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石川 千紗都 院長の独自取材記事

いしかわ心臓クリニック

(奈良市/富雄駅)

最終更新日:2024/05/16

石川千紗都院長 いしかわ心臓クリニック main

富雄駅に程近い、モダンなビルの1階にある「いしかわ心臓クリニック」。心臓と名がつくクリニック名は、石川千紗都院長が「循環器」ではわかりにくいと、こだわった部分だ。幼い頃に体が弱かったことから医療に興味を持ち、医師を志した石川院長。循環器内科を専門に選んだのは、重病で運ばれても処置の仕方次第で回復が見込めるという点に魅力を感じたからだという。クリニックには、リハビリテーション室を備え、心臓リハビリテーションの専門知識を持った理学療法士が2人在籍。20年間、勤務医として重症の心疾患の患者と向き合ってきた石川院長は、「その経験があったからこそ予防の大切さを痛感し、心臓病の予防にやりがいと面白さを感じています」とほほ笑む。石川院長に、取り組んでいる新しい試みや心臓病の予防についてじっくり話を聞いた。

(取材日2024年4月5日)

専門を打ち出すためクリニック名に「心臓」とつける

開業しようと思った理由を教えてください。

石川千紗都院長 いしかわ心臓クリニック1

ずっと勤務医として働こうと思っていたんですが、知り合いの心臓リハビリテーションを行っているクリニックを見学することがあったんです。その時に今までやってきた急性期の治療から、病気を予防する予防医学と退院後の体力づくりなど、患者さんの生活に寄り添った治療を行うことができるようなクリニックを作りたいと思い、開業することにしました。2022年の9月に場所を探し始めて、10年以上空いていたこの場所を見つけました。富雄という地域を選んだのは、近畿大学奈良病院の患者さんが通える距離であったことと、15年奈良に住んでみて、この地域に愛着があったからです。駅からも近いので、通院しやすいのではと思います。

心臓クリニックというクリニック名は珍しいですね。

「循環器」が何かわからないという人がすごく多いので、「心臓クリニック」にしたいと思ったんです。当初、クリニック名に心臓とつけるのは保健所から許可が下りなくて、「慣例的には循環器内科にしてください」と言われましたが、理由を説明したところ、最終的には許可をいただきました。「心電図検査で引っかかったけれど、どこに行っていいかわからない」「大学病院に行くほどじゃないけど心臓が気になる」など、心臓に何かしら不安を持つ方たちが、インターネットで「心臓」というワードで検索し、ここへ来てくださっています。遠方の生駒市や奈良市からも来られていますね。逆に、「風邪や腹痛で来てもいいのかわかりにくい」とは言われますが、一般内科の診療も行っていますので、もちろん来ていただいて大丈夫です。

患者層と主訴を教えてください。

石川千紗都院長 いしかわ心臓クリニック2

若い方から80代、90代まで幅広いですね。疾患としては、若い方なら不整脈、あとは健診の心電図検査で問題があると言われた方が多く、中高年世代は高血圧症などで定期的に通院されている方が中心です。手術が必要な場合には周りの病院に紹介できる体制を整えています。当院が休診となる水曜の午後は、私が近畿大学奈良病院に行って外来を行っています。

心臓リハビリテーションに力を入れる

院内のリハビリテーションの設備が充実していますね。

石川千紗都院長 いしかわ心臓クリニック3

勤務医時代に感じていたのは、治療後の患者さん方に「家でどう過ごしていいかわからない」という人がすごく多いことでした。治療して心臓は問題ないのに、退院後の患者さんたちの体力が弱っていく状況を知り、体力づくりが必要だと思いました。当院で行っているのは心臓に焦点を当てた「心臓リハビリテーション」というものになります。過去に心臓の病気にかかった人や心臓の手術を経験した人が、無理なく行える運動を指導しています。心臓病の既往患者さんは再発が怖くて、家に閉じこもって筋力が落ちていく人が多く、そういう人を対象にしています。奈良では外来で心臓リハビリテーションを行うクリニックがまだ少ないので、当院で積極的に取り組みたいと思いました。

