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中崎浩道 院長の独自取材記事

医療法人社団HKN横浜ポートサイド 中崎クリニック

(横浜市神奈川区/横浜駅)

最終更新日:2021/10/12

中崎浩道院長 医療法人社団HKN横浜ポートサイド 中崎クリニック main

横浜駅きた東口から徒歩7分。高層マンションが建ち並ぶポートサイド中央交差点にほど近い、ヨコハマポートサイドプレイス3階の「中崎クリニック」。院内はオフホワイトで統一され、清潔感のある落ち着いた雰囲気。フロアがすべてフラットのため、待合室・診察室・リハビリ室と、どんな場所でも移動しやすい。入り口にはベビーカーを置くスペースも設けられている。脳神経外科・内科を標榜しているが、小児から高齢者まで、まさにあらゆる世代に対応したクリニックだ。院長の中崎浩道先生は、穏やかな笑顔で一つ一つの質問に真摯に答えてくれる。副院長の中崎薫先生は、母という一面も持ち、ふわりとした柔らかい印象。2人の人柄がクリニックをさらに居心地良い空間にしている。インタビューでは、専門分野の話から、地域のかかりつけ医としての仕事、そして、これから広がる認知症に関連した「物忘れ相談」の話までたっぷりと語ってもらった。

(取材日2013年9月30日)

小児脳外科・消化器内科の専門を生かしながら、地域のかかりつけ医として

この地域で開業されてみていかがですか?

中崎浩道院長 医療法人社団HKN横浜ポートサイド 中崎クリニック1

実は、妻の実家が鶴見区にあり、私自身が住んでいるのも鶴見区なので、この辺りの土地になじみがあったんです。横浜駅からのアクセスが良いというのも選ぶポイントになりました。この地域は新しい街で、近隣のマンションなども同時期にできたため、子どもたちがとても多いという印象があります。最初は、もう少し年齢層の高い方が多いのかなと思ったんですが、現在実際に診療している患者さんの3〜4割はお子さんです。ふたつ隣のテナントにはけっこう大きな保育園が入っているんですが、私はその園医も務めています。

大きな病院との違いなどは感じていらっしゃいますか?

例えば、大学病院時代、私は小児の脳神経外科が専門だったんですが、ごく限られた狭い分野での診療でした。風邪などの病気はまったく診なかったんです。それが、開業してからは9割5分くらいは風邪です(笑)。脳神経外科を標榜してはいるんですが、専門分野で受診してくる患者さんはあまりいません。ネットでの情報などをもとに、頭痛などを訴えて遠方から訪ねて来られる方もいらっしゃいますが、実際には少数派です。もっとも、私自身は地域のかかりつけ医をめざしているので、むしろ望んだ環境にいるわけです。

得意な診療分野について伺えますか?

