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北條 裕美子 院長の独自取材記事

ゆみメディカルクリニック

(川崎市幸区/川崎駅)

最終更新日:2024/03/12

北條裕美子院長 ゆみメディカルクリニック main

消化器内科・内科を中心にクリニックならではのこまやかな医療を提供する「ゆみメディカルクリニック」。救急を担当していた都立病院の勤務医時代は、ドクターヘリや離島での診療に携わるなど、さまざまな経験を積んできた北條裕美子院長。医療だけに留まらず、大学時代はショーモデルとして活躍、アロマテラピー検定1級資格と1級船舶の免許を持ち、大手料理教室の講師も務めた。すべてにおいて高いレベルを求める北條院長の姿勢は、同院の診療にも生かされている。定期的に同院を訪れ、患者を癒やすセラピー犬の導入もその1つだ。マルチな才能を持ち、気さくで話しやすい北條院長に同院の診療方針や患者への思いを聞いた。

(取材日2024年1月30日)

救急医療の現場で培った知識と技術を生かした診療を

とても居心地の良い院内ですね。

北條裕美子院長 ゆみメディカルクリニック1

カフェや美容院など、皆さんが日常で行かれる空間にあるようなインテリアをクリニックに置くことで、来院しやすい場所になるのではないかと考え、自分で一つ一つの棚や椅子を選びました。診療を待つ間の緊張がほぐれ、ストレスのない心地良い空間になるようコーディネイトのカラーリング、椅子の座り心地の良さ、観葉植物の配置、ライティングは間接照明にして緊張を伴いやすい蛍光灯色ではなく白色灯を用いています。今は、待合室に流れる音楽はジャズをかけていますが、クリスマスの時期にはクリスマスソング、夏はハワイアンなど季節に合わせて変えています。

先生のご経歴と開院までの経緯を教えてください。

開院前は救急医療に携わっていました。都立病院では「絶対に断らない救急」で消化器内科を担当し、それと並行して健診業務など、いくつかのわらじを履いていました。都立病院では、毎年、三宅島や八丈島、小笠原諸島など離島へ都民健診のために出張することもありましたね。いろいろな科の先生方や臨床検査技師、看護師など約20人がチームを組んで赴くのですが、私は消化器のドクターとして1日に多くの内視鏡検査を行っていました。島民が内視鏡検査を受ける機会は少ないため、この検査で早期胃がんを見落としたら、来年には進行がんになっているかもしれないといったプレッシャー、検査する人数が多いため短時間で検査を行うという環境下でしたから、いろいろな面で内視鏡検査の技術が磨けたと自負しています。その後、大きな病院ではできないこまやかな医療の場を提供したいと考えて開院し、今年で5年目になります。

どのような患者さんが来院されますか?

北條裕美子院長 ゆみメディカルクリニック2

30代から50代の比較的若い方が多いですね。当院は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を積極的に対応していたので、その際に高齢者の方々が来院され、当院の存在に気がついていただくことができました。以降、ご年配の患者さんも増えています。診療の中心は消化器内科ですが、これまでの経験とオーバーラップする生活習慣病も診ています。また、働き盛り世代が多いことから、健診など予防医学にも注力しています。女性の患者さんの中には、大腸内視鏡検査をはじめとしたさまざまな検査で「女性の先生が良かった」と言って来られる方も多いですね。

患者の緊張感を軽減する工夫とセラピー犬の活躍

こちらではセラピー犬が診療のお手伝いをしているそうですね。

北條裕美子院長 ゆみメディカルクリニック3

内視鏡検査や採血、超音波検査などを受ける際、われわれが思う以上に恐怖感や緊張を伴われる方が多くいらっしゃいます。そういう患者さんの感情をセラピー犬の「ベーグル」が察知して付き添ってくれます。ベーグルは盲導犬協会のキャリアチェンジ犬です。訓練して盲導犬になれる犬は全体の約3割で、ベーグルの場合は人懐っこ過ぎて、公園でいろいろな人にあいさつに行ってしまい盲導犬には向いていないと判断されていました。それなら、セラピー犬にということで、大型犬の飼育経験や飼える環境の整備などのハードルをクリアして迎えました。神奈川県はアニマルセラピーの土壌があり、現在もさまざまな医療機関にセラピー犬がいて、中には手術室にも付き添うようです。セラピー犬は、お子さんを中心に怖がる人のストレス軽減、手術後の痛み軽減などに有用といわれています。

