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鮫島 浩司 理事長の独自取材記事

整形外科 内科 玉里温泉クリニック

(鹿児島市/鹿児島中央駅)

最終更新日:2022/07/25

鮫島浩司理事長 整形外科 内科 玉里温泉クリニック main

鹿児島市の短期大学や高校などがあるエリアに「整形外科 内科 玉里温泉クリニック」はある。もとは温泉施設があり、同院はその温泉を引き継ぐ形で2014年に開業した。開業前は鹿児島県内の病院に勤務し、数多くの手術を行っていたという鮫島浩司理事長。現在は、「できれば手術はしたくない」という患者の気持ちを尊重しながら、手術に頼らない選択をモットーに、リハビリテーションや投薬をメインにした治療を行っている。勤務医時代に築いたつながりを生かし、整形外科に関わらず、困っている患者に専門の医師を紹介することも可能だという。2020年には、脳出血で倒れて入院。リハビリテーションを続けた結果、翌年に外来診療へ復帰したが、リハビリは現在も続けている。自身の経験も生かしながら診療を続ける鮫島理事長に話を聞いた。

(取材日2022年4月2日)

地域と人のために、温泉跡地でのクリニック開業を決意

もとは温泉施設だったそうですが、なぜここに開業されたのですか?

鮫島浩司理事長 整形外科 内科 玉里温泉クリニック1

もともとは温泉の女将さんと私の身内が知り合いだったんです。温泉施設を閉める話になった時に、どうにかして温泉を残して生かせないかと考えたんです。常連さんも多かったですしね。私のほうも、当時は勤務医として外来を週1~2回診察していたのですが、患者さんから「なかなか先生の予約が取れないから開業してほしい」と言われたこともあり、開業を視野に入れていた時期でした。そういうこともあって、温泉施設を医療機関という形で存続することに決めたんです。地域の人たちに愛されてきた温泉ですからね。地域のためになればという想いもありました。今、温泉は全身浴ではなく、手浴や足浴などのリハビリで使用しています。温泉の効能によって、運動機能の改善につながればいいなと思っているんです。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

高校1年生の時に、メニエール病にかかったことがきっかけです。ひどいめまいで吐き続けて、とてもつらかったのを覚えています。体育祭や文化祭といった学校行事はもちろん、自分の好きなこともできず、学校も欠席が続いていました。この体験をしてから、病気になった人が日常を取り戻す手助けをしたいと考えるようになりました。すなわち医師ですね。教育熱心な両親のおかげもあって、無事医師になることができました。大学時代は痛みの研究で博士号を取得しましたし、学ぶことは今でも好きですよ。

なぜ整形外科を専門にしようと思われたのでしょう。

鮫島浩司理事長 整形外科 内科 玉里温泉クリニック2

整形という名前がまず面白いと思ったんです。耳鼻科や胃腸科といった分野は臓器の名前が入ってますよね。耳鼻科は耳と鼻、胃腸科は胃と腸といった具合に。でも整形外科に患部の名称は入っていません。「形を整える」のが整形外科なんです。曲がった手足やゆがんだ形を整えるのが原点だったんです。今は運動器の調子を整える科になっています。運動器というのは体を動かすための部分です。骨や関節、筋肉や人体、背骨に神経といった部分ですね。私は患者さんに目標を持ってもらうようにしています。お子さんだったら「スポーツや部活に復帰したい」、働き世代の方だったら「また仕事ができるように復帰したい」、高齢の方には「またおしゃれをして天文館を闊歩したい」というような目標です。患者さんと一緒に、私もその目標に向かって歩んでいきたいんです。

自身も経験したからこそ感じたリハビリの重要性

脳出血で倒れたとお聞きしました。

そうなんです。2020年の10月に、脳卒中で倒れました。原因は、高血圧をほったらかしにしていたために起きた脳出血でした。3ヵ月入院しましたね。リハビリは座る練習からのスタートでしたよ。きっと車いすの生活になるだろうから、と言われたんですが、座ることすらできなくて。座ろうと思ってもずり落ちちゃうんですね。座る姿勢を保てないんです。当時はつらかったですね。でもリハビリを続けていると、少しずつではありますが状況は改善に向かっていくんです。リハビリの大切さを実感しました。私自身が「百貨店の地下を自分の足で歩けるようになりたい」という夢を持ったことで、リハビリを意欲的に頑張れるようにもなりました。夢や希望を持つことは、患者さんのモチベーションアップにもつながるのではないかと感じました。

理事長不在の間は閉院していたのでしょうか?

