全国のドクター9,336人の想いを取材
クリニック・病院 158,521件の情報を掲載(2024年5月20日現在)

  1. TOP
  2. 沖縄県
  3. 浦添市
  4. 浦添前田駅
  5. ありんクリニック小児科
  6. 松田 竹広 院長

松田 竹広 院長の独自取材記事

ありんクリニック小児科

(浦添市/浦添前田駅)

最終更新日:2022/01/12

松田竹広院長 ありんクリニック小児科 main

浦添市伊祖のサンパーク通り沿いに新しく建てられたメディカルモール内に開業した「ありんクリニック小児科」。松田竹広院長は、「なんくるないさ」「なせば成る」を座右の銘に小児科診療を行う明るい笑顔が印象的な医師だ。頼まれると断れない性格から、松田院長が医師になった当時はあまり引き受ける人がいなかったという小児がんや白血病を担当。中部病院や琉球大学病院で経験を積んだ後、2021年に独立開業した。「小児がんや心臓病などの基礎疾患があっても、気軽に行けるクリニックが必要。子どもの治療はもちろん、悩みやストレスを抱える親御さんを癒やせる場所になれば」と語る松田院長に、医療にかける思いを語ってもらった。

(取材日2021年10月27日)

知識や経験を生かし、精神的にも支えになれる診療

医師をめざしたきっかけを教えてください。

松田竹広院長 ありんクリニック小児科1

人と関わる仕事がしたいと思っていました。特に子どもが好だったことから、教師や医師かなと漠然と考えていました。私は子どもの頃、とてもやんちゃで、しょっちゅう何かに頭をぶつけたり高いところから落ちたりして、ケガをするたびに診療所でお世話になっていたので、医師という職業を身近に感じるようになったのかもしれませんね。結果的に医師になる道を選びましたが、今でも保育園や小学校に検診に行くと、教師っていいなと思います。やはり子どもが好きですね。

子どもが好きということで、最初から小児科に進もうと決めていらっしゃったのでしょうか。

私は幼少期から運動が好きで、バスケットボールとソフトテニスなどのスポーツをやっていました。それらの経験から整形外科を考えていたのですが、手に汗をかきやすい体質で、外科の治療が難しいという問題に直面しまして。外科以外でやりたいことを考えとき、やはり「子どもが好きだから」と小児科を選びました。琉球大学病院、中部病院と県内の基幹病院の小児科医として経験を積んできましたが、特に中部病院にはさまざまな症例の患者さんが来院されましたね。沖縄は子だくさんのご家庭も多く、症例数が多いということで、全国の医学生が学びに来るほどなんです。そこでは非常に多くの経験を積ませていただきました。

小児科の中でも、どのような治療を専門にされていますか。

松田竹広院長 ありんクリニック小児科2

私は断れない性格で(笑)。当時は、小児科の中でも小児がんに携わる医師が少なく、求められている状況でした。そのため、南部医療センター・こども医療センターや国立がん研究センター中央病院では、小児がん、白血病を多く診てきた経緯があり、小児の血液のがんが専門になりました。抗がん剤治療を行う場合、1年くらい入院するのですが、治癒が期待できたとしても、親御さんの心配は尽きません。病気のお子さんがいる親御さんが大きなストレスを抱えることは多いので、親御さんのケアもとても重要だと考えています。闘病生活をしていると、お子さんのほうが元気に過ごしていることも珍しくないんですよね。親御さんとお子さん、両方のケアの重要性を感じてきました。

診療で心がけていることを教えてください。

ユタとスーパーコンピューターを足したような医師になりたいという思いで診療をしています。ユタと言ってもスピリチュアルな能力という意味ではありません。医師には、精神面での支えになるユタ的な要素も必要だし、多くの知識を蓄えているスーパーコンピューターのような要素も必要です。「人間は皆一緒。自分ができることは人にもできるからおごらずに。人ができることは自分にもできるはずだから萎縮するな」と考えて診療を行っています。それから「なんくるないさ」の精神ですね。あとは、親御さんばかりでなく、子どもともちゃんとおしゃべりするようにしています。どちらとも、コミュニケーションを取ることで良い関係を築いていきたいです。

基礎疾患がある子どもを積極的に受け入れる

この場所で開業されたのはなぜですか?

