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森脇 健太 院長の独自取材記事

もりわき整形外科クリニック

(境港市/上道駅)

最終更新日:2024/05/09

森脇健太院長 もりわき整形外科クリニック main

境港市で2022年に開業した「もりわき整形外科クリニック」。建物には温かみのある木が使われ、広々とした待合室には緩やかな音楽が流れる。院長を務めるのは、丁寧で物腰やわらかな話し方が印象的な森脇健太先生。小さな頃から医師を志し、地元の医療に貢献したいという思いを実現した若きドクターだ。整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科を標榜し幅広く相談にのる一方で、長年研鑽を積んできた骨粗しょう症の専門的な診療も提供する。例えば、院内には全身用の骨密度測定装置を導入している他、骨粗しょう症治療の専門知識を持つスタッフをそろえ、チームで診療を行っている。また、境港市の骨粗しょう症検診にも協力し、地域医療を支えている。そんな森脇院長に、改めてクリニックや専門である骨粗しょう症、地域医療について話を聞いた。

(取材日2024年3月25日)

骨粗しょう症を専門とする整形外科

医師になるきっかけと、整形外科を選んだ理由を教えてください。

森脇健太院長 もりわき整形外科クリニック1

医師になりたいというのは幼少期から考えていました。家族が疾患を抱えていたので、病気や医療が常に身近にあったことが理由として大きかったと思います。専門に関しては、直接治療ができて結果がすぐに実感できる手術に興味があったので、外科に進みたいと思いました。外科の中で何を専門にするかと考えたときに、整形外科の対象が身近な関節や神経であることと、そして、がんなど悪性疾患を取り除く一般的な外科手術とは異なり、整形外科はもともとあった機能を取り戻す、あるいは再建して新しいものにする手術となるので、そこにやりがいを感じ、整形外科を専門にしました。

開業までの経緯を教えてください。

兵庫医科大学を卒業後、鳥取大学医学部附属病院の整形外科に入局しました。その後、大学院で骨粗しょう症について研究する機会を得ました。その際に指導してくれた恩師の存在がこの領域を専門として志すきっかけになりましたね。そして、次に赴任した三朝温泉病院では、主に臨床に携わりましたが、患者さんに骨粗しょう症の方が非常に多かったんです。背骨を圧迫骨折されて入院されたり、あるいは大腿骨を骨折され手術を受けられたりといった患者さんを診ていくうちに、「これは骨折してから治療するのでは追いつかない」と感じるように。特に女性は閉経を境に女性ホルモンの分泌が減少し、それと比例して骨密度が低下することから、男性よりも骨粗しょう症の発症割合が高いとされています。骨が弱くなり骨折に至ってしまう前にアプローチするような根本的な解決をめざすには「骨粗しょう症の予防や治療に特化する場所が必要だ」と考えて、当院を開業しました。

クリニックの特徴は何ですか?

森脇健太院長 もりわき整形外科クリニック2

やはり、骨粗しょう症を専門に診ている点ですね。検査や治療、予防も含めて行い、患者さんに骨粗しょう症についての正しい知識を持っていただけるよう努めています。現在、骨粗しょう症分野では、医師だけでなく、看護師を始めとしたコメディカルスタッフも専門知識を持ち、骨折リスク評価や新たな骨折の防止、また最初の脆弱性骨折の予防を目的としたチーム医療を行うための取り組みが推し進められているのですが、当院では看護師と理学療法士の2人がこうした骨粗しょう症診療について専門的に学び知識を身につけています。僕の診療時間が長く取れない場合は代わりに患者さんへの説明をしてもらったり、患者さんへの声かけや治療継続のサポートをしてもらったりしています。

骨密度測定装置を導入し、市の骨密度検診にも対応

患者層や主訴を教えてください。

森脇健太院長 もりわき整形外科クリニック3

お子さんから、20、30代の方、ご高齢の方まで幅広くいらっしゃいます。主訴についても、ケガや骨折といった外傷の治療、部活動などによるスポーツ障害の診療、骨粗しょう症についてのご相談など、幅広いですね。現役世代の方の場合は、腰痛の治療が多いですね。具体的な疾患としては、骨粗しょう症以外だと、変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患が目立ちます。特に腰部脊柱管狭窄症の疑いのある患者さんについては、脊柱管という神経の通り道を診ないといけないので、MRI検査が必要になります。当院にはMRI検査の設備がありませんが、近隣の病院とMRIの共同利用契約をして、比較的すぐにMRIを撮れる体制を整えております。撮影した検査画像を見た上できちんと診断をして、治療を進めていきます。

設備にはどういった特徴がありますか?

