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陸 馨仙 院長の独自取材記事

りくさと健康クリニック

(大阪市中央区/松屋町駅)

最終更新日:2022/03/28

陸馨仙院長 りくさと健康クリニック main

大阪メトロ長堀鶴見緑地線の松屋町駅から徒歩3分ほどの場所にある「りくさと健康クリニック」。淡い黄色をベースにしたやわらかなトーンの院内は、待合スペースや診察室ともに広くゆったりとしていて落ち着いた雰囲気だ。「希望をイメージしたクリニックにしました」と陸馨仙(りく・けいせん)院長は、優しい笑顔で穏やかに話してくれた。自身の経験から診療に漢方を取り入れるなど、一人ひとりの患者の状態を考えながら、その人に合った道筋をつけ柔軟な診療を行っている。2022年2月に同院を開業した陸院長に、開業の経緯や医師をめざしたきっかけ、今後の展望など、たっぷり聞いた。

(取材日2022年3月16日)

「未来に希望が持てるように」との想いを込めて

まず、開業までの経緯などをお聞かせいただけますか?

陸馨仙院長 りくさと健康クリニック1

開業前は総合病院に勤めていたのですが、同居している母がだんだん高齢になってきましたので、一緒にいる時間を確保したいと思うようになりました。総合病院は複数の医師で役割を分担しますので、自由に休みを設定するのが難しい状況で、もう少し自分の時間を確保できる勤務形態に変えようと考えていたところで開業が選択肢として挙がってきたのです。開業にあたっては大阪市内を考えていて、ここは自宅から近いこともあり選びました。最寄り駅からは近いのですが、大通りから1本入った場所にありますので落ち着いた雰囲気で、来院してくださる方も入りやすいかなと思います。クリニックのスタッフは、弟が事務、妹が精神保健福祉士、親戚が看護師というクリニックです。医療事務のスタッフは、本当に良いご縁もありベテランの方が勤務していただけることになりました。皆がコミュニケーションを取り、風通しのよい雰囲気の医院にしていきたいです。

クリニック名、外観や内装に込めた想いなどありますか?

クリニック名は、自分の名前の「りく」に、「ふるさと」から「さと」を取って、「りくさと」という名前にして、「健康」という言葉も入れたかったので、「りくさと健康クリニック」にしました。クリニック名に「病」という文字を使いたくなくて、どうしたらより健康的に生活できるのかを一緒に考えていく場所にしたいという想いがありました。当院ではご希望に応じて漢方薬の処方も行っています。東洋医学は西洋医学とアプローチが異なり、診断名からではなくその人の状態から入っていきますので、漢方を学んでからは人をまるごと診ていく癖がついたかなと思っています。内装は希望をイメージしてやわらかい黄色をベースにしています。ストレスの多い時代になっていますので、「みんなでやっていきましょう」という気持ちを大切にして、将来的により明るくなっていくイメージをもって黄色をベースに、全体的にやわらかく、明るめの内装にしました。

来院する患者さんについてのイメージなどお持ちですか?

陸馨仙院長 りくさと健康クリニック2

開業にあたって年齢や性別など患者さんの層を絞っていなかったんです。そのため8歳のお子さんから90歳代の患者さんまで幅広く来てくだっています。漢方を取り入れているためか、比率は女性のほうが多い印象ですね。来院の経緯は、チラシ、地域包括支援センターからの紹介、通りすがり、前に診させていただいた方からの紹介などです。開業前は、働いている人をメインに考えていた時期もあったのですが、今は高齢社会でもありますし、発達障害を心配して受診されるケースも多くなってきていますので、働いている人だけに限定するよりは、困っている人に対して私ができることをさせていただきたいと思うようになりました。

西洋医学と東洋医学の両方の良さを生かした診療を

診療の際に心がけていることはありますか?

陸馨仙院長 りくさと健康クリニック3

自発的に心療内科や精神科に来院された方はいいのですが、そうではなく、誰かに連れて来られた方は「心療内科に行くのは嫌」「恥ずかしい」「なんで私がここに来なければいけないのか」などの気持ちになっていらっしゃることもあります。そういう場合は言葉では表現できないほどのつらさや怒りがあると思いますので、どんな場合でもいつもどおりの診察をするために、診療前にひと呼吸おいて患者さんの想いを受けとめるように心がけています。来院される方は「患者」ではあるのですが、私は「クライアント」と呼ぶようにしていて、カルテにも「CL(クライアント)」と書くようにしています。

なぜ東洋医学を診療に取り入れようと思ったのですか?

