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藤村 光則 理事長の独自取材記事

みつ内科・ハートクリニック

(高松市/太田駅)

最終更新日:2023/10/31

藤村光則理事長 みつ内科・ハートクリニック main

高松市多肥上町、多肥メディカルビル・イーアの開設に合わせ、2015年に開業した「みつ内科・ハートクリニック」。ここにはいつも温かく、居心地の良い空気が流れている。小花柄の壁紙やパステルカラーのカーテン、ベッド、随所に見られるやわらかな曲線デザインからも、「患者の緊張をほぐしたい」というクリニックの思いが伝わってくる。同院で理事長を務めるのは、日本循環器学会循環器専門医として、また日本内科学会総合内科専門医として専門性の高い診療・指導を心がける藤村光則先生。若かりし頃に心不全の重症患者らと向き合った経験を胸に、患者を第一とした医師人生をひた走っている。「患者さんとは、同じ人としてふれあわなければ」。優しく、静かにそう語る藤村理事長に、これまでの道のりや医療との向き合い方を詳しく聞いた。

(取材日2023年10月2日)

循環器内科の医師を志し、ひたむきに患者と向き合う

先生のご経歴から教えていただけますか?

藤村光則理事長 みつ内科・ハートクリニック1

母が病弱だったこともあり、小学生の頃から医師になる夢を持っていました。徳島大学医学部を卒業した後は、同大学の第一内科に入局し循環器内科を専攻。当時の第一内科では血液内科や神経内科、糖尿病内科などすべての内科系診療科を選択することができましたが、その中でも短期的にダイナミックな治療を施す循環器内科にやりがいを見出したんです。大学病院を出た後は、循環器疾患の専門病院である大阪の国立循環器病研究センターに3年ほど勤務しました。当時は心臓移植手術の拡大期。まだお話をすることぐらいしかできない身の上ながら、移植の対象となる難病患者さんを受け持つ日々でした。重症の方であればあるほど、同じ人としてふれあわなければ、治療を進めることはできません。私は著しく状態の悪化した患者さんたちと長い時間をともに過ごし、少しずつ心を通わせながら、心不全の患者さんを診療する覚悟、決意を固めていきました。

その後のご経歴はいかがでしょうか。

再び大学へ戻り、1年ほど臨床を経験してから大学院へ。心不全をテーマとした基礎研究に励み、博士号を取得しました。心不全をテーマに選んだのは、国立循環器病研究センターの重症患者さんたちとの出会いがあったからです。博士号取得後は高松市民病院(現・高松市立みんなの病院)に勤務し、50歳を目前に控えた頃から、開業を考えるようになりました。医師を生業とする人は、概ね50歳前後で、自身の最終的なキャリアを決定するんですね。このまま勤務医を続けるか、独立するか、私自身も頭を巡らせていた頃に、ちょうど研修医制度が改正されました。限られた人員の中で前線に立たざるを得なくなり、体力的にも限界を感じ始めたタイミングで、この医療モール開設に伴う開業のお誘いを受けたんです。私が師と仰ぐ先生も、同じ方を通じて開業されていましたので、熟考の末2015年に開業いたしました。

同じモールの他のクリニックも、同時に開業されたのですか?

藤村光則理事長 みつ内科・ハートクリニック2

1階の皮膚科さんは同年同日の10月1日に、3階の眼科さんはその半年後に開業されました。それぞれの科の診療を必要とする患者さんがいらっしゃれば、すぐにお互いに紹介し合える関係です。患者さんも、同じ建物の中で階段やエレベーターを行き来するだけで良いので、利便性は高いと思っています。多肥地区は開業当初から今後の発展が見込まれていましたが、さらに人口増加と宅地開発が進んでいる現在は、近隣にお住まいの方を中心として多くの方々にご来院いただいていますよ。

早期発見の環境を整え、大型病院へと患者をつなげる

内装、デザインのこだわりを教えてください。

藤村光則理事長 みつ内科・ハートクリニック3

配置から壁紙の柄まで、クリニックのデザインには9割9分、彼女の意見が反映されています。私が選定したのは、購入機器だけかもしれません(笑)。医療施設はどうしても似通ったイメージになりがちですので、明るく清潔、かつ美しいホテルライクな空間を生み出せるよう、かなりこだわったと聞いています。中でもキーワードに据えたのが「曲線」です。受付カウンターや待合室のチェアなど、各所で曲線のデザインを採用しています。直線は緊張感を生みますから、患者さんをできるだけ緊張させないようにという、心遣いだったのではないでしょうか。半円形の診察室については、設計士の方もいまだかつて見たことがない形だとおっしゃっていました。

機器設備には、どのようなものがありますか?

