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藤村 真美 院長の独自取材記事

マアク皮膚科

(横浜市青葉区/江田駅)

最終更新日:2024/05/13

藤村真美院長 マアク皮膚科 main

江田駅から徒歩15分。閑静な住宅地の中にある「マアク皮膚科」に一歩足を踏み入れると、ヨーロッパ風のインテリアが広がる空間に包まれる。病院ではなく家を訪れる雰囲気をイメージしたという内装は隅々まで工夫が凝らされ、居心地が良い。藤村真美院長はほくろやできものの切除といった小手術が得意だが、切り傷の手当てや縫合、皮膚科以外の病気の相談にも乗り、患者にとって最も良いと思われる医師も紹介してくれる。患者の目を見て話し、親身に接することをモットーとしており、従来の病院のイメージを覆す、深いコミュニケーションを取ることができる医院だ。快活で気さくな藤村院長に、医師としての思いを語ってもらった。

(取材日2018年2月13日)

患者の目を見て会話できる環境をつくるために開業

ヨーロッパの邸宅を連想させる、すてきな内装ですね。

藤村真美院長 マアク皮膚科1

夫がドイツ人で、私もドイツに住んでいた時期があります。夫はよく「日本の病院はあまりに病院然としていて、入るのに足がすくんでしまう」と言っていました。確かにドイツのクリニックは、よそのお宅に遊びに行ったような感覚です。医師も普通にリビングに座っているような感じで、圧迫感がないんです。そういうリラックスできる雰囲気をめざしました。

診察室のデスクの配置にもこだわったとお聞きしました。

ほとんどの診察室では、医師のデスクは壁に向けて設置されていて、医師の横に患者さんが座るというスタイルです。しかし、私は患者さんの正面に座って、患者さんの目を見てお話ししたい、診察したいとずっと考えていました。患者さんの肌を見るときは、デスクの周りを回って患者さんの傍に移動するというひと手間がありますが、患者さんと正面から向き合って話をすることの大切さと比べたら、そんなことは何でもありません。目を合わせて会話し、どの話に触れた時に一番悲しそうな表情をするか、うれしそうな表情をするのか、どこが一番心配で、どこを改善したいと思っているのかを探ります。目を見て話さないとわからないことがたくさんあるんです。対面でお顔を見ながら話していると、お顔の皮膚がんの発見につながったりもするんですよ。向かい合わせで患者さんに接したくて、このクリニックをつくったと言っても過言ではないんです。

患者さんとのコミュニケーションを大切にされているんですね。

診療の際に、コミュニケーションはもちろん、表面だけを見ないことも心がけています。けれど一番大切にしているのは、患者さんに対する自分の気持ちのポジションです。治療を選択する上で、その人に一番近い人物だったら、どういうふうに治療させてあげたいかな、という考えをベースにして接するようにしています。患者さんの母親や娘、お孫さん、ご主人。もし自分がそういう立場なら、どうしてあげたいだろう、と。そういうふうに接すると、皆さん心を開いて、いろいろなお話を聞かせてくださるんですよ。

先生のような気持ちで接してもらえると、患者さんも安心しますね。

藤村真美院長 マアク皮膚科2

言葉数が少ない方や難しい方、イライラされている方、いろいろな患者さんがいます。昔は、対応が苦手なタイプの患者さんもいたのですが、現在はどんなタイプの患者さんにも対応できるようになったと感じています。自分が成長できたのは、妻となり、母となり、自分自身が人生でいろいろな経験をしたからです。自分が母親になってから「今まで、母親である患者さんの気持ちがわかっていなかったな」と気づきました。「こんなことを聞きたかったんじゃないんだな、お母さんは」って、今でも悔しく思っています。後悔もありますが、成長の機会を与えてくれた家族には感謝しています。

手作りの模型やボードで、患者に病状を理解してもらう

医師をめざしたきっかけを教えてください。

藤村真美院長 マアク皮膚科3

小学校低学年のときにお世話になった、小児科の女性の医師がきっかけです。私の父も医師なので、それまでは病院に行くと、父と私を診る医師との間で、医師同士の話になってしまい、私が患者でありながら、いつも置き去りでした。ところがその小児科の先生は、父ではなく私に向かって「真美ちゃんは、ここがこうなっているから痛いのよ、だからこうしましょうね」と説明をしてくれたんです。自分を見てくれてるという印象を強く受け、「こういう女性になりたい」と思ったのがきっかけです。

皮膚科を選択されたのはなぜですか?

