花山真知子院長の独自取材記事

御殿山花歯科医院

(武蔵野市／吉祥寺駅)

最終更新日：2023/07/10

JR中央・総武線と京王井の頭線が乗り入れる吉祥寺駅から徒歩3分。吉祥寺通りに面したビルの4階に、「御殿山花歯科医院」はある。白を基調とした院内は、北欧をイメージした造りで、所々に配されたグリーンの壁が目に優しい。院長の花山真知子先生は、スウェーデンで学んだ歯科医療を診療に取り入れるスペシャリスト。できる限り体に負担をかけない低侵襲の治療を心がけ、マイクロスコープや口腔内スキャナーを積極的に活用し、将来にわたって長く患者自身の歯を残せるように努めている。「削ってしまった歯は二度と元に戻りません。精度の高い治療で少しでも削らない状態をつくることが必要です」と語る花山院長に、詳しく話を聞いた。

（取材日2022年6月22日／情報更新日2023年4月25日）

一人の患者の歯を一生診ていく診療をめざす
高水準の診療体制を実現するため、先進機器を導入
将来の健康を見据えた歯科診療を提供

一人の患者の歯を一生診ていく診療をめざす

スウェーデンで学ばれた歯科医療の中で、日本と異なる点はどんなことでしょう？

スウェーデン式の治療には、数多くの選択肢があって驚きました。同時に、日本人はもっと健康になれるのに、諦めているのではないかとも感じました。バックグラウンドが違うため、スウェーデンの治療をそのまま日本に持ってくることは難しいのですが、大学卒業後や開業前に勤務していたクリニックもスウェーデン式の歯科医療を一部実践していたので、再現性の高い状態で自分の診療に落とし込めたと思います。また当院では選択肢の多いスウェーデンの歯科診療に基づきながらも、マイクロスコープや歯科用CT、口腔内スキャナーなどの先進的な設備を導入し、治療精度を向上させるとともに、型採り材料などの医療廃棄物の削減に取り組む姿勢も重視しています。

こちらには、どのような患者さんが多くいらっしゃいますか？

スウェーデン式の歯科医療に興味を持ってくださる、デンタルIQの高い患者さんが多いですね。年代的には40～70代が中心でしょうか。ヨーロッパは、いわば自立支援型の医療なので、患者さんも一緒に頑張らなければならないんです。そうした面を理解した上で受診してくださる患者さんが多いことはとてもうれしいです。また、どこへ行っても抜歯の必要があると言われて困っている方もよく来院されます。もちろん当院でも難しい症例はありますが、適切な診断をもとに、歯を残したい、虫歯だけれど神経を残したいという方の希望に寄り添えるよう尽力しています。

診療方針を教えてください。

患者さんが維持したいと考える健康のレベルはそれぞれ違い、ライフステージによっても大きく変わるので、一人ひとりに合う治療やアドバイスをしていきたいと思っています。例えば、健康維持には運動が欠かせませんが、頑張りすぎて疲れている人に運動を勧めても本人はつらいだけです。また、持病があって自分の歯にそれほど重点を置けないという人もいます。その人なりの背景を考慮したサポートを歯科医師は行う必要があると思っています。スウェーデンでは、一度診た患者さんは一生診ていくということを勉強させてもらいました。ご自身の歯を残して長く使ってもらう、そこが患者さんのゴールであり私たちのゴールでもあるならば、長いスパンで物事を見ることが大事であり、それが患者さんと長く付き合っていく秘訣だと思います。

高水準の診療体制を実現するため、先進機器を導入

先進の設備を導入されていると伺いました。

3台あるユニットそれぞれにマイクロスコープを設置しました。クリーニングの際には、歯周病の一因となる歯の汚れを除去するため、パウダー粒子を歯に吹きつけるエアフロ―も活用しています。これなら、従来の超音波スケーラーなどより細部まで色素沈着や歯垢を除去することが期待できます。また治療中の粉塵や唾液が飛散しないよう口腔外バキューム、デジタルエックス線撮影装置や歯科用CTもそろえました。ほかにも治療中にパルスオキシメーターを使い、患者さんの血中酸素飽和度を把握したり、採血せずに貧血状態を測定したりと、見た目にわかりづらい患者さんの状況確認にも努めています。一方、最近導入した口腔内スキャナーは、スキャンするだけで型採りと噛み合わせの確認ができるので、嘔吐反射しやすいという理由から印象材などでの型採りが苦手な人も安心でしょう。加えて、データを技工所に送信するだけですので医療廃棄物の削減にもつながります。

