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小澤 健太郎 院長の独自取材記事

つるみ心のクリニック

(大阪市城東区/今福鶴見駅)

最終更新日:2023/07/11

小澤健太郎院長 つるみ心のクリニック main

今福鶴見駅そばにある「つるみ心のクリニック」。院長の小澤健太郎先生は、脳神経や認知症に関する研究に携わりながら、大学病院や基幹病院の精神科および心療内科で診療を行ってきた。国内外で取り組んできた研究経験を、地域に役立てたいと、2022年にクリニックを開業。心のかかりつけ医として、発達障害や不登校、うつ病など、幅広い症状を診療している。長年研究してきた認知症は、初期の段階で見逃さず診断することが大事だという。「一人ひとりの患者にしっかりと関わりたいと思い開業した」と話す小澤院長に、治療に対する考え方や診療の特徴について話を聞いた。

(取材日2023年6月23日)

長年の経験を生かし、患者が自分らしく過ごせる診療を

精神科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

小澤健太郎院長 つるみ心のクリニック1

両親が内科の医師なんです。最初に母が自宅の1階で開業し、勤務医だった父も後から加わりました。両親が地域の皆さんの診療をする姿を日常的に見ていて、自分も同じ道に進みたいと思い、医学部に進学しました。卒業後は内科に進みましたが、その一方で、人を人たらしめるものは脳や神経だという思いもあり、脳神経についてもっと知りたいと思うようになりました。そこで脳神経の研究室に入ったのです。脳梗塞が起きても神経細胞が死なずに生き延びられるようにするためのタンパク質に関する研究に従事しました。その後、研究から臨床に戻るときに、これまでの研究経験を生かしたいと、内科から精神科に転科したのです。

研究生活が長かったそうですね。

そうですね。脳神経に関する研究で博士号を取得した後も、大学病院で診療しながら研究を続けていました。アメリカのデューク大学医学部にも勤務し、そこでは神経を守る働きがある一酸化窒素に関する研究に携わりました。帰国して大学病院に戻ってからは、神経変性疾患の一つであるアルツハイマー病に興味を持ちました。脳梗塞は内科的な疾患ですが、これまで研究してきたことが、神経変性疾患の治療にも役立つのではと考えたからです。特に、アルツハイマー病は高齢化に伴い、患者さんの数がどんどん増えていっているにもかかわらず、まだ治療法が確立されていない病気です。なんとか治療法を見つけられたらという思いで、京都大学薬学研究科や大学病院などに勤務し、研究や臨床に携わりました。

そうした研究生活から、認知症の治療に携わるようになったのですね。

小澤健太郎院長 つるみ心のクリニック2

認知症、特にアルツハイマー病は一般の方が思われているよりも、しっかりとした病気なんです。年齢による物忘れの延長に認知症があるというイメージを持たれている方が多いと思いますが、そうではありません。急速に進行すると、元気に暮らしていた方が、わずか2年ほどで寝たきりになるというケースもあるんです。そういう患者さんをみると、少しでも進行を抑え、長く自分らしく暮らしていけるようにして差しあげたいという気持ちを強く持ちます。それから、若い頃に内科診療に携わったことも今の診療に生きています。精神的な症状で体にも症状が出る方や、認知症の方で内科の病気を併発されている方がいらっしゃいますから。もちろん内科を専門とする先生にはかないませんが、内科の医師の考え方や気をつけなければならない病気のことを考慮しながら診療しています。

一人ひとりに向き合い、患者の意思を尊重する治療を

開業に至った経緯と思いをお聞かせください。

小澤健太郎院長 つるみ心のクリニック3

特に精神科や心療内科領域は、医療機関それぞれに特徴があり、そこに属している以上はその方針に沿って診療することになります。例えば、私が最後に所属していた総合病院は検査体制が充実していて、認知症の診断はしっかりとできます。ですが、結果はその患者さんのかかりつけの先生にお戻しして、治療はそちらで行ってもらうという方針でした。また精神科の病院は入院を中心としていているところが多く、入院中はしっかりと関われるけれど、外来で診られる状態にまで改善したら、退院してクリニックへという流れが多いんですね。医療機関それぞれに役割があり、それは仕方のないことですが、私はもっと一人ひとりの患者さんと継続的に関わりたいという思いが大きくなり、開業を決意しました。

こちらで開業された理由は何でしょうか?

