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今井 正 院長の独自取材記事

いまいこどもファミリークリニック

(高松市/屋島駅)

最終更新日:2022/02/04

今井正院長 いまいこどもファミリークリニック main

JR高徳線の屋島駅から車で6分、ことでんバス新田停留所より徒歩3分の場所にある「いまいこどもファミリークリニック」は、2010年に今井正院長が開業。子どもたちが感じる医療機関に対する怖いイメージを変えていくため、いわゆる「病院らしくない」存在をめざしているそうだ。今井院長は、日本小児科学会小児科専門医、日本血液学会血液専門医の資格を持っており、25年間大学病院で子どもの診療をしてきたベテランドクター。口ひげがトレードマークで、子どもたちから「おひげの先生」と呼ばれて親しまれているという。スタッフも明るく子どもたちに声かけするよう努めているそうだ。日々患者と接している今井院長に、これまでとこれからについて聞いてみた。

(取材日2021年8月24日)

怖がらせず、うそをつかず、笑顔で子どもを出迎える

クリニックの特徴についてお聞かせください。

今井正院長 いまいこどもファミリークリニック1

こだわったのはクリニックらしくないクリニックにすることです。建物は建築士さんに西洋の童話に出てくるようなメルヘンチックな建物にしてほしいと要望を出しました。院内もキッズスペースを広く取っておもちゃや絵本をたくさん置いてアニメのDVDも流しています。クリニックに行くというよりも遊びに行くような感じで来てほしいですね。後は、院長も含めてスタッフ全員白衣は着ていません。看護師さんは白のパンツにエプロンですし、受付も黒のパンツでエプロン姿です。これなら保育所とか幼稚園とかに近くて病院に来ている感じがしないと思ってそのスタイルにしています。もう一つのこだわりは待合室とキッズルーム2つにしたことです。それと隔離室が2つあります。これは水ぼうそうなど感染しやすい病気の患者さんは隔離室、風邪などの患者さんと予防接種などの患者さんが一緒にならないためです。やはりうつしてはいけませんからね。

どういった診療方針を掲げていますか?

一つは最低限の薬で済ませること。もう一つは過剰な検査をしないこと。もう一つは余計な制限をかけないことです。例えば、食事制限も極力最小限にとどめるように心がけています。子どもに負担がかかってしまうとストレスにつながり、子どもの成長にとっても良くありません。そのためにも早く病気を見つけることが何よりも重要になってきます。だから親御さんには予防接種や乳児健診などを積極的に受けていただくよう勧めています。そのための説明も時間をかけて丁寧にやっています。病状や診断名についてパンフレットなどを利用してわかりやすく伝えることで、病気の早期発見の大切さをご理解いただければと思っています。

子どもと接する時に注意していることはありますか?

今井正院長 いまいこどもファミリークリニック2

うそをつかないことです。例えば、注射をするときは必ず「注射をするからね」と話しますし、痛いことをするときも「痛いことをするよ」と前もって話します。うそをつくと子どもは医師を信用してくれません。それではいい治療ができませんので、うそをつかずに正直に子どもと接するようにしています。小児科医の接遇は大きく分けて2つに分かれます。一つは親御さんと話をするタイプと、もう一つは子どもと話をするタイプ。限られた診療時間では両方と話す時間が十分に取れないため、親御さんかお子さんかどちらかを選ぶことになるのですが、僕は後者です。あとは子どもに対してできるだけ優しく声をかけること。子どもに信頼されると診察にも協力的になり、診察がしやすくなり異常の発見もしやすくなります。

重症化を防ぐために大切な、予防接種と早期発見

予防接種を勧めているのはどうしてですか?