すっかりスタッフの一員ですね。

週に4~5回、当院で診療を手伝ってもらっています。犬を怖がる人や嫌いな人がいたらどうしようと思いましたが、皆さん思った以上にポジティブで「こんな子が迎えてくれたら楽しいです」「また会いに来ました」と、診療に来ているはずが、どちらが目的かわからないぐらい受け入れてくださっています。中には怖いとおっしゃる方もいるので、そういうときは、ベーグルには隣の処置室で控えてもらいます。初診の患者さんには「今日はセラピー犬がいる日なのですが大丈夫ですか?」とお声がけをしています。

リラックスできる環境づくりは一環したコンセプトですね。

北條裕美子院長 ゆみメディカルクリニック4

救急病院に勤務していた時、外来は女性の患者さんの割合が高かったことから、開院の際には女性が多くなることを予想し、心地良い環境づくりを心がけました。あくまでも診療の軸は消化器内科、内科ですので、例えば、院内でたくアロマは柑橘系やティーツリーなどグリーン系の神経を落ち着かせる作用のあるオイルを選ぶなど、男女ともに居心地の良いニュートラルな立ち位置にしています。スタッフには、患者さんがクリニックに来ることのハードルの高さや通院を続けることの難しさ、仕事や育児の忙しさの中で何とか時間を割いて来ている、そこを理解してほしいとお願いしていますね。

救急と健診をつなぐ予防医療に力を入れていきたい

こちらでは大学病院レベルの検査機器を導入しているそうですね。

北條裕美子院長 ゆみメディカルクリニック5

「とりあえず薬を出しておきましょう」ではなく、根拠を持った治療をしたいと考えて検査設備をそろえました。必要な状況に応じて必要な検査を実施し、過不足のない治療を行うことをめざしています。検査のためにあちこちの病院へ行くことになると、どこかで脱落するリスクが増えます。実際、患者さんから「ここで検査ができるのはうれしい」と言われることがよくありますね。受診したクリニックで検査もできれば、それは治療の質の向上につながりますし、患者さんのQOL(生活の質)の向上につながると思います。検査が分断してしまうと、早期胃がんが見つかる可能性を摘んでしまうかもしれません。救急に携わりながら同時に健診を行っていた頃は、健診では早期の病気を症状がないうちに見つける、救急では相当悪化した段階で病院に運ばれて来るという、ちょうど表と裏を見ているような感覚でした。そこをつなげられたらという思いがあります。

診療で大事にしていることは何ですか?

患者さんの希望する意図をくみ取ることを心がけています。例えば、漢方薬を希望する人に対しては「なぜ漢方薬が好きなのか」「副作用が怖いのか」と考え、長期に服用しても副作用が少ない、依存性を形成しにくい西洋薬を選択するなど、背景にある理由を理解し、薬や検査の選択、検査の時期の選択をするなど、治療方針に生かしています。その上で、本人がやりたくないと言っても絶対に必要な検査であれば、理由をしっかり説明してご理解いただくようにしています。正直、薬だけを出しているほうが楽ですが、取り返しのつかない状況にならないよう、問題ないことを確認するために検査をします。また、入院が必要な場合は病院を紹介しますが、検査待ちの可能性もあるので、ここでできる限りの検査をして患者さんを送り出すようにしています。患者さんにとって最短距離の治療、最善の治療を時間的にも内容的にも質的にも選べるよう頑張っています。

地域にとってどのようなクリニックでありたいか、読者へのメッセージもお聞かせください。

北條裕美子院長 ゆみメディカルクリニック6

今後は、予防医学にさらに力を入れたいと思っています。良い治療はもちろん、健診施設のような役割と検査後の治療ができるクリニックがあれば、トータルな診療ができて良いですよね。また、病気のある人が受けられる食事指導や健康教室、病気になる前に受けておきたい検査がわかるセミナーなども考えています。食事指導では、例えば脂質が多い食べ物や、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎の患者さんが食べてはいけない物など、毎月テーマを変えたセミナーを開催したいですね。実は以前、大手クッキングスクールの講師を務めていたことがあるので、その技術と医学的なことをつなげて何かできたらと思います。症状があっても我慢して、半年後、1年後にクリニックを訪れる方がたくさんいらっしゃいます。日々、忙しいと思いますが、健康は最優先でお願いします。健康あっての仕事、体あっての育児だと思います。

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