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内山順造 院長の独自取材記事

南毛利内科

(厚木市/愛甲石田駅)

最終更新日:2021/10/12

内山順造院長 南毛利内科 main

小田急小田原線愛甲石田駅から徒歩5分。「南毛利内科」は、身近なホームドクターとしての一般内科外来をはじめ、消化器内科を専門とする内山順造院長による先端内視鏡検査、ハーバード大学で老化の研究を重ねてきた同院長が行う抗加齢検査、海外経験を生かした渡航外来相談も設置している。2013年に出身地である南毛利地区に開院。「この病院の目の前が小学生のときの通学路でした」と語る内山院長は、人を惹きつけてやまないアグレッシブな魅力にあふれたベテラン医師だ。2010年に出版された「新老年学」の共同執筆をはじめとした幅広い活躍の中、3年前に始めたトライアスロンのレースに参加するなどプライベートの充実にも積極的。人とのつながりを楽しみ、そこからさまざまなアイディアを得て、予防医学の実践を提案する内山院長に、ハーバード大学での研究、予防医学の重要性、これからの展望などを伺った。

(取材日2015年9月16日)

5年先、10年先を見すえた予防医学の実践

医師をめざされた経緯を教えていただけますか。

内山順造院長 南毛利内科1

父親が教師だったことから、僕も教師になろうと思っていたのですが、その父ががんになったことがきっかけで医師をめざしました。父はずっと血圧が高かったので、大学教授のところに外来で通っていたのですが、その間にがんは見つからなかったんです。そういう偉い先生は専門の病気しか診ないので、いたしかたないところはありますけれど、ちゃんと体全体を診ることができるお医者さんがいたらなあと思ったのが発端ですね。

大学ご卒業後に消化器系の専門となられていますね。

医者の初期研修では全科をまわるのですが、その中でしっかりと治せる病気がある科は循環器と消化器だと思いました。検査手技が確立されていて、内視鏡で検査治療することができる。まず消化器内科に入り勉強を始めました。消化器内科というのは、大腸がん、胃がん、食道がんなど一番がんが多いんですね。肺がん以外はほとんどが消化器系ですから、がんの早期発見が大事になってきます。大学病院や総合病院にいると、進行癌の患者さんがいっぱい来ます。もう少し早く見つけられなかっただろうかというのが総合病院にいるときの感覚でした。現場にいて、胃の検査をしていない人には「胃の検査をして、ピロリ菌がいるかいないかまず調べてみましょう。そうしたらがんを予防できるかもしれません」と口説きに行く。がんを防いでも心筋梗塞になることもあるので、体全体の病気を未然に防ぐためには何ができるのかというところで、老化の研究をしています。

老化を食い止めることが予防医学において大切だということですね。

内山順造院長 南毛利内科2

僕はハーバード大学で老化のメカニズムを研究していたのですが、老化の基礎研究で一番難しいのは、何をもって老化とするかということです。老化全体を表す明確なマーカーがないんですね。ですからマーカーになり得る血管の硬さや記憶力などいろいろな要素を調べて勉強するわけです。このパーツがこうなったら老化だよという複数のマーカーを知り、検査ができれば、それが臨床で応用できるということですね。動物は成長を止めた瞬間から老化すると言われていますから、成長期を過ぎると、その時点からもう老化が始まっています。なので、生活習慣病のすべては老化が関連しているということになりますね。対象年齢でいうと壮年期である30代、40代以降。この年代の患者さんが10年先を見通して予防医学を実践していくことで50代でも20代のような肉体をキープできる可能性があります。当院の抗加齢検査では、脳、肺、胃、筋肉、ホルモンなど体のパーツごとに、どこが老化しているかを調べることができます。健康でどこにも不都合はないけれども「あなたの血管は10歳年取っているよ」とか、「胃は若々しくて20代ですよ」とか、あなたの中の年齢のジグザグをすべて調べていく。そこから窪んでいるところを埋めていく生活をすることで、5年先にはここまで戻しましょう。そのための方策はこうですよということを提案しています。

ハーバード大学での3年間、老化の研究で得たもの

ハーバード大学で行っていた老化の研究というのは、具体的にはどのような内容だったのですか?

内山順造院長 南毛利内科3

ゼブラフィッシュという魚を使って研究をしていました。魚って死ぬまで成長し続けるんですよ。ずっと水の中で暮らしているので、大きくなることで自分の体を潰すなどのデメリットが少ないんですね。海の中だとシロナガスクジラみたいに100m以上にもなる。大きくなるってことは成長し続けるということです。細胞が分裂し続けるということは、常に新しい細胞ができてくるので老化しにくいんですね。魚をいくつかのマーカーで調べると、全然老化していないというデータが出てきて、それを論文にまとめました。ですから、人間も成長し続けると老化を予防できる可能性がある。成長し続けるってことのひとつが運動をして、筋肉を増やし続けること。筋肉を壊して、作るということを繰り返すと頭から成長ホルモンが出るんですね。その成長ホルモンが全身をまわって、体の組織を入れ替えさせる。毎晩寝てから2時間後ぐらいに頭から成長ホルモンが全身に回るような環境を作ると、魚と同じように人間も成長し続けて、体の組織が若返ることが可能かもしれません。

