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奥村 昌央 院長の独自取材記事

おくむらクリニック

(富山市/下奥井駅)

最終更新日:2022/04/04

奥村昌央院長 おくむらクリニック main

富山港線・下奥井駅から徒歩15分。「おくむらクリニック」は、泌尿器科と内科のクリニックだ。奥村昌央院長は、大学病院や基幹病院の泌尿器科勤務で手術経験を積み2018年に開業。排尿について悩みを抱える患者のほか、生活習慣病などの患者も診ている。「患者さんにストレスなく来ていただけるように、門戸を広げ診療のハードルを下げたいですね」と語る奥村院長。的確な診断をして、手術が必要な患者や専門外の患者に対しては地域の医療機関と連携する中継役も果たしたいとの考えだ。医師を志した10代の頃、へき地での医療に携わることを目標にしていたという奥村院長。開業4年目の現在「将来的には在宅医療も考えています」と、地域を支えたい思いを語る。奥村院長に、泌尿器科の疾患についてや診療時に大事にしていることなど話を聞いた。

(取材日2022年2月16日)

手術経験も豊富な泌尿器科のスペシャリスト

泌尿器科と内科がご専門ですが、開業にこちらの場所を選ばれたのは理由があるのでしょうか?

奥村昌央院長 おくむらクリニック1

富山駅の北側には、泌尿器科を掲げているクリニックがほとんどないんです。ほかのエリアには総合病院など大きな病院があって、泌尿器科がありますので。この辺は空白地帯といったところでしょうか。患者さんの中には、泌尿器科に行くのは気恥ずかしく思う方もいらっしゃいますが、大きな病院だったら行きづらいけれど、クリニックは来院しやすいようで、「思い切って来て良かった」とおっしゃる方もいます。基幹病院で行うような一般的な外来検査はできる状況ですので、地域の皆さんに気軽に来ていただきたいですね。

どういった患者さんが来られていますか?

患者さんの7割ほどが泌尿器科を受診される方々です。男性では、尿が出にくい排尿障害や夜間頻尿でお悩みの60代から70代の方が多いかと思います。女性では、頻尿や尿失禁などで来られる同じく60~70代の方のほか、排尿痛、頻尿、残尿感などの膀胱炎の症状で来られる20~30代の方も多いですね。内科に関しては、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病の方、風邪などの感冒の患者さんが来られています。

泌尿器科というと、男性の病気では前立腺に関わるものも多いのでしょうか。

奥村昌央院長 おくむらクリニック2

そうですね。前立腺の疾患の相談は多いと思います。代表的なのが前立腺肥大症です。前立腺の内側が肥大すると、尿道が圧迫され蛇口を閉めたような格好になり、排尿障害が起こります。一方、前立腺の外側の部分が硬くなる病気が前立腺がんです。肥大症の場合は尿道が狭くなり尿が出にくいので、すぐに自分でわかるんですけど、がんの場合は前立腺の外側にできるので尿の排出には異常がないことが多く自覚症状がほとんどないんです。直腸内触診といってお尻から指を入れて前立腺を触診し、初めて硬いかどうかがわかるんですね。診断には触診のほか、超音波検査、検尿、PSA測定などの検査を行い、前立腺がんが疑われる場合は基幹病院に紹介し、診断に有用なMRI検査を受けていただきます。

女性の泌尿器の病気は、どういったことに注意が必要ですか?

女性の場合、膀胱までの尿道の長さが4~5cmと短いことと、肛門と尿の出口が近いという特徴があります。そのため、排便の時に細菌が膀胱に入りやすく膀胱炎になりやすい状況があります。また、出産で骨盤底筋が弱ってしまって、尿失禁が起こりやすくなるケースもあります。対応としては、骨盤底筋を鍛える体操を行うほか、腹圧性尿失禁に対して薬の効果がなければ、侵襲の少ない中部尿道スリング手術などを行います。手術は当院では行っていませんので、手術が必要な場合は基幹病院と連携を取っています。

尿路結石の罹患が縁で泌尿器科へ。経験が強みにも

医師をめざしたきっかけを教えてください。

奥村昌央院長 おくむらクリニック3

もともと勉強にあまり熱心ではなかったんですが、中学2年の冬に学習塾のドキュメンタリー番組を見まして。大阪の塾の子たちだったんですけど、高校受験のためにものすごく勉強していて、同じ中学生でもこれほど勉強している連中がいるのかと驚き、自分も頑張ろうと思いました。中学3年の春から本格的に勉強するようになって、その時に医師になろうかなと漠然と思いました。その頃はへき地医療をやりたいという思いがあり、田舎で自然に囲まれながら暮らすおじいちゃん、おばあちゃんの診療をやりたいというのが一番の目標でした。

泌尿器科を選ばれたのは?

