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梶本 心太郎 院長の独自取材記事

かじもと内科在宅クリニック

(東大阪市/鴻池新田駅)

最終更新日:2024/03/01

梶本心太郎院長 かじもと内科在宅クリニック main

学研都市線鴻池新田駅から徒歩圏内の住宅地にある「かじもと内科在宅クリニック」。内科をはじめ、アレルギー疾患や皮膚疾患、小児科などの診療を行うとともに、通院が困難な患者を対象にした訪問診療にも注力しているのが特徴だ。院長の梶本心太郎先生は、ハキハキとした関西弁と優しい笑顔が印象的。専門である救急医学にとどまらず、離島医療、訪問診療などに携わり、さまざまな医療現場での豊富な診療実績を持っている。「それぞれの患者さんが望む治療を提供できるよう、一緒に診療方針を考えています」と、話す梶本院長。外来の患者はもちろんのこと、自宅療養の患者やその家族にとっても支えとなれるよう尽力している梶本院長に、これまでの歩みや診療の際に心がけていること、患者への思いなどを聞いた。

(取材日2024年1月31日)

すべての患者にできる範囲で力を尽くすことがモットー

大学卒業後は、幅広い分野の知識が求められる救急医学の道を選ばれたのですね。

梶本心太郎院長 かじもと内科在宅クリニック1

関西医科大学卒業後、重症患者の治療に携わりたいと考え、同大学総合医療センター救急医学科の救命救急センターに入局しました。途中で出向もありましたが、救急医学科にはトータルで8年間在籍していました。救急医学科でいろいろなことを学び経験できたことが、医師としての糧になっています。救命救急センターは、「すべての患者さんを受け入れて全力で診療する」というスタンスが当たり前の世界。私の中にも「どんなに症状が重い患者さんでも受け入れ、診るのが当たり前」というマインドが自然と植えつけられました。すべてを一人でできるわけではありませんが、どんな状況からも逃げずに自分のできる範囲で対応するという気持ちをもって診療に臨んでいます。

その後も幅広く研鑽を積まれたとのことですが、特に離島医療について詳しく聞かせてください。

もともと私はいろいろな疾患や患者さんを診るのが好きなので、救命救急センター時代に機会が少なかった、慢性疾患の患者さんの治療経験をもっと積みたいと思っていました。それに、スタッフや医療機器などのサポートが手厚かった大学病院などと異なる環境に身を置き、どこまで自分自身が地域の皆さんに貢献できるかチャレンジしてみたかったのです。そこで2年間、鹿児島県の隆起珊瑚礁の島である喜界島にある喜界町国民健康保険診療所で所長として勤務しました。のんびりと穏やかな島で、島民の皆さんも温かく迎えてくださいました。まだ小さかった長男も楽しく過ごしながら元気に成長できて、本当に良い思い出しかないですね。高血圧などの慢性疾患を抱える患者さんを数多く診療し、スキルアップできたと感じています。

そこで取り組まれていたのが、現在力を入れている訪問診療だったのでしょうか。

梶本心太郎院長 かじもと内科在宅クリニック2

そうですね。喜界島では患者さんのお宅に週に1、2日程度通っていたのですが、正直手探りの状態でした。ですから、もう少し勉強が必要ではないかと考えたのです。そこで、訪問診療が専門の大阪北ホームケアクリニックに勤めました。勉強していくうちに訪問診療が自分に合っていると感じるようになりました。訪問診療の患者さんは、末期がんなど体力がかなり落ちてしまった方が多く、「良くなりたい」と願う患者さんばかりではありません。「周りにあまり迷惑をかけることなく、自分らしく最期を迎えたい」というご高齢の患者さんもおられました。そのような患者さんと接して実感したのが、「患者さんが治療の次の段階に求めるものは、それぞれの患者さんで異なる」ということ。訪問診療では特に、患者さんがその人らしく過ごすために必要な治療が大切であると気づかされました。

