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精神科の薬は怖いというイメージ?
適切に使用することが重要

井田メンタルクリニック

(北九州市小倉北区/平和通駅)

最終更新日:2024/04/11

井田メンタルクリニック 精神科の薬は怖いというイメージ? 適切に使用することが重要 井田メンタルクリニック 精神科の薬は怖いというイメージ? 適切に使用することが重要
  • 保険診療

ストレス社会といわれる現代において、適応障害やうつ病、パニック障害、自律神経失調症、不眠症などの症状で精神科・心療内科に通う人が増えており、少しずつ病気や治療に対する世間の理解も広まってきている。しかしその一方で、いまだに精神科・心療内科が処方する薬に懐疑的な気持ちや不安を抱く人も少なくないだろう。「薬はあくまでも病気で落ちている脳や体の機能を引き上げたり、改善したりする目的のものです」と「井田メンタルクリニック」の井田能成(よししげ)院長は語る。さまざまな治療方法の中で、患者自身がより生活しやすくなるための選択肢としてある服薬治療について、専門的な知見からその作用や気をつけるべき点などを語ってもらった。

(取材日2024年3月27日)

精神科・心療内科の治療方法、服薬の目的を理解することで、前向きな気持ちで治療に向き合ってほしい

Q精神科・心療内科ではどのような治療方法があるのでしょうか?
A
井田メンタルクリニック 診察の際に用いる問診表。本人の意思を大切にした治療を提供する

▲診察の際に用いる問診表。本人の意思を大切にした治療を提供する

生活習慣や既往症、家族や友人、職場の人との関係性などを聞きながら、患者さんがより生きやすい暮らし方や考え方を一緒に考えていくカウンセリングの方法を用いたり、病気によって落ちている一部の脳の機能を改善するために服薬治療を行ったりします。最近多いと感じるのは、気分が落ちてしまう抑うつの症状ですね。特に10代後半から20代、30代の現役世代の方に多く見られる症状です。また、女性の方では更年期の症状と併発する方もいらっしゃいます。こういったケースでは、カウンセリングや服薬を適切に用いながら、きちんと症状を抑えること、そして再発を予防していくことをめざします。

Q服薬治療だけでなく、カウンセリングなどの方法もあるんですね。
A
井田メンタルクリニック 小さな悩みやつらさも気軽に相談を

▲小さな悩みやつらさも気軽に相談を

精神科・心療内科の薬に対して抵抗感のある方もやはりいらっしゃいます。なのでまずは、患者さんに服薬に対するイメージをストレートに伺うようにしています。その上で、薬の具体的な作用の仕方を説明して、服薬が必要な方にはご納得いただけるまでお話しするようにします。風邪の治療を行う際に、漢方薬で自身の免疫力にアプローチするように、精神科の薬も自身の持つ力を正常に戻す目的のものがほとんどです。自身にないものを追加したり、性格が大きく変わったりするというわけではありません。あくまでも低下している脳の一部の機能を改善するための補助として活用するんです。

Q精神科・心療内科の薬にはどのようなものがありますか?
A
井田メンタルクリニック 安心して薬を活用できるような環境づくりから始める同院

▲安心して薬を活用できるような環境づくりから始める同院

例えば抗うつ薬としては、セロトニンの働きを増強するための薬があります。セロトニンというのは、脳内の神経伝達物質の一つで、心身をリラックスさせる働きや、喜びや恐怖などの情報をコントロールする他の神経伝達物質の動きを安定させる働きが期待できます。抑うつ状態というのはおおむね、このセロトニンについて脳内で障害が起きていることが多いのです。それにより、憂うつな気分になったりイライラと怒りっぽくなったりしてしまいます。このお薬を活用することで、抑うつ状態によるマイナスな感情を改善することがめざせますよ。うつ病だけでなく、パニック障害といった不安障害の方にも処方することがあります。

Q薬の処方量で気をつけていることはありますか?
A
井田メンタルクリニック 小さなことから患者のことを考え抜いて診療にあたる

▲小さなことから患者のことを考え抜いて診療にあたる

まず、糖尿病の方やご高齢の方については処方できる薬とできない薬がありますので、きちんと見極めて処方するようにします。また、日常的に飲酒をされる方は、お酒の作用と薬の作用が合わないこともあるので、飲酒量の調整を段階的にしてもらうことも必要ですね。他にも、精神科の薬を初めて飲む人にとって、その作用が不安なことがあると思います。眠気などの副作用のある薬もありますので、飲み始めて数日後に起きる変化などを丁寧に一つずつお話しします。処方量についても、初めは一般的な量の半分からスタートして、様子を見ながら服薬をスタートすることもしますよ。まずは安心して薬を活用できるような環境づくりからですね。

Q薬の服用を忘れたりやめたりする方にはどう対応しますか?
A
井田メンタルクリニック 心の病気を早い段階で治療できて、社会復帰できるような環境を

▲心の病気を早い段階で治療できて、社会復帰できるような環境を

薬の種類によっては、朝・昼・晩・寝る前と1日に4回飲む薬もあります。通学や通勤をされている方にとって、薬をきちんと決まった時間に服用するのが難しいこともあるでしょう。また、薬の飲み忘れというのはどの科であってもよくあることです。それを防ぐためにも、患者さんの生活リズム上負担のないタイミングで飲む薬を処方するなどの工夫もしています。また、薬を飲まない、一時的にやめるというのは、調子が良いと患者さんご本人が感じているケースも考えられるのです。飲まなかったことをマイナスに捉えすぎず、薬に頼らずに生活できるタイミングだったんだと前向きに考えていただくことも一つの手だと私は捉えていますよ。

ドクターからのメッセージ

井田 能成院長

精神科・心療内科の薬に対してマイナスのイメージがあるかもしれませんが、あくまでも薬は病気で低下した機能を改善したり、補ったりする目的しかありません。皆さんが病気でつらかったり苦しかったりする点を緩和するために使用します。未知のものを自分の体に取り入れるというのは怖いことだと思いますので、一つ一つの薬の作用を知ることでその不安は軽減できると信じています。また、精神科・心療内科にとって服薬は治療の一つの手段に過ぎません。状況が改善へ向かえば減薬はもちろん薬に頼らない生活に戻ることも望めます。つらい今を支える一つの選択肢として、服薬を前向きに捉えていただければと思います。

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