当初は小児科をめざしていたんです。けれど大学で皮膚の講義を受けたときに「皮膚というのはいろいろな種類の皮膚の細胞が絡み合って、相談をしあって生きている、とても深みのある臓器なんだよ」と教えてもらいました。個々の皮膚の細胞のかわいらしさ、魅力に「いい臓器だな」と(笑)。今でも、皮膚を見るのではなく、皮膚の個々の細胞を診療するという気持ちで接しています。患者さんにも、皮膚の細胞の名前を使って、それぞれの性格や性質をご説明しながら診療するようにしているんですよ。

先生が得意とされているのは、どのようなことでしょうか。

患者さんが納得するまで説明をするという点には自信を持っています。ニキビにしても、皮膚がんでも、「ああ、そういう病状なのね」と納得できるまで病状についてお話しします。もちろん、なかなか納得できない患者さんもいるので、視覚的・3次元的に理解できるよう、オリジナルの説明ボードや模型を作っているんです。説明ボードには手書きのイラストをたくさん使い、患者さんが興味を持って見られるようにしています。

先生とお話ししていると、いろいろなことを相談したくなってしまいます。

藤村真美院長 マアク皮膚科4

皮膚のことだけではなく、どんなことでも相談に乗ります。このエリアの良いところは医師会がとても仲が良いんです。例えば私のところで、皮膚科以外の病気の話をしていただいても、必ず責任を持って診てくださる先生にご紹介します。「こんなこと皮膚科で言うのはどうなんだろう」という遠慮があるかもしれませんが、お体のことであれば、誠意をもってご対応します。「この症状なら、この先生かな、この患者さんの性格なら、この先生が合うかな」という視点からご紹介します。

クリニックを離れると、家族を愛する母の姿に

海外の各地で生活されたことがあるとのことですが、どのような経験をされましたか?

藤村真美院長 マアク皮膚科5

夫の仕事について回っていたので、いろいろな所へ行きました。そのため、一度仕事を退いたのですが、海外でもボランティアなど、さまざまな方法で医療には関わり続けてきましたし、勉強も続けていました。ヨーロッパでは、保険や薬など、日本とはまったく違う医療体制を勉強させていただきました。アフリカではとても珍しい皮膚疾患に出合い、現地の人たちがどのように病気を受け入れているのかということを知りました。インドネシアではテロや大きな津波を経験しました。本当に悲惨でした。報道されるよりも、もっと大きなことがたくさんありました。人生観が変わり、一日一日を大事にしようと心底思いましたね。けれど、楽しかったし、いろいろな経験もできました。

診療後や休日はどのように過ごされているのでしょうか。

4人の子どもがいるので、仕事から離れたらすぐに母親に戻ります。子どもたちに学校のことを聞くなどおしゃべりをして、一緒に食事をして、家族の時間を大切にしています。診察室にも家族の写真を飾っているんですよ。日本では珍しいかもしれないけれど、ヨーロッパでは家族写真を置いておかないと怒られちゃうんです(笑)。絵を描くのが好きなので、絵を描くことも多いです。入り口の絵と、レーザー室に飾っている絵は私が書いたもので、診察室に飾っている絵は娘に書いてもらった絵なんです。

読者の方へメッセージをお願いします。

藤村真美院長 マアク皮膚科6

皮膚は全部が同じように見えるかもしれませんが、それぞれの細胞がそれぞれの役割を持っています。すべての細胞が、その方のお体が良くなるように日々努力を続けている、とてもかわいらしい組織です。それに理解を示し、細胞をかわいがってあげれば病気は良くなると信じています。そのためには、ご自分で細胞の状態、皮膚の状態を把握することが大事です。いろいろなことを諦めたり、見切りをつけずに、私たち医療者と手をつなぎ、細胞を見守っていきましょう。

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