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岡本 哲也 院長の独自取材記事

奥村クリニック

(高山市/高山駅)

最終更新日:2023/01/05

岡本哲也院長 奥村クリニック main

長年、高山地域で親しまれた奥村内科・胃腸科クリニックは、2021年4月、内科・血管内科を掲げる「奥村クリニック」として新しく生まれ変わった。前院長の奥村先生から引き継いだ岡本哲也院長は、血管外科・血管内科を専門に大規模病院などで手術や外来診療に携わってきたほか、在宅医療の経験も持つ。豊富な診療経験を生かしたいと、現在同院の柱に据えるのが、血管の病気と生活習慣病だ。中でもさまざまな病気の要因となる「高血圧」に着目。1日の食塩摂取量がわかる計算式を活用したり、減塩レシピを紹介したりと、患者が取り組みやすい食事指導に力を入れる。かかりつけ医として、地域住民の健康を見守る岡本院長に、これまでの経歴や、クリニックの特徴である血管内科の診療について話を聞いた。

(取材日2022年11月16日)

血管外科・血管内科の専門を生かす地域のかかりつけ医

2021年に前院長から継承開業されたと伺いました。これまでのご経歴を教えてください。

岡本哲也院長 奥村クリニック1

愛知医科大学を卒業してから、研修医として常滑市民病院に勤め、その後、名古屋大学医学部第一外科血管研究室に入局しました。専門を血管外科に定めたのはその時ですね。1995年から9年間、袋井市民病院に勤務した後、高山市の久美愛厚生病院や高山赤十字病院でも研鑽を重ねました。その後、病気をしたことをきっかけに、手術中心で体力が必要だった血管外科から血管内科に移り、クリニックの外来や在宅医療も経験しました。前院長の奥村先生に声をかけていただいたのは、町の中心部だけでなく郊外の在宅医療もやってみたいと考えて白川病院で働いていた時のことです。もともと奥村先生は久美愛厚生病院時代の先輩にあたります。専門分野は違うものの親しくさせていただいたことから、ご自身が一線を退く際に、「代わりにどうか」と言ってくださったんですね。それで2021年4月に「奥村クリニック」と名称を変え、継承開業させていただいた次第です。

クリニックの特徴をお聞かせください。

かかりつけ医として一般内科を診るのはもちろん、血管の病気をはじめ、血管内科の分野と密接に関連する生活習慣病の治療や予防に力を入れています。また、これまで血管外科で培った知見を生かして、手術が必要かの見極めや、下肢静脈瘤や閉塞性動脈硬化症など術後のケアが重要な患者さんの経過観察も行います。また、そうした診療のために新しく設備も整えました。手術後に足の血流を良くするための温浴治療器を導入したほか、足の動脈の血管障害を調べるABI検査、TBI検査にも対応しています。

新たに岡本院長の専門を生かした診療ができるようになったのですね。

岡本哲也院長 奥村クリニック2

そうですね。例えば、血管外科での手術後の経過観察は当院の特徴の一つでしょう。動脈であれば、人工血管によるパイパス手術や血管除去、ステント留置術、動脈瘤の手術などを受けた患者さんのケアを行っています。特に、閉塞性動脈硬化症の手術を受けた患者さんの場合、症状が再発すると再手術が難しいので、できるだけ悪化させないための指導が大切です。この病気の症状として現れやすい間欠性跛行(はこう)では、少し歩くと足がつるため、歩行の合間に「信号を待つようにじっとしてみましょう」といった具体的なアドバイスを行っていきます。また静脈に関しては、静脈瘤や深部静脈血栓症などの方に手術適応があるかどうか診断したり、入院して治療を受けて帰ってこられた方のフォローをしたりしています。もちろん、こうした専門分野だけでなく内科領域を広く診ていますので、前院長時代からの患者さんもたくさんいらっしゃっています。

減塩を意識した食事指導で高血圧の改善を

診療する際に心がけていることは何ですか?

