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中山 陽介 院長の独自取材記事

いやさか腎クリニック

(廿日市市/阿品駅)

最終更新日:2023/05/12

中山陽介院長 いやさか腎クリニック main

広島県廿日市市の阿品台に2022年8月に開業した「いやさか腎クリニック」。中山陽介院長は、長年大学病院で腎臓病患者の治療にあたり、腎臓病の研究も続けてきた。その専門性を生かし、同院では腎臓病や生活習慣病の診療に力を入れている。今でも腎臓病の研究を重ねている院長であるが、日本内科学会総合内科専門医も取得しているなど勉強熱心。また、モットーとして「治療すること」だけでなく、患者本人や家族の不安を取り除く診療をすることや、地域住民へ病気の正しい情報を伝え、「病気のことがわからないから恐れる」という人を減らしたいと話す。そんな院長からは穏やかな口調の中に専門性に対する熱い思いが感じられた。この取材ではこれまで歩んできた道のりや、クリニックの診療について話を聞いた。

(取材日2022年9月2日)

腎臓病を中心に、生活習慣病など内科の診療を行う

九州のご出身だそうですが、なぜこの場所に開業したのでしょう。

中山陽介院長 いやさか腎クリニック1

長崎で生まれ育ち、福岡の久留米大学医学部に進み、卒業後は久留米の救急病院を経て、母校の付属病院の腎臓内科で腎疾患の患者さんの治療や腎臓病の研究をしていました。ところが、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大を機に転機が訪れました。妻の実家が現在の当院の隣にある「平田内科小児科医院」なんですが、そこで新型感染症の診療を手伝うことになったんです。当初は大学病院が休みの日に広島に通っていましたが、やがて県外との移動が制限され、「平田内科小児科医院」も地域の接触者を対象とした外来やPCR検査で多忙になり、広島での診療をメインにする生活に。そんな中、廿日市に腎臓を専門とするクリニックがないことを知り、私の専門性を生かし地域医療に携わりたいとの思いで腎臓病や生活習慣病を診るクリニックを開業することを決意しました。

同院でどのような診療を行っているのか教えていただけますでしょうか。

当院では、腎臓の機能が低下した方を対象に、薬物療法や管理栄養士による栄養指導、スタッフによる運動指導を行っています。腎不全が進行した患者さんには、血液をきれいにする腎臓の働きを代わりに機械で行う透析治療を提供しています。さらに当院では、「オンラインHDF」を実施できる基準をクリアした清浄化透析液を使用しています。「オンラインHDF」と呼ばれる血液ろ過透析治療を実施することにより、透析合併症の予防や透析アミロイド症の予防を図っています。また、腎機能が低下することで起きる糖尿病や高血圧症など生活習慣病の治療も行います。入院が必要な手術はできませんが、カテーテルで血管を拡張させる処置は可能です。当院では主に腎臓病や生活習慣病の患者さんを診察していますが、 日本内科学会総合内科専門医でもあるので内科全般に対応できますので安心してご相談ください。

日本内科学会総合内科専門医の資格も取得されているのですね。院長が腎臓病を専門に選んだのはなぜですか?

中山陽介院長 いやさか腎クリニック2

今では、世界中の研究者の努力が実り、早期発見して治療する方法がわかってきましたが、医学部に入学した頃は、腎臓病は悪化すると治らないといわれていました。ほかの臓器は投薬や手術などの治療法があるのに、腎臓の場合は特効薬もなく、最終的には腎臓が機能しなくなり、人工透析に頼らざるを得ない方が本当に多かったんです。だから、どうして腎臓は治すことができないのか、治療法を見つけることはできないだろうか、自分でも研究してみたいと考えるようになりました。大学では腎不全が進行していく機序の1つを明らかにし、腎不全予防のマーカーや治療薬を開発してきました。 現在も大学に籍を置き、将来何らかの形で腎不全進展予防を達成できればと思い研究を続けています。

