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荒木 俊介 院長の独自取材記事

はぐむのあかりクリニック

(北九州市八幡西区/穴生駅)

最終更新日:2023/12/13

荒木俊介院長 はぐむのあかりクリニック main

筑豊電気鉄道線・穴生駅より徒歩2分の場所に、2023年5月に開業した「はぐむのあかりクリニック」。“地域の子どもを育み、希望や明かりをともす”という想いを込め、院長の荒木俊介先生が名づけた。荒木院長は約18年間、産業医科大学病院のNICU(新生児集中治療室)や小児科で勤務してきたドクター。「NICUでの勤務をきっかけに、子どもたちの体だけでなく、発達や心の問題にも目が向くようになりました」と語るように、同院では一般小児科の外来を足がかりに、内分泌疾患、成長障害、神経発達症と専門的な診療を展開。全世代対応の訪問診療にも力を注ぐ。「病気に限らず子どもや子育てで困ったことがあったら気軽にいらしてください」と語る荒木院長に、診療内容や診療方針などについて詳しく聞いた。

(取材日2023年6月2日)

地域の子どもを育み、希望と明かりをともすため

先生のご経歴や開業の経緯を教えてください。

荒木俊介院長 はぐむのあかりクリニック1

2001年に産業医科大学医学部を卒業後、そのまま大学の小児科に入局しました。医師になって23年目になりますが、そのうち約18年間は産業医科大学病院に在籍し、主にNICU(新生児集中治療室)で、さまざまな新生児疾患に24時間体制で対応していました。その後、埼玉医科大学総合医療センターや、宗像にある障害児や高齢者への在宅医療を専門に行うクリニックで経験を積んだ後、当院を開業しました。この場所に開業したのは、産業医科大学病院に近く、大学病院を退院した子どもたちの成長を、今度は外来や訪問診療というかたちでサポートしていきたいと考えたからです。また近隣には産業医科大学病院のほか九州病院もあり、これらの病院と連携が取りやすい点もメリットだと考えました。

ぬくもりを感じさせる院内の雰囲気ですね。

待合スペースにある大きな木は、当院のシンボルツリーなんです。本棚も置いていて、そこに並べる本のセレクトもこだわっています。私はうきは市のとある本屋さんが好きで、そこから調達したんですよ。ここに来る子どもたちが新しい知識を身につけられるよう、いろいろな種類の本を置いているので、待ち時間の間にでも楽しんでくれたらうれしいです。あとは感染症対策として、正面玄関から入って左側に個室の待合室を設け、外から直接入れるようにしています。さらに言葉の訓練やじっくり話をできる「心理室」というスペースを備えているのも特徴です。

クリニックの診療内容や診療方針を伺います。

荒木俊介院長 はぐむのあかりクリニック2

小児科外来と訪問診療を行っています。小児科外来では、腹痛や発熱、感染症、アレルギー疾患のほか、小児の内分泌疾患や腎疾患に力を入れているのも特徴で、専門の医師が、成長障害、甲状腺疾患、夜尿症などに対応します。特に低身長、低体重といった成長障害は、成長ホルモンが出ていないなど何らかの病気が原因となっていることも。治療できる病気を見逃さないためにも、気がかりなことがあれば早めに受診しましょう。次に訪問診療ですが、こちらは成人の患者さんも診ています。というのも、長期治療の子や障害のある子は、大人になって医療の窓口が小児科から一般内科に変わることで、行き場所をなくすことがあるからなんです。病気の子、障害のある子、赤ちゃんからお年寄りまで、専門家の力を借りたい人たちはきっとたくさんいます。小児科外来と訪問診療を通し、皆さんの悩みに寄り添い一緒に解決していく、そんな診療をめざしています。

小児科外来を足がかりに、心と体の専門的なサポートを

小児の発達障害に関する相談にも対応されているとか。

荒木俊介院長 はぐむのあかりクリニック3

私は勤務医時代、NICUで早産児や低出生体重児、何らかの疾患のある新生児を診てきました。超早産児は、成長の遅れや神経発達症のリスクが高くなる傾向があると指摘されているんですが、実際、退院した子どもたちの経過を診ていく中で、発達に問題を抱える子は多く、当院は、そういったお子さんや親御さんの助けになりたいと思っています。神経発達症は脳機能の発達に関係する障害で、自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)と、さまざまなタイプに分類されます。保育園や幼稚園に行きだすとそれらの特性がさらに顕著になることもあるため、1歳半~3歳で落ち着きがないと感じたらまずはご相談ください。風邪や寝つきが悪いといった一般小児科の外来での受診や予防接種、乳幼児健診の際にご相談いただいても全然構いません。