患者が何を望んでいるのかを最優先に考えた治療を提供

ご自身に合っていたという訪問診療をメインに行うために開業されたのですか。

梶本心太郎院長 かじもと内科在宅クリニック3

ゆくゆくは訪問診療に対応するクリニックの開業を考えてはいましたが、この周辺の地域に訪問診療を行うクリニックが少ないからとお話をいただいたのが始まりです。訪問診療にやりがいを感じていましたし、他の外来の診療においても、これまでの経験を生かせるのではないかと思い、開業を決意しました。先程もお話ししたように、あらゆる患者さんを診るのが好きなので、当クリニックでは総合的に幅広い症状を診るようにしています。より詳しい検査や手術が必要な場合などは、患者さんの気持ちも踏まえて治療方針を立て、他院とスムーズに連携することも私の役目だと思っています。自分の足りない部分を勉強しながらいろいろな症状の患者さんを診療することが、自分の成長につながっていると実感する毎日です。

幅広い分野の診療と並行しながら訪問診療をされているのですね。

訪問診療と外来の診療は、それぞれ時間帯を分けて行っています。訪問診療は、基本的にはお一人での通院が困難な方が対象です。ご高齢の方や末期がんの患者さんのほか、子どもの患者さんも一定数おられるほか、最近では認知症などの精神科の疾患をお持ちの患者さんも利用されています。ケアマネジャーさんや病院、訪問看護の看護師さんから患者さんを紹介されるケースが多いですが、患者さんのご家族からご相談されることもありますよ。最近では小型のエコーを導入したので訪問先で診断できるようになり、時間をおかずに処置などに対処できるようになりました。

患者さんと接するときに、どのようなことを心がけていますか。

梶本心太郎院長 かじもと内科在宅クリニック4

慢性疾患や訪問診療の患者さんは、病気と付き合いながらの暮らし方を考えることになりますよね。ですから、患者さんがどこまでの治療を望まれているのかなどを、コミュニケーションを深めながら捉えるよう努めています。また、治療方法が一つではない疾患については、治療の選択肢を患者さんに提示するようにしています。治療方法についてそこまで詳しくない患者さんが多いので、それぞれの治療方法を説明しながら一緒に考えるのが私のスタンスです。初めのうちは、患者さんにとって私は「見も知らない人」なわけですから、心を開いていただくのはそう簡単ではありません。それでもせめて、患者さんの現状やライフスタイルに合っている治療方法を見つけてあげたい、その一心で診察し、患者さんの声に耳を傾けています。

訪問診療のメリットは「見守られているという安心感」

ゆったりとした待合室が印象的ですね。また、他にクリニックとしての特徴を教えてください。

梶本心太郎院長 かじもと内科在宅クリニック5

感染症対策に加え、患者さんが落ち着けるのではと思い、座席をパーテーションで区切っています。また、薬を院内処方にしています。わざわざ調剤薬局などに出向く手間が省けますし、費用の面でもメリットがあるのではないでしょうか。スタッフも少数精鋭で、訪問診療は私と看護師の2人体制で行っています。訪問診療についてですが、私たちが出向くのは週に数回で、それ以外はご家族やヘルパーさん、訪問看護専門の看護師さんなどが患者さんをケアしています。その方々と当クリニックで一つのチームとなって、互いに気がついたことなどを皆で共有しながら、患者さんに安心して過ごしてもらえるようにサポートしています。

お忙しい中、つかの間のお休みはどのように過ごされていますか。

以前はマラソンに出場したりしていましたが、今はそのような機会もなかなかありませんね。子どもたちもすっかり自立しています。でも、喜界島から本土に戻ってから、それまで子育てをしてくれていた妻が医師として勤務し、反対に私が子育てに集中した時期もありました。今思い出しても、当時はかなり苦労しましたね……。もちろん、子どもの成長を間近でみることができて楽しかったですし、ドクターとしても本当に勉強になったと思います。

最後に今後の意気込みとメッセージをいただけますか。

梶本心太郎院長 かじもと内科在宅クリニック6

健康や人生に対する考え方は年齢とともに変化していくものであると、ご高齢の患者さんと接していると特に思います。これからも成長しながら、それぞれの患者さんの考え方を今以上に理解できるようになっていきたいですね。訪問診療について、「内容は何となく知っているけれど、受けるきっかけが難しい」とよく言われます。ただ、通院が困難な方や入院せずに自宅で療養したい方など、訪問診療の対象になるケースは意外と多いです。患者さんやご家族が一度外来の診察を受けてみて、その上で訪問診療を検討していただけるのは、外来診療も行っている当クリニックならではでしょう。患者さんが治療だけではなく、「診察を受けている」という安心感を得られるのが、訪問診療のメリットの一つだと思います。あまり難しく考えずに相談していただきたいですね。

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