母が妹を産んだときに産後の肥立ちが悪く、そのときに祖母が漢方薬を煎じて飲ませたことが漢方薬との出会いなんです。母は高齢出産だったこともあり麻酔を使ったのですが、出産後に動けないほどで、必要な処置であっても、西洋医学は諸刃の剣のような部分もあるなと感じました。また研修医の時に、西洋薬を使っているとどうしても副作用が避けられず、治療に携わる者としてつらい思いをした時期もありました。次第に自分が考える医療と違うと思うようになり、そんな時に母や祖母のことを思い出して漢方薬を学ぼうと思い立ち、漢方を取り入れている心療内科のクリニックに見学に行き、兵庫県立尼崎病院東洋医学科(現・兵庫県立尼崎総合医療センター)などで漢方を学びました。そんな経験から、今は西洋医学と東洋医学の両方の良さを生かした診療を行っており、将来的には統合医療を取り入れたいと考えています。

医師をめざしたきっかけ、精神科を選んだ理由などお聞かせください。

陸馨仙院長 りくさと健康クリニック4

医師だった叔父の影響で自然に医師をめざすようになりました。医師は治療と同時に、安心感を与える役割もあり、自分もそうなれたらと思いました。精神科を選んだのは、私自身が高校生のときに不安定な時期を過ごしたからです。病院には行かなかったのですが、改めて今考えると摂食障害だったと思います。ですから大学での講義では精神科の授業が自分にとって一番親和性が高く、「理解できる」という感覚でした。医学部ではいろいろ難しい勉強が必要だったのですが、精神科だけはすっと入ってきたような感じです。当時、女性が行きやすいといわれていた眼科や麻酔科なども考えていたのですが、土壇場になって精神科に決めました。患者さんのニーズのすべてがわかるわけではありませんが、自分の経験から、つらい思いをされていることは想像できます。

一人ひとりの健康に必要なことを大切に、柔軟な対応を

これまで医師生活の中で印象深いエピソードがありましたら教えてください。

陸馨仙院長 りくさと健康クリニック5

医師になって7、8年目の頃、当直をしていると、夜間に調子が悪くなる方がいました。通常、夜間に症状が悪化したり眠れないなどの場合には薬を使うことが多いのですが、その方にある言葉をかけたところ、「そういうことを言われたのは初めて」と、認めてもらえたという感じで泣いて喜ばれたことがあります。また別のケースでも、非現実的なことを口にしたことが影響して眠れずにつらい思いをしている患者さんがいらっしゃり、その方の場合も薬を使うのではなく、その方に寄り添っていくことがよかったこともありました。これらの経験は、人の心に寄り添うことができれば、薬を第一手段としなくても、その人が健康的に暮らしていく役に立てることもあるのではないかと考えたケースとして印象に残っています。

今後の展望をお聞かせいただけますか?

柔軟性をもって時代や周りの状況、一人ひとりのクライアントに合わせて変化するクリニックにしたいと考えています。医療は日進月歩で、10年前に適切だと考えられていたガイドラインの内容が今は違うということもありますので、私自身もさまざま変化に対応できるような姿勢でいたいですね。例えば、発達障害という診断を親御さんに説明する場合、今後の医療やサービスを受けるには、こういう判断が必要なために診断名をつけること、そしてこの診断基準自体が10年後は変わっているかもしれないことを必ずつけ加えて説明するようにしています。そもそも精神科医療はそのような性質をもっていることも話すようにしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

陸馨仙院長 りくさと健康クリニック6

ちょっと気になったり、何かに興味が湧くことがあったらクリニックのドアをノックしていただければと思います。困ったことがあって、「医者はどう思っているのか聞いてみたい」などのきっかけでも構いません。心療内科や精神科を身近に感じていただけたらうれしいですね。どうしたらいいのかわからないときもご相談いただければ、もし医療機関にかかる必要がないときは、そうお伝えします。どのような場合でも、お一人ひとりに合わせて柔軟に対応していますので気軽にお越しください。

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