小児科外来が窓口となり、発達障害をはじめ専門的な領域までカバーしているのですね。

神経発達症や成長障害は、どこに相談したら良いかわからない方も多いので、小児科外来を足がかりとして活用し、困っている人たちの声をできるだけ多くすくい上げていきたいです。特に神経発達症に関しては、いくつか当てはまる特性はあるけれど、診断基準を満たしていないため確定診断ができない、いわゆる「グレーゾーン」の子どもたちも少なくありません。診断がつかなければ、適切な治療や特性に合った支援やサポートが受けられず、社会適応が困難となり不登校となったり、うつ病などを併発したりする恐れがあります。これらは神経発達症の「二次障害」や「二次的な問題」といわれていますが、早めに医師の診断やアドバイスを受けることで、周りの大人たちもその子に合わせて行動でき、二次的な問題の回避につなげられるかもしれません。当院では、神経発達症が疑われる場合、診療では公認心理師も基本同席し、カウンセリングや検査を行います。

小児の訪問診療についても詳しく教えてください。

荒木俊介院長 はぐむのあかりクリニック4

NICUの経験から、神経発達症に対応すべく診療体制を整えましたが、訪問診療も同様で、障害のあるお子さんがもっと生きやすい世の中にしていきたいと考え、診療に取り入れました。医療デバイスがなくても何かしらの理由で通院が困難な方や、18歳を超えて成人となった方も対象となります。小児の訪問診療は、ご家族からお問い合わせいただくケース、病院からの紹介で行うケース、2通りあります。対象となるのは、生まれながらに合併症を抱えている方、人工呼吸器や気管切開チューブなどの医療デバイスが入っている方、経管栄養や胃ろうで生活している方、先天的な病気を持っているなど、医療的なケアを必要とするお子さんが対象となり、医師が定期的に訪問して、在宅療養をサポートします。

めざすは、悩みに寄り添い一緒に解決していく医療

自慢のスタッフさんが多いとか。

荒木俊介院長 はぐむのあかりクリニック5

看護師や受付スタッフは皆元気で、医院の雰囲気を明るくしてくれますね。医師は私と森下高弘先生の2人体制で、外来診療も訪問診療も2人で交代しながら診ています。彼は大学の後輩で、昔から互いによく知っている仲ですから、診療する上でも情報を共有し、ばっちり連携が取れていると思います。特に訪問診療については、森下先生は私よりも経験が長く、場数を踏んでいるのでとても頼りにしています。今のところ私たち2人で、患者さんにも迅速に対応できていますが、今後の状況次第では、私たちの「患者さんの困り事や悩みをすくい上げ、一つ一つ解決しながら、相手に寄り添った医療を提供する」という診療スタイルに賛同してくれる医師がいれば、さらに仲間を増やすことも視野に入れています。

診療にアプリを活用していくお考えだそうですが、どのようなものですか?

お子さんの日々の成長や症状を記録するもので、私たち医師と情報を共有できるようになっています。いつ何があったかを日記感覚で書いていただくのですが、写真や動画も残せるので振り返るときに役立ちます。また、受診の予約が入ったら私たちが事前にお子さんのアプリをチェックすることで、診察時にスムーズに話が進みます。患者さんにとっても、私たちにとっても、便利なツールになってくれるはずです。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

荒木俊介院長 はぐむのあかりクリニック6

小児科診療と訪問診療の知識をさらに深め、提供する医療の質を高めていきたいですね。まだ開業したばかりですべてはこれから。これまの経験を生かし、外来の患者さんの困り事を解決しながら、訪問診療も体制を充実させ、外来同様できるだけ多くの時間を使って一人でも多くの患者さんをサポートできたらと思っています。あとは、外来で来た子どもたちを退屈させない“仕掛け”も考えていく予定です。待ち時間に何か楽しいことができれば「また行きたいな」と思ってもらえるでしょうから。親御さんは、お子さんに関することで何か心配なことや困ったことがあれば気軽に来てください。子育ての悩みでも大丈夫です。一緒に困っていることを解決していきましょう。

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