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仲吉 朝史 院長の独自取材記事

なかよし内科クリニック

(那覇市/おもろまち駅)

最終更新日:2021/10/12

仲吉朝史院長 なかよし内科クリニック main

おもろまち駅から徒歩圏内という好立地で、市内各所から訪れる患者の健康を守る「なかよし内科クリニック」。院長の仲吉朝史先生は、「身近な人が体調を崩したときに自分が診てあげたい」という思いを胸に研鑽し、現在は沖縄県全体の問題ともいわれる生活習慣の改善指導に力を注ぐ。治療において重視するのは、患者が日常生活で実践しやすい方法を提案すること。本人が病気を理解して治療に前向きに参加できるよう、わかりやすい説明も心がける。また生活習慣病の治療では、管理栄養士と連携しながら結果が出るまでじっくりと経過を見守るのが同院のスタンスなのだそうだ。その具体的な取り組みや、仲吉院長が懸念する県内のがん検診の現状について話を聞いた。

(取材日2020年9月14日)

丁寧な説明をモットーに、生活習慣病などの治療に対応

こちらには、どのような患者さんがいらっしゃいますか?

仲吉朝史院長 なかよし内科クリニック1

当院は那覇新都心からほど近い真嘉比エリアにあり、ほかにも首里、松川などさまざまな地域から患者さんがいらっしゃいます。疾患の割合として最も多いのは生活習慣病で、周囲から当院への受診を勧められたり、健康診断で問題を指摘されたりした30~40代の方が多いですね。沖縄は人づてに評判が広がりやすいところがあるので、ご紹介で来てくださるのはとてもうれしく思います。そのほか、通常の風邪や急な発熱などの症状がある方は年齢を問わず見受けられます。また、おなかが痛い、胃の調子が悪いといった症状が現れる機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの患者さんには、10代後半から20代くらいの若い方も少なくありません。

診療において心がけていることは?

丁寧に、わかりやすく説明を行うことです。例えば人間ドックを受けて「萎縮性腸炎の疑いがあるから病院へ行きなさい」とだけ言われても、患者さんは病気のイメージを明確に持てないと思うんですよね。だからこそ補足の説明が重要であり、当院では病気の概要や考えられる原因、放置した場合のリスクなどをご本人がきちんと理解できるようにお話をさせていただいています。ただ、あまりに長々と話しているとほかの患者さんの待ち時間が長くなってしまうので、なるべく短く、かつ伝わりやすい言葉を使うように意識しています。その結果、患者さんが自発的に治療に参加するというのが理想的な診療の流れです。

この地に開業した理由も教えてください。

仲吉朝史院長 なかよし内科クリニック2

この近辺には消化器内科のクリニックが少なく、地元に医療で貢献したいと考えていた私にとってぴったりの場所だと思ったんです。沖縄は肝疾患による死亡率が国内でも特に高く、その背景には多量飲酒や肥満といった生活習慣絡みの要因があるといわれています。開業前に大学病院などで診療していた時も、生活習慣病に関連した肝臓の病気が増えていることを実感していました。次第に治療の入り口、つまり健診で異常が見つかった段階から総合的に関わっていくべきと考えるようになり、開業に至った次第です。当時はそれほど建物が多いエリアではなかったものの、近年は再開発が進み、昔からお住まいの方に加えて新たに流入してきた方たちを診療する機会も増えています。

管理栄養士と連携し、多角的・継続的な指導を実施

こちらのクリニックで行う生活習慣病への対応の特徴について伺います。

仲吉朝史院長 なかよし内科クリニック3

生活習慣病治療の一環として生活習慣を変えるにあたり、一つの目標となるのは体重を減らすことです。しかし診察という限られた時間の中で、食事や運動も含めた患者さんの生活習慣を深掘りするのは限界があります。そのため当院では常駐で管理栄養士を配置し、食事面のヒアリングやメニューの提案をお任せしています。指導の流れとしては、初回時にアドバイスしたことを患者さんに1~2ヵ月ほど実践していただき、次回にその成果を評価するということを繰り返します。栄養指導は単発で終わらせず、根気強く続けることが重要。それによって患者さんの行動が少しずつ変わっていき、無理のない減量をめざせるのです。中には薬の量まで減らせた方もいますし、ご本人のやる気に火がついて100kgあった体重を半分くらいまで減らして、その状態をキープしている方もいらっしゃるんですよ。

