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野村 哲志 院長の独自取材記事

のむらニューロスリープクリニック

(米子市/河崎口駅)

最終更新日:2022/02/15

野村哲志院長 のむらニューロスリープクリニック main

白いシンプルな外観にブルーのロゴのコントラストが爽やかな印象の「のむらニューロスリープクリニック」。内浜産業道路から近く、自家用車でアクセスしやすい環境だ。院内は木目のフローリングが敷かれナチュラルなテイストで、待合室はもちろん、診察室や検査室、処置室も明るい雰囲気。頭痛やめまい、しびれ、物忘れ、脳や神経に関する病気の後遺症の対応など、脳神経内科の分野の症状を幅広く診療。また不眠やいびき、睡眠時無呼吸症候群といった睡眠に関わる悩みにも対応する。「早期の診断・治療が鍵となるケースは多く、ちょっとした症状が重篤な病気のサインである可能性もあります。どんな小さな困り事も相談を」と野村哲志院長は話す。

(取材日2020年2月17日)

大切な家族の病が、脳神経内科の道へと背中を押した

医師をめざされたきっかけは?

野村哲志院長 のむらニューロスリープクリニック1

私が子どもの頃、祖父が脳梗塞で倒れて寝たきりになり3年で亡くなってしまいました。「元気な人だったのに、頭をやられるとこんなことになってしまうんだ」と衝撃でした。その記憶が強く、医学部に進む時には脳に関する分野しか考えていませんでした。小学校の授業で脳の不思議について取り上げられたことも心に残っています。中でも面白かったのが、目覚まし時計をセットしなくても「この時間に起きたい」と決めて眠るとそのとおりに目覚めやすいという話。実際に試してみたら、本当に思ったとおりの時間に目が覚めました。「脳は人間にとって大事なものなんだな」と感動し、脳のメカニズムに関心を強めていきました。

脳神経内科を選んだのはなぜでしょうか?

大学時代に研修を受けた病院で、パーキンソン病の患者さんを受け持った経験が、脳神経内科に興味を持ったきっかけの一つです。その方は体の動きの違和感から受診をされたのですが、診察する中でそれはパーキンソン病の初期症状であることに気づき、適切な治療につなげることができました。その時、診断によって患者さんの病気の発見をして、その方や症状に合わせた治療方針を決められる脳神経内科の仕事に手応えを感じました。その後、島根医科大学医学部の付属病院の脳神経外科に勤務しましたが、徐々に脳神経内科に気持ちが向いていきました。祖父の闘病から関心を持っていた脳梗塞も、早期治療ができれば発症後の経過も大きく変わりますし、そもそも、生活習慣病をはじめとした危険因子の段階から治療をすれば防ぐことも見込める病気です。それができるのは脳神経内科だと気づき、鳥取大学医学部附属病院の脳神経内科に移りました。

睡眠障害の治療に注力するようになったきっかけは?

野村哲志院長 のむらニューロスリープクリニック2

鳥取大学医学部附属病院で、パーキンソン病と、そこと関わりが深いといわれる睡眠をテーマに研究をしていたのですが、当時、さまざまな病気の前段階になることがわかってきた睡眠障害にも強い興味を持つようになりました。例えば、通常は抑制機構が働くため体が動かないはずの「レム睡眠」時に、何らかの原因で抑制機構が阻害されることで、体が夢の内容のままに動いてしまう「レム睡眠行動障害」という症状があるのですが、近年、この症状からパーキンソン病やレビー小体型認知症に移行する可能性について解明されてきています。そうした症例を見ていくうちに、パーキンソン病や認知症は発症する人に何らかの睡眠の傾向があるのか、そうだとしたら早い段階で介入し良い方向に導けないか、という思いが芽生え、脳神経内科と並行して睡眠障害の治療にも取り組むようになりました。

睡眠障害治療は脳神経内科とは異なる分野かと思いますが、どのように学ばれたのですか?