心電図検査機器、超音波診断装置、エックス線撮影装置、先進のCTスキャンなどを導入しています。精密検査や、次の医療機関への紹介を行うとなった場合には、CTを使った画像診断の工程を避けて通ることができません。開業後2、3年目までは、病院レベルの高性能モデルを使用して血管造影にも取り組んでいましたが、患者さんが増えたことなどを背景にモデルチェンジをしました。現在使用しているのは、16列マルチスライスCT。1回の撮影で、16断面の鮮明な輪切り像を得ることで、微小な病変の早期発見をめざすものです。胸腹部で最も広い範囲を撮影したとしても、時間は5分程度で済みます。放射線量も絞られており、患者さんの負担は少ないと思います。

現在の患者さんの主訴を伺いたいです。

藤村光則理事長 みつ内科・ハートクリニック4

新患で来られるほとんどの方が、動悸もしくは胸痛を訴えられます。あとは息切れですね。年代的には、開業当初と比べると年配の方が増えており、80代、90代の方もよくいらっしゃいます。循環器の自覚症状を持つ方は多くの場合、糖尿病や高血圧症といった生活習慣病を併発されていますので、日本循環器学会循環器専門医として、また日本内科学会総合内科専門医として、専門性の高い指導を心がけています。患者さんの心臓疾患を早期に発見し、適切な治療が受けられる総合病院へとつなげていくこと。そして、治療を終えて帰ってきた患者さんには、ガイドラインに則った診療を提供し続けること。それが、クリニックである当院の役割だと考えています。

ハートのふれあいを大切に。患者と心を通わせて

これからのクリニックの課題はありますか?

藤村光則理事長 みつ内科・ハートクリニック5

当面は、社会の高齢化に伴う在宅医療の充実が課題だと感じています。当院への通院が困難になってきた80代、90代、100歳代の患者さんには介護専門施設をご紹介するのですが、そうした方々もすでに相当数いらっしゃるのが現状です。外来診療と並行し、地域の高齢の方々に向けて訪問診療を実施するかどうか。実施する場合は人も時間も足りなくなりますから、人を増やすなどの対策を取りながら診療の幅を広げられるよう、検討しているところです。

よろしければ、先生のプライベートもお聞かせください。

診療後の夜は晩酌とテレビを楽しみとしつつ、健康管理のため、毎晩40分〜1時間ほどエアロバイクをこいでいます。まとまった休みが取れたら、彼女と2人で旅行に行きますね。歴史的価値のある場所や、建造物を訪ねるのが好きです。ちなみに、学生時代の趣味の一つは「洋楽を聴くこと」。国立循環器病研究センター時代には、その趣味をきっかけとして、重症患者さんと打ち解けられた経験があります。旅行なども同様で、患者さんと共通の話題ができることが、関係構築の入り口になると考えています。話が弾みすぎて、診察に支障を来すことがあるのは内緒のお話です(笑)。

最後に診療のモットーと、読者へのメッセージをお願いします。

藤村光則理事長 みつ内科・ハートクリニック6

動悸がする、胸が痛い、息が切れると文字にするのは簡単ですが、患者さんはその症状が出るまでのお話や、出た後のお話を、さまざまな言葉で表現されます。それを医師の言葉で誘導するのではなく、患者さんの言葉どおりに「聴く」ことが重要だと、私はそう思っています。患者さんにはできるだけたくさんお話をしていただき、こちらはそのお話を聴いた上で質問をしていかないと、正しい答えを導き出せないかもしれません。病気なのか、そうではないのか、お悩みになる前に医師へご相談ください。当院は、ハートとハートのふれあいを大切にした診療を心がけています。構えずに、世間話でもしに来るように、まずはお越しいただければ幸いです。

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