自宅のようにくつろげる個室の透析室を設置

ところで、クリニック名とパンダのロゴの由来を教えてください。

中山陽介院長 いやさか腎クリニック3

「いやさか」は、漢字では「弥栄」となり、「ますます栄える」という意味の言葉です。皆さんが長く健康でありますように、腎臓も長く健康でありますように、という気持ちを込めて命名しました。ロゴについては、体内で2つの腎臓がハの字に並んでいる形がパンダの目の周りの模様に似ているんですよ。なかなか気づいてもらえないんですけどね(笑)。

そのような思いが込められていたのですね。透析室はリビングルームのような雰囲気ですよね。

透析ベッドは全部で23床ありますが、すぐ隣に人がいると落ち着かないですから、すべてプライバシーと感染症対策に配慮した個室にしました。配置も男女を分けています。室内にはBS放送も視聴できるテレビを用意し、無線LANもご利用いただけます。透析は週に3回、1回につき4~5時間かかります。患者さんは、それをずっと続けなくてはなりません。なので自宅にいるようにくつろいでいただきたいという思いで、透析室にはこだわりました。送迎にいらっしゃるご家族の方にもゆったり過ごしていただきたくて、休憩室には大型テレビも設置しました。また、ご希望の患者さんには、車での送迎も行っています。

腎臓の病気を診察する上で特に気をつけていることはありますか?

中山陽介院長 いやさか腎クリニック4

まずは、早期発見です。腎臓は肝臓と同じように「沈黙の臓器」といわれ、自覚症状がないまま進行してしまいます。幼い子どもからお年寄りまで、健康診断で必ず尿の血液やタンパクを調べるのは、無症状のうちに異常がないかチェックすることが大切だからです。大人になってからは血液検査でも血清クレアチニンの数値で腎機能をチェックします。健康診断で指摘されたら、症状がないからと放置せずに再検査や受診など指示に従っていただきたいです。当院では腎臓の病気の患者さんには、血中のカリウムや尿毒素などの検査を行い、診察中に結果が出るよう迅速な対応をします。高カリウム血症は不整脈などを引き起こし、尿毒素が高いと尿毒症になり、命に関わる場合もあるからです。

わかりやすく伝えて理解してもらい、患者の不安を軽減

患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

中山陽介院長 いやさか腎クリニック5

難しいことを易しく伝えて、患者さんに理解していただき、不安を取り除くことです。例えば、注射。実は、予防接種に使用する注射針自体は刺しても蚊に刺されたくらいのもので、痛みはほとんどないんですよ。痛いのは液体が皮膚に入る時なんです。その証拠に、注射は針を刺した瞬間ではなく、その後にチクっとしますよね。私は小学校の校医をしているので、注射を怖がる子どもにこの話をします。痛いのは針ではないと理解した子どもは、注射に対する恐怖心が薄れ、接種もスムーズに受けられるようになります。同様に、腎臓病で不安を抱える患者さんに、まずはじっくりお話を伺ってどんな心配事があるかを理解し、症状や治療法など病気について理解していただけるよう、丁寧に説明することを心がけています。ですから、腎臓病の患者さんは初診で30分、再診でも15分はお時間をいただいています。

オフタイムはどのようにリフレッシュしていますか?

学生時代はバスケットボールをやっていましたが、今は体を動かすのは筋トレくらいですね。それに、子どもが4人いて、下の子がまだ5歳なので、オフタイムは子どもと遊んでいるうちに過ぎていく感じです。子どもを送る係も私がずっとやっているので、出勤前は子どもをドタバタ着替えさせて、大忙しです。

今後の展望や読者へのメッセージをお聞かせください。

中山陽介院長 いやさか腎クリニック6

近年は研究が進み、腎臓病も早期発見で完治がめざせるようになってきましたので、早期発見の大切さを伝えていきたいですね。一般の方には健康診断の腎機能検査の結果を見過ごさないようお伝えしていますが、専門外の医師を対象に腎臓疾患の講演会も行っています。時々クリニック名を見て、「腎臓病以外も診てもらえるのか」というお問い合わせをいただくこともあります。確かに腎臓病の患者さんは割合的にも多いのですが、一般的な内科疾患にも対応しています。祝日も休まず、平日は19時まで診察しているので、ほかのクリニックが診療していない時間帯で困った、という場合など、腎臓のお悩み以外でも受診していただければと思います。

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