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リワーク(職場復帰)を応援する
医院併設のデイケア施設

岐南ほんだクリニック

(羽島郡岐南町/手力駅)

最終更新日:2022/07/07

岐南ほんだクリニック リワーク(職場復帰)を応援する 医院併設のデイケア施設 岐南ほんだクリニック リワーク(職場復帰)を応援する 医院併設のデイケア施設
  • 保険診療

新型コロナウイルス感染拡大やリモートワークの推進などで、目まぐるしく職場環境や生活環境が変化している。そんな中、不安や不眠、気分の落ち込みなどの症状で、心療内科や精神科の受診を考えている人もいるだろう。以前に比べて、心療内科・精神科の受診は身近なものになってきた。しかし、治療後に必要なリワーク(職場復帰)や社会復帰に向けての取り組みはあまり知られていないし、それをシステマチックに進めている医院はまだ少ないといわれる。2019年に「岐南ほんだクリニック」が隣に併設した「デイケアセンター ミライ」は、そんなリワーク支援を行う岐阜県下でも数少ない施設の一つとなっている。具体的にどんなことが行われているのか、作業療法士で施設の主任である川本貴也さんに、施設の概要や独自のプログラムなどについて聞いた。

(取材日2022年2月24日)

心のリハビリテーションで、社会参加とリワーク(職場復帰)をめざす

Qこちらのデイケア施設では、どんなことを行っているのですか?
A
岐南ほんだクリニック 温かみのある落ち着いた雰囲気の院内

▲温かみのある落ち着いた雰囲気の院内

心療内科や精神科の治療や療養を終えつつある回復期に、医師の診察と指示のもと、作業療法士・精神保健福祉士・心理士・看護師などのスタッフが、患者さんが自分の病態を理解しながら、うまく生活していくための支援を行っています。当施設では隣接する本院の患者さんだけではなく、他院からの紹介患者さんにも対応し、例えば生活を送る上で支援が必要な人、復職をめざす人、日中の居場所が必要な人、コミュニケーションのトレーニングをしたい人などが通所しています。通所者は10代~50代の方が中心ですね。通所は保険適用となります。特に復職を支援する「リワークコース」があるのが当施設の特色です。

Qデイケア参加の流れについて教えてください。
A
岐南ほんだクリニック 通所者の希望や状態に合わせたプログラムを提案する

▲通所者の希望や状態に合わせたプログラムを提案する

まず参加を希望される方は主治医に相談の後、デイケア施設の見学・スタッフ面談・1日体験をしていただき、こちらで判定会議を行った上で通所していただきます。デイケアは集団での行動が基本で、病状によっては悪化する方もいらっしゃるので、様子を見ながら今後について一緒に考えていければと思います。デイケアの時間は、水曜日を除く平日の9時~15時。ミーティングや昼食休憩のほかに、希望者は午前と午後に各1時間ほどのプログラムに取り組むことができます。当施設のスペースは小規模で、それが逆に安心感や居心地の良さにもつながっているようです。また個別スペースも5つあるので、慣れるまではそこで時間を過ごすこともできます。

Q注力されている「リワークコース」の内容はどんなものですか?
A
岐南ほんだクリニック 復帰するためにさまざまな講座が用意されている

▲復帰するためにさまざまな講座が用意されている

当施設では「生活支援コース」と「リワークコース」を用意しています。「リワークコース」はその名のとおり、復職や就職を目的としたもので、会社のオフィスをイメージした模擬スペースで、実際にパソコンを使用した集計業務や事務作業、組み立てや袋詰めなどの簡単な手作業を選んで、終日こなしていただきます。このコース自体が、社会に即してストレス負荷をかけることが前提に考えられています。午前・午後に行うプログラムは、教育的内容、運動的内容、余暇的内容のほかに、院長や各専門職が開催する講座があり、参加は自由です。また「生活支援コース」から「リワークコース」への移行を希望する場合のサポートも行っています。

Q多職種のスタッフさんが関わっていらっしゃるんですね。
A
岐南ほんだクリニック より充実した取り組みを行うために多職種連携にも力を入れている

▲より充実した取り組みを行うために多職種連携にも力を入れている

このような施設では、多職種連携が欠かせません。1人の通所者に対して、多職種が関わっていくのがデイケアだと思っています。精神保健福祉士は、精神医療のソーシャルワーカーとして、通所者がどのような制度や支援を利用するとよいかを提案します。心理士は、カウンセリング面でサポートをしますし、私たち作業療法士はプログラムの活動内容を検討し、お一人お一人の参加の様子を見ながら、お声がけをさせていただいています。先ほども説明した、各専門職が講座を開催するのも当施設ならではの取り組みなんですよ。そして、毎日、各スタッフが顔を合わせて意見交換と情報共有を行い、通所者さんをチームでお支えしています。

Q川本さんは通所者さんをどのようにサポートされていますか?
A
岐南ほんだクリニック 「一歩踏み出すお手伝いをしたい」と話す川本さん

▲「一歩踏み出すお手伝いをしたい」と話す川本さん

「木の上に立っているように見て、声をかけるくらいがちょうどいい」と思っています。そばにいて感情移入しすぎないように、客観的に見て「こっちのほうがいいんじゃない」と言ってあげる感じです。最終的には私たちの支援なしでやっていくのが目標ですから、支援がいらないくらいの距離感で支援していくということですね。また会社の休職期限が決まっていると、焦って無理しがちですが、自分を内省できていないと元に戻ってしまいます。周囲のせいにせずに、自分の弱点や課題を知り、ストレスや感情をコントロールする術を学び、自分をもう一度つくり直していくことが、スムーズな復職につながります。

ドクターからのメッセージ

本田 浩一院長

「デイケアセンター ミライ」には、うつ症状・適応障害・自閉症スペクトラムなどの患者さんが通所しています。もし、生活や仕事面で不安に思うことがありましたら、まず専門の医院を受診していただき、その後はデイケア施設への通所を検討してみてください。複数の人の意見を受け入れる準備ができているのであれば、1人で考えるよりも当施設に来ていただいたほうが早く悩みが解決するかもしれません。現在は社会の障害者雇用の対象として、身体障害・知的障害に加えて、精神障害もカウントされるようになりました。その分、社会復帰への道が徐々に広くなってきていますので、私たちにぜひ一歩踏み出すお手伝いをさせていただければと思います。

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