鮫島浩司理事長 整形外科 内科 玉里温泉クリニック3

いえ、ずっと開院していました。私は勤務医時代、鹿児島県内のいろいろな病院に勤めていたんですが、その時お世話になった医師たちが駆けつけてくれたんです。鹿児島大学整形外科教室をはじめ、大学の同期や仲間たちも協力してくれました。曜日ごとや日替わりでシフトをまわしてくれて、患者さんが困らないようにしてくれたんです。うれしかったですね。うれしいなんて言葉じゃ全然足りないくらいで、いまだに感謝しています。早く復帰しなくてはと思いました。

翌年には復帰されたのですね。

鮫島浩司理事長 整形外科 内科 玉里温泉クリニック4

2021年の5月から外来診療に復帰しました。主治医も、外来なら大丈夫だろうと言ってくれましたしね。一時はもう医師は無理だろう、復帰できるとしてもまだまだ先だろう、とも言われていたので、本当にうれしかったです。こんなに早く復帰できたのも、周りにいた人たちのお陰です。主治医や、クリニックの存続に協力してくれた医師たちからも、「患者さんが待ってるよ」と言われて励みになりました。入院中は落ち込むこともありましたし、今でもスムーズに歩くことは難しいですが、それでもこうやって医師を続けていられるというのはありがたいことです。みんなに支えられて今の私がいるんだと痛感しますね。

手術に頼らない治療で、繰り返す痛みや痺れに対応

なぜ「手術に頼らない選択」というモットーを掲げたのですか?

鮫島浩司理事長 整形外科 内科 玉里温泉クリニック5

勤務医時代はかなりの数の手術を執刀してきたので、疑問に思われるのも仕方ないですよね。このモットーを掲げたのは、ただ単に患者さんの選択を尊重したいと思ったからです。これまでも患者さんの選択は尊重してきたつもりですが、開業してからは今まで以上に患者さんの話をよく聞くようになりました。中には「手術をしたけど、再発した」というご相談も少なくありません。私の考えとしては、痛みや痺れを取るための手術をしたからといって、患部が治るわけではないんです。ヘルニアも、手術したけど再発したという話はよく聞きます。今はさまざまな薬がありますし、むやみやたらに手術するのではなく、痛みと付き合いながらどんなふうに日常生活を送るかということに重きを置いてもいいのではないかと思います。もちろん、手術が必要な場合はお勧めしますよ。整形外科の手術を否定しているわけではありませんから。

医療型特定短期入所施設について教えてください。

医療型特定短期入所施設は医療的ケア児を受け入れる施設です。きっかけはスタッフに障害のあるお子さんがいたことですね。スタッフの勤務中に当院で預かっていたのですが、当院は医療機関ですし、せっかくならと思って始めてみたんです。こういった施設は、鹿児島市内だとまだ片手で数えるぐらいしかないと思います。医療的ケア児の保護者が強く思うことの一つに、「自分でできることが一つでも増えてほしい」というのがあります。自力で歩くのは難しくても、自力で寝返りが打てるようになったらいいなとか、「はい」と「いいえ」を人に伝えられるようになったらいいな、とか。その実現をお手伝いさせていただきたいという思いで開設しました。

最後に、クリニックの強みを教えてください。

鮫島浩司理事長 整形外科 内科 玉里温泉クリニック6

当院はまず、患者さんの話を聞くようにしています。そこがスタートです。そこから治療方針を考え、緻密な検査で原因を見極めて手術の有無を選択していくんですね。同じ病気でも患者さんによって症状や状態は異なりますから、一人ひとりに合ったケアを行っていきます。ただ、どの患者さんにも共通しているのは、「この先どうなりたいか」「何ができるようになりたいか」を尋ねるようにしていることです。治療の先を考えるんですね。先ほども言ったように、夢や希望を語ることは患者さんのモチベーションにつながります。患者さんの痛みをなくすのではなく、痛みがあってもいいから好きなことができるように手助けできればと思っています。

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