クリーニングや治療の際にマイクロスコープを使用するメリットを教えてください。

お口の中の状態は一人ひとり異なり、汚れのつき具合も違います。クリーニングでは、複雑な形をした歯の表面を刃物のような器具で掃除していくので、場合によっては歯に傷がついてしまうこともあるんです。その点、マイクロスコープを使えば細かい所までよく見えるため、表面の傷を最小限にして汚れを取りやすくなりますし、歯を長く保つことにもつながります。治療においても同様で、侵襲を最小限にして残せる部分を増やすことが大きな差になるわけです。このように、マイクロスコープは精度の高いメンテナンスや治療を行う上で重要なツール。当院では歯茎の検査時、治療中の映像撮影にも使用していますし、歯科衛生士もマイクロスコープを使用してクリーニングを行っています。

歯科衛生士の方もマイクロスコープが扱えるのは、大きなメリットですね。

ええ。当院では、私だけでなく歯科衛生士全員がマイクロスコープを使い、診断やメンテナンスを高い水準で行える体制をめざしています。もし、私と歯科衛生士で違う見え方をしていたら、治療にズレが生じてしまうリスクがありますし、患者さんにも正しく状況をお伝えすることができないと思います。また、どの歯科衛生士もマイクロスコープをただ扱えるだけではなく、「長く健康的に歯を守っていく」という共通のゴールを見据えて診療にあたってくれています。クリニックのメンバー全員で口腔内を徹底的に把握し、患者さんにもご自分のお口に向き合っていただける。そんな歯科医院でありたいですね。

将来の健康を見据えた歯科診療を提供

先生の得意な治療はどんな分野ですか？

どの治療でもマイクロスコープを使用していますが、中でも根管治療に力を入れています。また、予防歯科の先進国と呼ばれるスウェーデンで学んだ経験も生かし、限りなく虫歯をゼロに近づけるような管理にも注力してきました。今まで虫歯ができやすくて困っていた方や、ご自身やお子さんの将来を考え虫歯ができにくい口腔内をめざしていきたい方にも特に来ていただきたいです。当院では、一般の虫歯治療から歯周病治療、矯正やマウスピースの作製まで、患者さんのニーズに合わせた、さまざまな診療に対応できるようにしております。少しでも気になるところがあればぜひご相談にお越しください。

歯科医師をめざされた理由を教えてください。

実家が曽祖父の時代から続く歯科医院でしたので、私も自然と歯科医師をめざしていました。実際に歯科医師になってみると、やはり肌に合っていると感じますね。曽祖父は、歯の修復法の一つである金箔充填の専門家でした。実家に残されている抜去歯の金箔充填を見ると、すごくきれいな仕事をしているなと思います。また、祖父は根管治療を得意としていて、海外からも材料を集めていたようです。私が歯科医師をめざしたのも、そういった仕事ぶりをずっと見てきた影響が大きいと思います。患者さんの中にも「この歯はおじいさんの治療だよ」と教えてくれる人もいて。自分も曽祖父のような治療を心がけたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

まずはご自身のお口の中の状態に関心を持っていただければと思います。それが将来の健康を守っていく第一歩です。仕事や育児の多忙さから、私自身も「自分のことは後回し」になってしまうことは多いのですが、そこをなんとか頑張って少しだけ早めに健康へのアプローチに時間を使っていけば、老後にお金がかからなくなると思います。歯科医院にも、できれば歯が痛くなる前に、そして歯がまだある状態で来院してほしいですね。理想は、何も問題がなくても、正しいケアのための定期的な通院が広まっていくこと。ぜひ気軽にいらしてください。