全国のドクター9,253人の想いを取材
クリニック・病院 158,515件の情報を掲載(2024年6月03日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 名古屋市中村区
  4. 名古屋駅
  5. ゲート内科・心療内科
  6. 大人の発達障害とは診断方法と治療の流れを解説

大人の発達障害とは
診断方法と治療の流れを解説

ゲート内科・心療内科

(名古屋市中村区/名古屋駅)

最終更新日:2023/06/07

ゲート内科・心療内科 大人の発達障害とは 診断方法と治療の流れを解説 ゲート内科・心療内科 大人の発達障害とは 診断方法と治療の流れを解説
  • 保険診療

子どもの発達障害が注目されるようになったことで、近年取り上げられることが増えてきているのが大人の発達障害だ。周りの人とうまくコミュニケーションが取れない、物事を忘れっぽく不注意が多いなど、社会生活を送る中で、「人との違い」を目の当たりにし「自分は発達障害なのでは?」と疑問を持つ、あるいはパートナーからの指摘を受けて疑いを明らかにするために精神科を受診するケースが増えているという。「ゲート内科・心療内科」の唐渡雅行理事長は、「ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥・多動症)といった発達障害に該当しない、グレーゾーンの人もとても多いです」と話す。成人発達障害およびグレーゾーンの患者の対応に長年取り組む唐渡理事長に、発達障害の概要、診察内容、診断までの流れなどについて話を聞いた。

(取材日2023年5月1日)

社会生活を通して「もしかして?」と気づくことも。今抱える「生きづらさ」を軽くするためにもまずは相談を

Q発達障害とは何でしょうか?
A
ゲート内科・心療内科 発達障害は、脳機能の発達に関係する障害

▲発達障害は、脳機能の発達に関係する障害

発達障害とは、一言で表すと脳機能の発達に関係する障害です。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥・多動症)などが代表的で、ASDとADHDはオーバーラップする部分もあるため、慎重な診断が求められます。ただ、ASDやADHDであると診断がつくケースばかりではありません。発達の特性が見受けられるものの診断基準と照らし合わせると、代表例に当てはまらないというケースがあり、「グレーゾーン」と呼ばれることがあります。グレーの“色合い”もさまざまで、潜在的にグレーな側面を抱えている人は少なくなく、問診やチェックリスト回答などをもとに発達の特性、傾向を慎重に精査し対策を検討していく必要があります。

Qどのようなきっかけで受診する人が多いのでしょうか?
A
ゲート内科・心療内科 受診のきっかけはさまざま

▲受診のきっかけはさまざま

会社あるいは学校などの集団生活を通して、自分には他の人と異なる特性があると気づいて医療機関に相談するといったことが多いです。テレビなどのメディアを通して発達障害について触れ、インターネット上にあるセルフチェックをしてから受診する人も増えていますね。また最近では、パートナーから「発達障害では?」と指摘されて受診するケースも見られます。こういった場合、ご本人はつらさ、苦痛を感じていないこともあるため、診断には細心の注意が求められます。病名、あるいは状態を伝えることで「レッテルを貼られた」となってはいけませんから。スムーズに治療に進むためにも、本人が自ら要望して受診することが望ましいといえます。

QASD、ADHDの特徴を教えてください。
A
ゲート内科・心療内科 患者一人ひとりに寄り添って診療してくれる

▲患者一人ひとりに寄り添って診療してくれる

ASDは、以前は自閉症やアスペルガー症候群と呼ばれたもので、相手の考えを読み取ったり自分の考えを伝えたりするのが苦手という特性を持っています。現時点ではこの特性を改善する有効な薬物などはなく、心理療法で苦痛を和らげることをめざしたり、少しでも社会行動を良くするような認知行動療法を行ったりする方法を提案します。ADHDは周囲のものに次々と関心を持つ傾向があり、社会人の場合だと仕事がなかなか覚えられずミスを多発したり、後先を考えずに職を転々とするケースも。社会生活に支障を来し、自尊心を失って精神不調を抱える人も少なくないため、治療によるアプローチも重要です。

Q診療の流れを教えてください。
A
ゲート内科・心療内科 診察頻度は2週間に1回程度

▲診察頻度は2週間に1回程度

まずは問診と心理検査を受けていただきます。ASDと診断された場合、ASDと上手に付き合っていけるよう、カウンセラーによる認知行動療法などを通して、日常生活の困り事の対処方法を身につけていきます。ADHDの場合、薬物療法を基本とした治療を1年から2年程度かけて実践し、最終的には薬物療法の卒業をめざします。ADHD自体の理解を深めることも重要で、当院では大人の発達障害を題材としたADHDの理解に役立つような一般書籍を読むことも提案するようにしています。グレーゾーンの場合も、困り事の改善に役立つような対処方法を提案したり模索したりしていきます。いずれも、診察頻度は2週間に1回程度です。

Q心理検査とはどういったものなのですか?
A
ゲート内科・心療内科 気軽に相談してほしいと話す唐渡理事長

▲気軽に相談してほしいと話す唐渡理事長

診療の補助情報を集めるための検査で、まず、専用の記入式チェックリストを用いてスクリーニングします。スクリーニングの結果を踏まえて医師が必要と判断した場合にさらなる検査に進みます。具体的には、カウンセラーが患者さんに質問をする対面式チェックや作業チェックなどです。苦手なことというのは本当に人それぞれで、例えば「言語の表現が苦手」といっても、表現力が弱い、語彙を蓄えられないといったことが考えられます。何が、どの程度苦手なのか、分類だけでなく深度まで時間をかけてじっくり測っていくイメージです。これらの検査を通して患者さんの特性を分析し、能力の偏りや社会生活での困り事などを客観的に精査していきます。

ドクターからのメッセージ

唐渡 雅行理事長

発達障害は「治る=発達の偏りや困り事がまったくなくなる」といったことをめざすのは難しいです。ですが、そのことにどうか絶望しないでください。治療によって、特性を踏まえて適応力を高めていくことは望めます。例えばADHDにおける薬物療法の場合、「薬を飲み続けていないとまた困った状態に戻ってしまう」と考える人もいるでしょうが、実際には断薬後も良い状態を保ち続けることも望めます。人間の適応能力・成長力は非常に素晴らしいものです。発達障害はこの十数年で急速に広まり、診断基準も固まりきっていないといえます。ですが、現段階でもできることはあります。どうぞ気軽にご相談ください。

Access