大学6年の時、後輩と2人で春の剱岳に登っていて尿路結石になりまして。剣岳でも最奥部の小窓という場所で、ひどい痛みで1時間くらい飛び跳ねていました。ちょうど泌尿器科の病棟実習中だったので、下山後、実習先の泌尿器科にそのまま入院し、それが縁で泌尿器科に入局することになりました。

尿路結石は繰り返される病気と聞きました。

奥村昌央院長 おくむらクリニック4

そうですね、再発しやすいです。当院の患者さんにも、何度もいらっしゃる方がいます。自分が尿路結石を経験しているので患者さんの気持ちがわかり、説明しやすいですね。結石が小さい場合は命に別状はないので、ある程度水分を取って運動を心がけるようにとお伝えしています。尿路結石が大きければ、結石を壊すための処置を治療が必要であり、手術を要する場合は連携する基幹病院を紹介しています。

先生は、登山をなさるんですね。

出身が氷見なんですが、小さい頃は父親に連れられて、山の中へ山菜取りによく行っていました。山登りは高校生の時に始めました。高校、大学と山岳部に入り、大学時代は社会人の山岳会にも入っていました。山岳会では冬の剱岳や難所ルートにも挑戦していましたね。厳しい状況のところに無我夢中で行っていました。登山は、何も考えず真剣に勝負できるところが好きです。自分1人で行くこともあるのですが、何がなんでも帰ってくるという、強い意志で行きます。命を落とした仲間もいますが、やめようと思ったことはないです。仕事に就いてからは休みに体を動かすことと気分転換のために、週に1回は山道を10キロ程度ウォーキングすることを心がけています。山を歩いていると五感が研ぎ澄まされ、体も鍛えられていいですね。

気軽に受診できる地域の泌尿器科をめざす

今まで診療されてきた中で、印象に残っていることをお聞かせください。

奥村昌央院長 おくむらクリニック5

以前在籍していた病院で、事故で肺損傷、肝損傷、腎損傷など全身に外傷を負い、手がつけられないほどの患者さんの治療に携わったことがあるんです。20代の方で、3ヵ月という長い期間にわたって何度も手術を繰り返しました。その方が退院される姿を見て、人間の生命力に感動したことは今でも覚えています。諦めてはいけない、最後まで全力を尽くすことが医師の気構えとして大事なのだとあらためて感じた出来事でした。

診療で大切にされていることは何ですか?

患者さんにわかりやすく丁寧に、納得してもらえるまで説明するように心がけています。高齢の方で耳が不自由な患者さんには、ホワイトボードに書いてコミュニケーションを取るようにしています。予防についてもかなり時間を割いてお話ししますね。尿路結石に関しては、自分の経験に基づいて、食事や運動などいろいろアドバイスしています。開業前、黒部市民病院に9年半いましたが、そこで腎臓や膀胱、前立腺のがんや尿路結石などいろんな疾患の手術を行ってきましたので、手術が必要に思える場合には、早急に基幹病院に紹介するようにしています。

今後の展望を聞かせてください。

奥村昌央院長 おくむらクリニック6

泌尿器系の治療法は細分化してきていて、病院ごとに得意分野を持つようになってきましたので、当院でも地域の医療機関とのネットワークを生かして対応しています。何より患者さんにストレスなく来ていただけるように門戸を広げてハードルを低くし、的確な診断をする、そういった中継役をしっかり務めていかなくてはなりません。そして、なるべく薬を飲まなくてもいいように生活習慣病の方を指導して、日常生活からアドバイスをしていきたいですね。将来的に診療にゆとりができたら、在宅医療も行いたいと考えています。

新型コロナウイルスが流行しているさなかですが、注意すべきことがあれば教えてください。

新型コロナウイルス感染症が流行してからというもの、発熱があると通常どおりに診療してもらえない状況が続いており、時々、尿路感染症での発熱の場合でも警戒され、診てもらえなくて困っていると来院される患者さんもいらっしゃいます。排尿痛や頻尿で発熱がある場合には、女性では腎盂腎炎、男性は前立腺炎が疑われ、早急に抗菌剤治療が必要です。そのような症状がある場合にはぜひ当院にご連絡ください。

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