私が鳥取大学にいた当時は、現在、東京医科大学で睡眠学講座の教授をされている井上雄一先生が精神科の講師として在籍されており、井上先生との研究を通して睡眠障害治療について学ばせていただきました。また、脳神経内科について先進的な取り組みがあり、睡眠研究をされている教室があった、オーストリアのインスブルック医科大学に留学する機会もいただき、その中で睡眠障害のさまざまな症状を実際に診させていただきました。そうして学んだ知識や経験をつなげていければと、クリニック名に「ニューロスリープ」を冠しました。

睡眠障害や頭痛に、多様な角度からアプローチ

睡眠障害の治療について教えてください。

野村哲志院長 のむらニューロスリープクリニック3

当院は身体・精神・環境など多様な角度から対応します。抱える問題は一人ずつ異なるもの。まず「何の薬を飲んでいるか」「どんな病気を持っているか」「きっかけになった出来事はないか」「夜中にトイレに起きるか」など詳しくお聞きします。そこから原因に合わせて、精神面に原因があれば気持ちを安定させるための薬を、トイレの悩みがある方は膀胱に異常がないか調べた上で排尿改善に役立つ薬を出す、と睡眠薬の投薬に限定せず治療を進めます。また、投薬に頼らない睡眠に向かえればという想いで、快方に向かう様子があれば薬を減らしていって必要がなくなれば投薬を終了できるように進めています。一人ひとりの状態に向き合いますので、どんな睡眠の悩みもまずはご相談いただきたいです。初診も予約制ではなく診療時間内で行い、多少混み合いますが土曜も対応していますので、働き世代の方もお越しいただきやすいと思います。

脳神経内科にはどのような主訴がありますか?

一番多いのは頭痛です。一口に頭痛といってもくも膜下出血など危険な状態が隠れているケースもあるため、画像診断でその可能性を排除してから治療を進めます。しびれに関する相談も受けています。原因はさまざまで、頭、脊椎、末梢神経などの病気、中には糖尿病に由来するものも。脳梗塞後のまひのフォローやパーキンソン病の診断・治療も行っています。最近では認知症の相談も増えていますね。軽度の場合は薬で対処できることが多いので、「最近、物忘れが少し増えたかも」といった気になる症状があれば、早めにご相談に来ていただきたいです。

他分野を専門とする医師と連携して治療されることもありますか?

野村哲志院長 のむらニューロスリープクリニック4

症状の原因が専門外の部分にあると考えられる場合は、他の病院を紹介させていただいています。例えば不眠で相談に来られた方が、高血圧、糖尿病、心房細動などの疾患を持っていた場合、血栓ができやすく脳梗塞のリスクがあります。循環器などそれぞれの専門の医師に紹介状を書いて詳しく検査・処置をしてもらい、その上でまだ不眠が続くようなら再度診察に来ていただき、治療していきます。また、当院の画像診断はCTのみなので、MRIが必要な場合は大学病院などに行っていただきます。大きな病院での検査というと大変そうに聞こえますが、画像を撮るだけならスムーズに予約できると思いますし、医療連携のWEBシステムを使いオンラインで画像を見ることができるので、時間をかけずに診断できますね。

早期の治療が人生を開く。小さな悩みも相談を

睡眠障害を放っておくとどんなリスクがありますか?

野村哲志院長 のむらニューロスリープクリニック5

睡眠障害が引き起こす大きな病気もあります。まず認知症。通常は就寝中に排除される脳内物質「アミロイドβ」が、不眠が原因で、年齢とともに蓄積されていくことで認知症を引き起こすといわれています。次に、睡眠時無呼吸症候群は心筋梗塞や脳梗塞につながりやすく、脳血管性認知症のリスクも。睡眠時無呼吸症候群というと肥満のイメージを持つかもしれませんが、最近は若年層で痩せ型の人からのご相談も増えています。顎が細くなったことから、ちょっとした変化で無呼吸になりやすい傾向が出てきたためです。体型に関わらず、「いびきが気になる」「昼間に眠くなる」「夜頻繁に目が覚める」といった症状がある方は診断を受けることをお勧めします。また、「眠れない」という悩みがうつ病につながることも。睡眠障害を「病気」と認識されていない方も多いと思いますが、市販薬を数回試して改善が見られない場合は専門の医師へ相談してください。

若い世代が気をつけることがあれば教えてください。

夜にちゃんと眠れているのに日中に強い眠気に襲われる「過眠症」や、睡眠のリズムが崩れるといった症状は学生さんにも多いですね。朝起きられなかったり授業中に眠くなったりすることで、成績不振や不登校につながることも。人生にも大きく関わってしまうので、早めの診断・治療が大切です。

最後に読者の方へメッセージをお願いします。

野村哲志院長 のむらニューロスリープクリニック6

同じ睡眠障害や頭痛という症状を取ってみても薬や治療法はさまざま。私は「病気を見る」というより「患者さんを見る」という思いで、一人ひとりに合わせた治療に取り組んでいます。どんな小さな悩みも気軽にご相談ください。

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