松田竹広院長 ありんクリニック小児科3

開業前は、沖縄県立南部医療センターで小児血液・腫瘍内科の副部長をしていたのですが、小児がんを担当したいという後輩が増えてきたので、席をつくってあげたいと思っていました。若手に道を譲ろうと考えたタイミングで、私の地元であるこの地で「ビルを建てるから開業しないか、ここは小児科が少ないから」という誘いをいただいたため、開業を決意しました。それまでにも開業の誘いはあったのですが、僕が生まれ育った浦添の、この場所での誘いだったというのが決め手になりました。クリニックにはいろいろな患者さんが来院されます。これまではがんの患者さんの診療しかできなかったけれど、今は不登校気味の患者さんや、風邪の患者さんなど、多様な患者さんと接することができます。クリニックだからこそのやりがいを感じる部分ですね。

不登校の患者さんというと、精神面のケアが必要ですね。

不登校の患者さんも多いですね。例えば、中学1年生や小学1年生などが新しい環境に適応できないケースや、コロナ禍で学校に行けずにストレスを抱えてしまうケースもあります。ところが児童精神科は常に予約でいっぱいで、新しく受診しようとすると、だいたい3ヵ月から半年くらい待たなくてはいけない現状があります。そのため、児童精神科の先生と連携して、受診できるようになるまでの架け橋として診療やケアを行っています。

こちらのクリニックの特色を教えてください。

松田竹広院長 ありんクリニック小児科4

市の委託事業として病児保育・病後児保育も行っています。病児保育は経営的な面で難しい部分もあるようで、辞めてしまうところも多いようなのですが、開業にあたり浦添市からの要請を受けて、地域貢献の一環として行うことにしました。沖縄県は共働きで仕事を休めない親御さんが多く、そういう方々が子どもを預けられる場所を探していると聞いています。当院の病児保育は、浦添市以外の方でも利用できるので活用いただきたいですね。また、がんや心臓病など、基礎疾患のある患者さんを積極的に受け入れていますので、お困りの方はご相談いただきたいですね。

基礎疾患があると、町の小児科を受診しにくいのでしょうか。

総合病院に勤務していた際、基礎疾患がある患者さんが風邪をひいたときなど、簡単な病気でも近くのクリニックではなく、わざわざ遠くから車で1時間くらいかけて総合病院を受診される方が珍しくなかったです。基礎疾患があっても安心して診てもらえる地域のクリニックが必要だと常々考えていたため、開業にはそういった場所をつくる・増やすという意味もありました。私は救急室でてんかんや発達障害、未熟児なども多く診てきましたし、病診連携も取れているので、可能な限り、皆さんを受け入れたいと考えています。

子どもの治療はもちろん、保護者の悩みも癒やしたい

患者さんや親御さんと接していて感じることはありますか。

松田竹広院長 ありんクリニック小児科5

必要以上に不安になっている人が多いので、不安を取ってあげられる治療がしたいですね。症状によっては薬なんて必要ないことも多いのですが、「不安だから病院に行く」人がほとんどではないでしょうか。その不安をごまかすのではなく、きちんと説明して解消してあげられればと思います。ですから、診察時間が長くなってしまいがちなんです(笑)。患者さんや親御さんを安心させてあげられて何でも話せる、おじい・おばあのような存在でありたいです。

今後の希望や展望をお聞かせください。

自分のキャリアを生かせる部分は病診連携ですから、そこに力を入れていきたいです。あとは地域で重症な子を診てあげたいと考えています。例えば小児がんでは、がんの子どもを家で看取りたいけれど、在宅で診てくれる医師がいないという問題がありますので、在宅医療、看取りをやっていきたいと思っています。遠くまで行かずに地域で完結できる医療を提供したいです。

読者の皆さんへメッセージをお願いします。

松田竹広院長 ありんクリニック小児科6

人と人として向き合っていきたいです。病気に限らず、子どものことで困っていること、悩んでいることがあれば相談してください。病気を治すには知識と薬で十分ですが、それでは癒やせない部分もあります。親御さんが抱える精神的な苦痛や悩みも癒やし、解決できる場所でありたいと考えています。子どもたちを笑顔にし、家族にはその子どもの笑顔を見て幸せになっていただきたいです。

Access