針で指先から血液を1滴採取するだけで検査ができるため、お子さんや注射が苦手な方でも無理なく行うことができるでしょう。約30分でダニやハウスダスト、花粉、動物、食べ物など合わせて41項目の中にアレルギーがあるかどうかがわかります。来てもらったその日のうちに診断から治療方針の決定までを行えますよ。自分にどのようなアレルギーがあるのかを知ることが、その方に合った治療法を探す第一歩といえますので、まずは気軽に検査を受けてもらいたいと思います。
- Q舌下免疫療法とは、どのような治療法なのでしょうか?
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A
アレルギーの原因となる少量のアレルゲンを抽出したタブレットを舌の下に置いて、1分~2分たった後に飲み込む。これを毎日繰り返すことで、少しずつアレルゲンに体を慣らしアレルギー症状を抑えていくことをめざすという治療法になります。現在、保険適用で処方が認められているのは、スギ花粉とダニによるアレルギー性鼻炎のみ。飲み薬や注射のような症状に対する即効性を期待するものではなく、少なくとも3年から5年かけて体質そのものにアプローチしていき、アレルギーそのものの根治をめざしていきます。小学生くらいのお子さんから治療が可能で、舌下免疫療法を長く続ければ続けるほど、再発リスクの低減につながると考えられています。
- Q舌下免疫療法はどのような人にお勧めですか?
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A
妊娠中で使える薬に制限のある女性や、眠気など薬の副作用に悩んでいる方、薬の効果を感じづらい方に適した治療法になります。あとは、受験を控えるお子さんについても、早い段階で始めることができれば、受験が近づいた時にアレルギー症状を気にせず勉強に集中できるという効果も期待できます。ただ、メリットも多い一方で、必ずしもすべての人に効果が見込めるわけではありません。さらに、最初の数ヵ月はアレルギー反応の副作用があること、長期間の治療が必要になること、そして、アレルゲンを摂取する前後2時間は飲酒や運動を控えなければならないといった点についても、患者さんには理解してもらい、治療に臨んでいただきたいと思います。