全身用の骨密度測定装置を導入しています。この機械で、背骨と大腿骨の骨密度を測っています。実は、骨折したときに、特に大変なのは背骨と大腿骨なんですよ。例えば、背骨には骨がたくさんあり、背骨の骨折はドミノ骨折といってドミノが倒れるように次々と骨折していくのが特徴で、しかも骨折したことに気づかない場合が多いんです。一方、大腿骨を骨折した場合は手術が必要になってしまうので、高齢の患者さんだと負担がかかり手術のリスクは高くなります。また手術後にはリハビリテーションを頑張らないといけないため、体力がもともと衰えている方には非常につらいのです。なので、こういう骨折を防ぐために全身を、また各部の骨密度を測定し数値化して、骨粗しょう症かどうかの判別を行っています。

診療で心がけていることは何ですか?

森脇健太院長 もりわき整形外科クリニック4

患者さんとのコミュニケーションを大事にしています。お待ちの方が多い時はどうしても診察時間が短くなってしまいますが、そのような中でも患者さんにしっかり向き合い、信頼関係を築いていきたいとの思いがあります。そのために、ちゃんと目を見て面と向かって話すといった小さなことから、日々実践しています。電子カルテの導入が進んでいるので、多くの医師がパソコンを見ながら診療するケースが増えていると思います。そうした中でも、患者さんに「医師が電子カルテしか見ていない」といった印象を抱かせないように、お一人お一人と向き合って話ができるように心がけていきたいです。

リハビリテーションで治療をサポート

リハビリテーションについても教えてください。

森脇健太院長 もりわき整形外科クリニック5

当院ではリハビリテーションにも力を入れています。通常の診療に、リハビリテーションを組み合わせることで、患者さんの痛みや不調を解消したいと思っています。例えば、薬や注射、手術だけでは回復が難しい患者さんには、理学療法士が関節を動かしたりほぐしたり、体操の仕方を指導したりすることで改善をめざしています。理学療法のアプローチにはリラクゼーション効果も期待できると考えています。また、骨粗しょう症予防の面でもリハビリテーションを重要視しています。加齢によって筋力や身体機能が低下するロコモティブ症候群やフレイルと、骨粗しょう症とは密接に関連しているからです。運動機能の低下などから転びやすくなることで、骨折や入院、ひいては介護のリスクにつながると考えています。できるだけ介護を受けないような自立した人生を送っていただく上で、骨や筋肉にとって食事と運動が大事になってくるので啓発も行っていますね。

地域での活動を聞かせてください。

地域の医療活動の一環として、境港市の骨密度検診を2019年から行っています。境港市在住の女性の方で60歳、65歳、70歳になられた方が市の助成を受けて骨密度検査が受けられるんです。毎年8月から次の年の2月までなんですけど、かなり多くの方が検査を受けに来られていますね。この検診で骨粗しょう症が見つかった場合は、治療していくというかたちです。また、骨粗しょう症の啓発を目的とした講演を毎年健診の時期に合わせて、市内で行っています。自治体のほうも僕たちも、地域に住む皆さんの健康寿命を延ばしていきたいという思いがあるので、協力して活動できるのは非常にやりがいを感じます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

森脇健太院長 もりわき整形外科クリニック6

骨粗しょう症は自覚症状がなく、これまで骨折でわかることが多かったんです。それだと手遅れになってしまうので、骨折する前に一度検査を受けることをお勧めします。受診のタイミングとして、女性は60歳を目安にとお伝えしています。男性の場合は基本的に骨密度が高い方が多いんですが、80歳以降で急激に骨折が起こる確率が高くなるので70歳以降は受けていただいたほうがいいでしょう。年齢以外の要素としては、糖尿病や慢性腎臓病の方は骨密度が高くても骨質が弱っている場合が多いので、実は骨折のリスクが高いのです。そういった方の場合もご相談していただければと思います。

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