金沢や奈良など、さまざまな場所で勤務しましたが、やはり大阪が一番長く過ごした場所ですので、開業するなら大阪でと思っていました。そして、地域の方が気軽に来られるクリニックでありたい、幅広い年代・症状の方を診療したいという考えで、住宅地を中心に探していたところ、この場所が見つかりました。児童から高齢の方まで来院いただいています。お子さんは10歳くらいから診療しており、発達障害や不登校に関する相談が多いですね。現役世代は仕事のストレスが精神的な症状に出てしまった方、高齢の方はやはり認知症や物忘れに関する悩みを抱えた方が多くいらっしゃいます。

地域のクリニックとして、診療で心がけていることはどんなことですか。

小澤健太郎院長 つるみ心のクリニック4

精神科の疾患は、治療方針を立てるには、これまでの経緯をしっかりと把握することが大切です。初診は特に時間をかけています。一人ひとりに時間を取りながら、できるだけ患者さんをお待たせしないよう、完全予約制としています。薬を処方する際は、できるだけ種類を増やさず、患者さん自身が持つ治癒力を引き出せるような治療を考えています。依存性の強い薬は使わない、漢方薬を希望の患者さんには漢方薬を出すこともしています。患者さんの意思を尊重して話し合いながら治療方針を決めており、もし薬を飲みたくないということであれば、薬を使わない治療も考えていきます。

臨床心理士による心理検査やカウンセリングも行っているそうですね。

同じ症状が表れていても異なる病気だったり、人によって感じ方が違ったりします。診断をするには客観的な評価が大事という考えのもと、臨床心理士による心理検査を行っています。数多くある心理検査の中から、患者さんに適したものをご提案します。適切に今の精神状態を把握することが、より良い治療の第一歩です。カウンセリングでは、臨床心理士との対話によって、患者さんがご自分の心の中を整理するお手伝いをしています。

初期の認知症も見逃さない検査で早期治療につなげる

先生が長年携わってこられた認知症の治療は、どのように行っているのでしょう?

小澤健太郎院長 つるみ心のクリニック5

進行の度合いや認知症の種類によりますが、薬で可能な限り進行を遅らせることを図りながら、患者さんが心穏やかに過ごせるよう導いていくというのが現時点での治療となります。認知症になった方は、周りの人に悟られたくないという思いから、家に閉じこもりがちになり、さらに症状が進行するという悪循環に陥ることも多いんです。介護に携わるご家族の負担もさらに大きくなってしまいます。ですから、そうならないよう精神保健福祉士(PSW)と連携しながら福祉サービスのご紹介をしたり、ご家族に認知症という病気に関する理解を促したりします。周囲の理解もまた、患者さんの精神状態が落ち着く要因の一つです。

進行を抑えるためには、早めの受診が大切なんですね。

そのとおりです。早く診断がつけば、その分早く治療を開始することができ、進行を抑制することにつながります。認知症の初期というのは、皆さんがイメージしている以上に軽い症状なんです。普通に自分で身の回りのことができるけれど、検査をしてみると認知症だったというケースも少なくありません。認知症の検査として多くの機関で取り入れられているものに、長谷川式認知症スケールやミニメンタルステート検査(MMSE)などがありますが、単に出た点数で判断すると見落としもあります。当院では、これまで多くの認知症患者さんを診療してきた経験から検査内容を精査し、早期発見に努めています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

小澤健太郎院長 つるみ心のクリニック6

最近の研究では、アルツハイマー病は認知症という段階になる約20年も前から、病気としては始まっていると言われています。それが記憶障害などの症状が出るのは、最後の最後。もし最近物忘れが多くなってきたかもしれないと感じたら、怖い気持ちはよくわかりますが、認知症を専門的に診る医療機関を受診していただきたいと思います。当院は、10代のお子さんから高齢者まで、さまざまな症状を幅広く診療しています。地域の方々が気軽に受診できる心のかかりつけ医として、一人ひとりにしっかりと向き合っていきますので、気になる症状がありましたらぜひお早めご来院ください。

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