魚を研究の素材に選ばれるというのは面白いですね。

ハーバード大学は、がんや老化の分野で先端の研究アイディアを持ってアプローチするとWelcomeなんですよ。当時、アメリカやヨーロッパ、日本でも実験動物はネズミを使っていました。でも、ネズミを10匹飼うスペースでゼブラフィッシュを100匹飼うことができる。10匹の動物より100匹の動物で研究する方が圧倒的に有利なんですね。ちょうど私が研究に行っているころ、魚とネズミと人間の遺伝子がすべて解明できた。つまり人間とネズミと魚のこことここの遺伝子が同じだよって全部わかるわけです。私たちが率先してゼブラフィッシュという魚で研究を始めたとき、ネズミを飼っているブースの半分が魚に変わりました。神経、心臓、老化、がん、いろいろな研究者が一気に魚での研究を始めたんです。僕は魚の飼い方がすごく上手だったので、どうやって魚を増やすかほかの研究者に教えていました(笑)。

帰国されてから2013年に開院されるまでの経緯を教えていだたけますか。

内山順造院長 南毛利内科4

ハーバード大学には3年間いました。世界中から優秀な人たちが集まってくるので刺激になりましたね。特に韓国、中国、インドの若い優秀な人たちは素晴らしかった。あまりにも優秀な人たちを目の当たりにして、僕は日本で臨床をしようときっぱり決められました。帰国後は総合病院に勤務し、茅ヶ崎の診療所で雇われ院長をする形でサーフィンをしていました(笑)。開院するなら地元にと決めていましたね。自分の友人たちももういい年齢だし、その親たちの年代が治療を必要とする世代の真っただ中です。ここに開院して、小さい頃から知っている人たちが来院してくれるのはやっぱりうれしいですね。

予防医学のキーステーションをめざして

診療の際に心がけていることは何ですか?

内山順造院長 南毛利内科5

相手の懐に入り込むっていうのが大事かなと思っています。ちょっと話した趣味の話とか、いついつ釣りに行っているだとか、そういうことをカルテにメモしておくと、次回話をするとき患者さんがパッと心を開いてくれるので、要点をすぐに聞けます。それから、診察室から患者さんを呼ぶときは、マイクを使わず僕がドアを開けて呼びます。そうすると診察室まで歩いてくる患者さんの姿が確認できますし、座っているときにどんな顔をしているかもわかる。「待たされて顔つきが険しくなってきたな」とか、そういうことも観察しながら診療していると楽しいですね(笑)。待合室では、有名なアイドルグループの曲に合わせて踊っている動画をモニターで流しています。実は、その動画は私の病院を支えてくださっている皆さんに踊ってもらったものなんです。「それだけで病気が治るんじゃない」なんて言ってくれる人もいますね(笑)。楽しむということで言うと、月に一度ノルディックウォークツアーを開催しています。ノルディックの面白さは、普段使わない肩甲骨周りの筋肉を使うところで、これがとても新鮮なんですね。私たち動物って、もともと四つ足じゃないですか。猫とかライオンが歩く姿と同じような原始の体の動きがすごく気持ちいいみたいですね。肩こりもなくなるし、上半身の筋肉を使うので消費カロリーが倍になってウエイトコントロールにもすごくいいので、リピーターが非常に多いですよ。毎月30名くらいの方が参加しています。

渡航相談もやっていらっしゃいますが、やはり海外に住んでいた経験から始められたのですか?

たとえば日本人が海外赴任や留学でアメリカに行く場合、日本では受けていないワクチン接種が必要になることがありますよね。日本で一筆「日本人はBCGを打っているので、陽性に出ますよ」と英文で書いてくれれば、現地で結核の検査をしたときに混乱しなくて済むんだけれど、書く先生があまりいないんですよ。今は日本人が発展途上国へ行くことも多いので、そこでの疾病っていうのは日本では想定できないものがたくさんあるといった話をする必要もあるなあと感じて始めました。インドでは年間2万人が狂犬病で亡くなっているのに、その国にワクチンなしで勤務するのはおかしいですよね。渡航外来学会で発表することで、各国大使館の医務官や日本中の渡航外来の先生と繋がって情報交換しています。海外赴任する患者さんに「そこの地域に行くならこの病院がいいよ」という情報を提供したり、現地のドクターから「紹介された患者さんが来ました」なんていうメールをもらってネットワークができあがっていくことが自分の中でとても楽しいですね。

最後にこの医院における今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

内山順造院長 南毛利内科6

予防医学のキーステーションになりたいと思っています。大きな病院へ行って一つ一つ調べてもらうんじゃなくて、ここへ来ればまず入り口は全部調べられます。ここから大学病院や総合病院へピンポイントで専門医に紹介することができるし、ネットワークを使えば総合病院で撮ったMRIの検査結果をここで見ることもできます。患者さんには5年先、10年先に自分がどうなりたいかってことを考えてもらいたいですね。80歳でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎さんが「健康のための健康は意味がないよ」って言っていますが、5年先にやりたいことがあるなら、そのとき健康で今より若くいなくちゃいけないじゃないですか。だからこそ、やりたいことを見つけようってことですね。

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