岡本哲也院長 奥村クリニック3

これまでの経験上、血圧の問題は非常に気になるので丁寧にアドバイスしています。勤務医時代、春先や秋の終わり頃になると、動脈の病気で病院に来る方が多いと感じていました。朝、起きがけに測る血圧が高いことを早朝高血圧と呼びますが、この状態にある方は特にこうした季節の変わり目に注意が必要なのです。血圧の問題は塩分の多い食事と関連します。そこで当院で行っているのが、食塩の1日摂取量を専用の計算式で算出する取り組みです。検査によって尿や血液に含まれる塩分量や腎臓機能の数値を出し、決められた計算式に当てはめると、その方が1日にどれくらい塩分を摂取しているかがわかります。高血圧の方に推奨される量は1日6gまでなのですが、12~15gと、非常に高い数値を示す患者さんが少なくありません。

それで食事指導に力を入れていらっしゃるのですね。

ええ。お薬をたくさん出すのには限界がありますし、やはり栄養指導を通じて、食事から変えていただくことが大切です。そのために日頃の生活パターンなども伺いながら、「もっと薄味にしたほうがいいですよ」とお話ししています。今は、ソースや醤油といった調味料のパッケージに食塩の含有量が表示されていますよね。それを見ていただくようにお願いしたり、こちらでもいろいろな食品に含まれる塩分量の表をお渡ししたりしているんですよ。「自分はそれほどしょっぱいものは食べていない」と思っていても、お話を聞くとそうでもないということはよくあります。塩分に加え、油分の取り過ぎもコレステロールの値が悪くなるので注意していただきたいですね。

患者さんとしっかり話をされている様子がうかがえます。

岡本哲也院長 奥村クリニック4

わかりやすい説明は気をつけている点ですね。ただ、話に時間をかけすぎると他の患者さんの待ち時間が長くなってしまいます。ですから、きちんとご説明するという方針を看護師と共有して、「栄養指導の具体的な話は看護師さんから聞いていってください」とお声がけしてから引き継ぎます。また、「食塩を取り過ぎるといけませんよ」と伝えても、なかなかそのとおりにできる方ばかりではありませんから、具体的に伝える方法として、国立循環器病研究センターが監修した減塩レシピの本をご紹介することもあります。塩と循環器病の関係といった読み物記事もあるので、理解を深めて取り組んでいただけたらいいですね。

看護師とも連携し、わかりやすい説明に尽力

スタッフの方々について教えてください。

岡本哲也院長 奥村クリニック5

現在、3人の看護師が在籍しています。そのうち2人は奥村先生時代から働いているので、以前から通ってくださる患者さんたちと親しいのです。おかげでうまく橋渡しをしてもらえるので、スムーズに診療することができています。看護師の皆さんはそれぞれ地元のお店に詳しいので、栄養指導の一環として、「あそこのお惣菜はちょっと味が濃いですよ」「天ぷらの衣はできるだけ食べないでくださいね」といった話をしてもらうこともあります。先ほどふれた減塩レシピの本についても、実際に料理をする立場から「塩分控えめの食事がかなえられますよ」と説明してもらえるので、患者さんにとってもわかりやすいのではないでしょうか。看護師とうまく連携して役割分担することで、必要以上に診察時間が長引かないようにも努めています。

クリニックのデジタル化を進めていると伺いました。

はい。パソコンやスマホを使ってご自宅から受診できる「オンライン診療」に対応しています。対象は再診の方で、医師がオンライン診療でも可能だと判断した患者さんとなります。また、「スマートフォン問診」を使えば、来院される前にご自身のスマホから問診票の入力をしていただくこともできます。さらに、このコロナ禍でお札や硬貨の受け渡しに躊躇される患者さんもいらっしゃると考え、キャッシュレス決済も導入しました。忙しい患者さんの利便性に配慮し、通院しやすい環境を整えています。

最後に今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

岡本哲也院長 奥村クリニック6

やはり生活習慣病の予防や治療には力を入れていきたいです。高山市は土地柄、気温の寒暖差が大きく、高血圧の方は特に注意が必要なのです。また、まだまだ減塩の大切さについて理解が不足していると感じるので、啓発活動も行っていきたいと考えています。ご高齢の患者さんたちが若い頃は、体を使った後に味の濃いごはんを「おいしいおいしい」とたくさん召し上がっていたことでしょう。でも、あまり歩けなくなってからも同じ味つけで食べているのは問題ですし、そうした概念から変えていく必要があると思っています。いくらおいしくても体にダメージを与えてしまっては意味がありませんからね。そのためにも生活習慣病に目配りしながら、専門を生かした血管に関する病気の治療や手術後のケアも行い、幅広い患者さんを診ていく考えです。気になることは、ぜひ何でもご相談ください。

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