今井正院長 いまいこどもファミリークリニック3

重症化を防ぐためです。発症すれば命に関わることもある、もしくは後遺症やハンディキャップが残ってしまう可能性がある病気が、予防接種の対象となっています。B型肝炎、ロタウイルス、肺炎球菌感染症、はしかなど、どれもかかってしまうととても重症化してしまう可能性があります。しかし、今の若い世代の親御さんたちは、昔と違って感染症にかかった子どもをじかに見ることがほとんどないため、病気の本当の怖さを知らないというのが一番の問題だと考えています。お子さんが感染症にかかって「こんなにひどい病気ならば、予防接種しておけば良かった」と言われる親御さんがいますが、そんな思いをすることのないよう予防接種は積極的に受けてほしいと思います。

忘れられないエピソードがありましたら教えてください。

大学病院にいた時に白血病とか小児がんの治療を行っていた子どもたちが大人になって、自分の子どもを病院に連れてきてくれることはとてもうれしく、本当に良かったと思います。小児科医として診療した時にまだ小さかった子どもが結婚して子どもを連れて来てくれた時もうれしいですね。子どもの頃から知っているし、どんな病気になったのかもわかっているから、余計にうれしいですね。それが小児科医になって良かったと思う瞬間です。

今後の展望についてお聞かせください。

今井正院長 いまいこどもファミリークリニック4

当院では、必要のない検査をやめ、薬の量を少なくして、病気を早期発見する、という3つの診療目標を掲げているので、今後もさらに進展させていきたいです。早期発見は重症化のリスクだけでなく、後遺症のリスクの軽減にもつながります。例えば、今は赤ちゃんの目の働きを簡単に調べられる機器を導入しています。体の異常やトラブルを早い段階で見つけられるような環境を整えて、早期発見を早期治療につなげ、よりきめ細かに子どもの健やかな成長をサポートしていきたいですね。今後新型コロナウイルスやマイコプラズマ感染などを早期に診断できるPCR機器の導入も行います。

自分の健康を守るためにもかかりつけ医を持ってほしい

先生が医師をめざしたきっかけは何ですか?

今井正院長 いまいこどもファミリークリニック5

僕の父は、僕が小学校1年の時に入院し、3年生の時に亡くなりました。父の死をきっかけに病気になった人を一人でも助けたいと思うようになり、医学の道に進みました。早くから母子家庭だったので、母には随分と苦労をかけたと思いますし、今でも感謝しています。あと、父は教師をしていたのでその影響もあって、人と接する仕事がしたいと思っていました。医師も教師同様に人と接する仕事ですし、同じような道に進んだのかなと思っています。実際に小児科医になってからは毎日充実しています。これからも小児科医として多くの子どもの健康を守り、成長していく姿を間近で見られたらと思っています。

子どもを連れてくる親御さんが以前と変わったと思うことはありますか?

10年前だと、子どもを病院に連れて来るのはお母さんの役割で、お父さんは付き添いみたいな感じでした。しかしここ2~3年、一人で子どもを病院に連れてくるお父さんが増えてきました。子育てはお母さんに任せきりだったのが、お父さんも積極的に参加しているということだと思います。共働きの世帯が多いことも影響しているのかもしれません。ただ共働きの場合、お子さんが病気になった時が大変です。ご両親のどちらかが休めたらいいのですが、なかなかそうはいきません。普段通っている保育所で面倒を見てもらえたらいいのですが、ほかの子にうつしちゃいけないからと、それも難しい。かといって病児保育だと、子どもがその環境自体に慣れていないし、ほかの子に別の病気をうつされるリスクもあり、それでまた悪くなったり、家族にうつしたりする恐れがある。こういうとき、地域の小児科としてどんなサポートができるかなといつも考えています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

今井正院長 いまいこどもファミリークリニック6

病気になるたびにあちこちのクリニックへ足を運んでいる親御さんも多いと思いますけど、早い段階からかかりつけ医を持つと自分の子どもの健康が守りやすくなります。かかりつけ医なんてと大げさに思うかもしれませんが、ちょっとしたことに気づいてもらえる医師がそばにいるだけで病気の重症化を防ぎやすくなるのです。子どもの診療は、早い段階で見つけることが何よりも大切です。だからこそ体調や子育ての相談など気軽にできるかかりつけ医を持ってほしいと思います。

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