心臓リハビリテーションについて、詳しく教えてください。

「主治医の先生から、『運動しましょう』と言われるんですが、どのくらいまでやっていいかわからない」という方は多くいらっしゃいます。皆さんどうしても、また発作が起きるのではという不安があるのだと思います。当院では、心臓リハビリテーションの専門知識を持った理学療法士が2人在籍しており、看護師がそばについて、心電図や血圧を確認しながら運動の指導をしています。「ここまでなら大丈夫」というのをきちんと見極めながら指導していくので、安心して運動できると思います。また、運動する間に「心不全とはこうやったら悪くなりますよ」「こういう食事をしましょう」というような、生活面でのアドバイスを行い、短い診察時間では私が伝えきれないことをフォローして伝えてくれるので、運動しながら知識も得られると思います。

院内にマッサージ室もあると聞きました。

石川千紗都院長 いしかわ心臓クリニック4

リハビリテーション室の後ろはマッサージ室になっていて、マッサージを行うスタッフが常駐。その他にもさまざまなマッサージ専用機器をそろえています。筋肉の緊張や痛みをとるのも大事なことだと思うので、患者さんにはさまざまなマッサージを提供しています。それと一緒に、心臓は悪くなく高血圧症や脂質異常症の方で、軽く運動をしたいという患者さんに、診察の帰りにトレーニング機器の利用をしていただくこともできます。使い方を説明するスタッフも常駐していますのでご安心ください。

治療からリハビリテーションまで、トータルで診たい

下肢静脈瘤の治療にも注力されているそうですね。

石川千紗都院長 いしかわ心臓クリニック5

下肢静脈瘤の診察も行っています。足のむくみを診るクリニックが少ないこともあって、静脈瘤や、あとは足のむくみに悩む女性が多く来られます。手術が必要なら近畿大学奈良病院で私の担当日に手術をしますし、血流が悪い場合は弾性ストッキングの装着をご提案します。静脈瘤があると血栓ができやすくなり、エコノミー症候群にもなりやすくなります。今は簡単に日帰りで手術ができますので、手術か、ストッキング装着か、患者さんに選択肢をお伝えして、相談しながら決めていきます。足のむくみに悩む患者さんには、足用のマッサージ機器も備えていますのでお勧めしています。

医師をめざしたきっかけと、循環器を選ばれた理由を教えてください。

中学生の時には医師を志していました。小さい頃は体が弱く、どうして私は体が弱いのかなという疑問から医学に興味を持ちました。循環器を選んだのは、心筋梗塞や心肺停止の状態で運ばれてきた人でも、素早く適切に治療を行うことができれば、回復が図れるところに魅力を感じたからです。循環器疾患は最初の治療が非常に大事なんですね。しかし、その治療が失敗に終わると命がなくなるというシビアな側面も併せ持ちます。人の命に関わるからこそやりがいがある分野だと思い、循環器の道に進みました。素早い処置をして改善を図る心臓の治療にすごく魅力を感じています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

石川千紗都院長 いしかわ心臓クリニック6

今まで20年間病院で勤務してきて、心疾患の重症例を数多く診てきました。そこで、予防医学に取り組みたいと思いました。1回病気になって再発防止に努めるよりも、まず病気にならない体をつくることが大事だと思ったんです。高血圧があっても、そこから心臓病にまでいかせないというのが、今の私の目標です。コレステロール値が高い、血圧が高いという患者さんに「このままでは心臓病につながります」と説明をして、「そうならないために今ここで生活を変えて、運動しましょう」といった話ができることに、今一番やりがいを感じます。それと、大学病院時代の患者さんが来てくださるんですが、「当時よりも今のほうが先生との距離が近く話しやすい」と言ってくださいます。そういう会話がしやすい今の環境を大事にして診療していきたいですね。

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