糖尿病・生活習慣病の早期治療で
重篤疾患の発症リスク軽減を図る
日下診療所
(荒川区/南千住駅)
最終更新日:2024/01/19
- 保険診療
膵臓で作られるインスリンの機能が不十分になることで引き起こされる「糖尿病」。悪化すると目・腎臓・神経にも影響を及ぼし、失明の原因になったり、人工透析が必要になったりすることもある怖い病気だ。2023年10月開業の「日下診療所」の石田和也理事長によると、糖尿病は高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病とも関連性があるという。石田理事長はこれまで、糖尿病や高血圧症で血管がダメージを受け、脳梗塞や心筋梗塞で倒れて運ばれてきた患者を数多く診てきたそうだ。いずれも初期症状はほぼないが「健康診断の結果にチェックがついたら、迷わず受診してほしい」と注意を呼びかける。石田理事長に、糖尿病のメカニズムや、生活改善を長く続けるための工夫について話を聞いた。
(取材日2023年9月13日)
目次
糖尿病など生活習慣病が疑われる場合には、放置せずに受診を。早めの生活改善が、数十年後のリスクを減らす
- Q糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?
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A
インスリンの機能が不十分になり、血液中の糖の濃度が高くなってしまう病気です。インスリンとは膵臓で作られるホルモンで、これにより血糖値がコントロールされているのですが、大きく2つの要因でその働きが弱まってしまいます。1つは、インスリンの分泌量が低下してしまうこと。そしてもう1つは十分に分泌されているのに抵抗性によって機能しなくなってしまうことです。多くの場合、その原因は偏った食事や運動不足といった生活習慣の乱れです。初期段階での自覚症状はほぼありませんから、注意が必要です。
- Q放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか?
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A
糖尿病が進行すると、疲労感や喉の渇きなどの症状が表れ、さらに悪化すると目・腎臓・神経にも影響を及ぼします。失明の原因になったり、人工透析が必要になったりすることもありますね。また糖尿病は高血圧症や脂質異常症とも関連性があり、どれか一つにあてはまる方は、他の生活習慣病の症状も見られることが多いです。糖尿病や高血圧症で血管がボロボロになり、中性脂肪で血液がドロドロになれば、脳梗塞や心筋梗塞を起こしかねません。その他にも、例えば骨折の治療が必要になった際に糖尿病だと判明したら、まずは血糖値の改善が優先され、骨折の治療がスムーズに進みません。このように、他の病気への影響も出てくるのです。
- Qこちらで行う糖尿病治療について教えてください。
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A
現代では、糖尿病に対するさまざまな飲み薬や注射が開発されていますので、症状や年齢に応じて使い分けていきます。インスリンの分泌量が少なかったらそれを補うための薬を、抵抗性により機能しない場合にはそれの改善を図る薬を処方するといった具合ですね。このほか、インスリンに機能せず、尿から糖の排出を促す方法や、起床時や食後の血糖値をコントロールするための方法も検討する必要があります。いずれの場合も大切なのは、腎機能を確認しながら治療を進めること。薬にも強さや段階がありますので、特にまだ予防できる段階であればすぐに薬は使わず、まずは食事や運動の改善から始めます。
- Q日頃から運動や食事に気をつけることが大事なんですね。
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A
食事と運動は健康な体づくりの基本です。ですが、ただカロリーを抑えれば良いというわけではなく、内容を考えながら取ることが重要です。「甘くないから良いだろう」とおせんべいを大量に召し上がる方もいらっしゃいますが、おせんべいはお米からできています。糖尿病を悪化させないためには、炭水化物や甘い炭酸飲料はほどほどにしたいですね。また運動といっても大がかりなことをする必要はありません。1日20~30分、週にトータルで150分間のウォーキングから始めてみてください。初期段階ならば食事や運動に気をつけるだけで血糖値の改善が見込めるケースもありますし、併せて血圧や中性脂肪値の低下も期待できます。
- Qどのようなタイミング・症状で受診すれば良いのでしょうか?
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A
健康診断でチェックがついた、ご家族に糖尿病の方がいる、という方は早めに相談にいらしてください。働き世代の方は「症状もないし、自分には関係ない」と思われるかもしれませんが、糖尿病も高血圧も知らないうちに進むもの。実際に私も、糖尿病を放置した結果、脳梗塞を起こして運ばれてくる方を何人も見てきました。しかし糖尿病や高血圧は、早くから意識して行動すれば予防が図れるんです。症状が出る前に受診し、ご自身の状態を知ることが数十年後のリスクを減らすことにつながります。