院内に管理栄養士が常駐しているのは珍しいですね。

やはり管理栄養士はその道のプロですし、ヒアリングも上手なのでとても助かっています。常駐であることのメリットはたくさんあり、まず当院は採血の結果が30分ほどで出るので、受診いただいたその場で管理栄養士によるリアルタイムの評価が可能です。そこで成果があまり出ていないようなら、うまくいかない原因を患者さんと一緒に掘り下げることもできます。また、診療後にすぐにデータを共有したり、今後の方針について話し合ったりと迅速なコミュニケーションが取れることも利点ですね。患者さんとしても、複数のクリニックを回るよりも1ヵ所で相談できたほうが便利でしょうし、医師に話しにくいことでも管理栄養士になら話せるという方もいらっしゃると思います。

沖縄県はがん検診の受診率の低さも問題だと聞きます。

仲吉朝史院長 なかよし内科クリニック4

受診していただければ何かしらの対応が取れるのですが、クリニックに行くのが面倒、怒られるのが怖いなどの理由からか、皆さんあまり来たがらないんですよね。大腸がんの患者さんが増加傾向にある中で、特定健診は受けてもがん検診は受けないという方も多いので、検査に対する意識が全体的に低いようにも感じます。症状が現れてからようやく病院へ行き、進行がんが見つかるというケースはよくあるんです。そのため当院では、特定健診でいらっしゃる方に年1回のがん検診の受診をお勧めしています。ただ、来てくれない方に対してどう呼びかけていくかが現在の課題。40代以降になるとがんのリスクが特に上昇するといわれ、早期に発見することが重要ですので、患者さんにご自身の健康について長期的な目線で考えていただきたいと思います。

がん検診や生活習慣の指導を通して沖縄を健康にしたい

大腸がん検診はどのくらいの頻度で受けるのがよいですか?

仲吉朝史院長 なかよし内科クリニック5

普段から何の検査も受けていない方は、年に1回大腸がん検診を受けるのが望ましいです。そこで最初に行われる便潜血検査で陽性反応が出たら、精密検査として大腸内視鏡検査を必ず受けてください。便潜血陽性の場合、がんやそのもととなるポリープができている可能性があります。大腸内視鏡検査と聞くと恥ずかしい、きついなどのイメージが強いかもしれませんが、体の中まで見ないとわからないこともありますので一度受けておくと安心だと思います。どうしても抵抗があるという方は、便潜血検査だけでも受けていただきたいですね。大腸内視鏡検査で問題が見つからなかった方は、その後の受診頻度を数年に1回にペースダウンしてもよいでしょう。

今後の展望についてお聞かせください。

患者さん一人ひとりに適した生活習慣の改善に、より注力したいと考えています。忙しくて夜遅くにしか帰れない方に「毎日3食きちんと食べなさい」と言っても、それは難しい話。個人のライフスタイルを詳細に把握して、例えば買ってきたお弁当で夕食を済ませる方にはお弁当の選び方を変える、もう一品サラダを追加するなど簡単にできることから始めてもらうのが重要です。また、治療が続かないことには意味がありませんので、管理栄養士にしっかり指導してもらいつつ、診察時に私がフォローするなどメリハリをつけた治療に取り組んでいます。結果が出てくれば患者さんのモチベーションが上がって「もっと頑張ろう」と思えるようになり、そこで初めて「良好な状態を維持するにはどうするか」というもう一歩踏み込んだ話もできるようになると思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

仲吉朝史院長 なかよし内科クリニック6

内科と消化器内科の医師として、皆さんには特定健診やがん検診を定期的に受けていただきたいと考えています。何らかの指摘を受けた場合は、まず治療の必要性を判断しますので当院へ気軽にお越しください。最近はインターネット上で知った治療法を望まれる患者さんがおりますが、それがご本人に合っているとは限りません。ご希望を踏まえつつお体の状態も考慮して、無理のない範囲で生活習慣を改善していければと思います。私がめざすのは、困り事を何でも相談できる地域のクリニック。顔見知りの患者さん同士が院内で話しているのを見るのは喜ばしいことですし、ご自身だけでなくご家族の健康についても相談されると、信頼してもらえているのかなとうれしく思います。皆さんとの信頼関係を今後も大切にしていきたいですね。

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