中崎浩道院長 医療法人社団HKN横浜ポートサイド 中崎クリニック2

基本的には開業医なので、なんでも診るというスタンスですが、あえて得意な分野とすれば、私はやはり小児の脳外科です。その中でも、二分脊椎症という病気を最も専門的に手がけていました。これは、症状の重い場合、脊髄が脊椎の外に出てしまうもので、下肢の麻痺などが起こることもあります。ただ、開業してからはほとんど接することがなくなりました。これまでに当院で診療した数例は、生まれて間もない時期に、「お尻の一部がへこんでいる」ということで受診してきたケースです。お尻と言っても、肛門より3cmくらい背中寄りの部分に小さなへこみ(穴)ができているものです。その穴が脊髄までつながっているとばい菌が入ってしまい、髄膜炎を繰り返すこともあるので、手術をして閉じなければなりません。ただし、脊髄がかなり飛び出してしまっているような重症のケースは10万人に1人くらいでちょっと穴が開いているというようなケースは100人に1人くらいはいる、と言われており、全員に手術が必要なわけではありません。そして妻の方は、検査を含め、消化器系の分野が得意ですね。胃カメラの検査では、最初にどういうことをするのかきちんと説明し、なるべく声をかけながら実施しているようです。女性の患者さんの場合には鼻の穴が小さく、経鼻内視鏡ではひっかかることもあるし、見えにくい部分もあるので、経口内視鏡を使っています。健康診断などでは経鼻内視鏡でも構わないと思いますが、何らかの症状がある方に対しては、口から入れて徹底的に調べることにしています。また、妻は、アメリカに留学していた際、肥満専門のクリニックで勉強していたので、肥満の相談にも対応しています。もともと大学では逆流性食道炎について研究していたこともあり、肥満とはずっと関わってきたんです。肥満になれば腹圧が上がり、圧迫されて逆流性食道炎を引き起こします。ただ、太っている人がすべてというわけではなく、見た目が正常でも、体重の増加傾向によっては内臓脂肪が多くなっていて腹圧が上がっているケースもあります。そのため、よく患者さんのお話を聞いて、体重の増加率や食生活をチェックし、アドバイスをするようにしています。

医師と患者との関係を超えた、人間同士のつながりを

診療におけるこだわりなどはありますか?

中崎浩道院長 医療法人社団HKN横浜ポートサイド 中崎クリニック3

個人を尊重して診療にあたっています。大学病院の時代と違って、一人ひとりのお話をすべて聞いているので、診療時間は少し長めです。その点がちょっと問題ですね(笑)。それから、当院では、限られたケースに対してですが、往診もしています。長く通っていただいている患者さんは、ご高齢になるとどうしても通院が難しくなることがあります。そういった方たちを対象に、少しずつ訪問診療をするようにしているんです。すると、診療室で会っていた時と違って、さまざまな生活背景が見えるようになっていきます。例えば、どんな趣味をお持ちなのか知ったり、若い頃の写真などから、以前はこういった方だったんだということがわかったりするんです。いろいろなことに触れるにつれ、患者さんとの距離感も変わってきます。単なる医師と患者との関係を超えたスタンスができてくるわけです。これは、大学病院などではなかったことですね。

これまでに印象に残るエピソードなどはありますか?

患者さんの中でよく覚えているのは、開業してすぐに来てくれた方で、徐々に病状が悪化して最終的にがんになり、ご自宅で看取ったケースですね。それから、「頭が痛い」と訴えて来院された患者さんで、検査をしてみたら大きな脳腫瘍が見つかり、すぐに大きな病院へ紹介したということもありました。 また、妻が自身の出産時にトラブルが多く長く入院していた際に、ドクターや看護師の態度などを患者さんの立場で観察し、患者さんの気持ちを分析したようで、なるべく不安を与えないよう当クリニックでも工夫して診療に生かしています。入院中最も不安になったのは、放置されているのではと感じた時だったそうです。「こちらの部屋にいてください」と言われたまま、20分、30分たっても何の説明もないことがあったと。ですから、診療の中でそういう場面があったとしても、なるべくこまめに声をかけるとか、待っていただく理由をきちんと説明するよう心がけています。

先生方の診療スタイルなどに影響を与えた人物などはいらっしゃいますか?

中崎浩道院長 医療法人社団HKN横浜ポートサイド 中崎クリニック4

開業する前に、脳外科のクリニックというのはどういうものなのかを知りたいと思い、先に開業した先輩のところへ週に1度、半年くらい通わせていただいたことがあります。そのクリニックは足立区にあり、下町情緒たっぷりな雰囲気でした。お年寄りの患者さんがたくさんいらっしゃっていて、そういった方たちと接している姿が勉強になりましたね。結局、脳外科として開業すると言っても、あらゆる訴えに対応できなくてはいけないんです。食事ができないと言われれば点滴もするわけです。今となっては当たり前のことも当時はまったくわからなかったので、開業医としてのベースを学ばせていただきました。

医療だけでなく、総合的な支えが必要な認知症

お忙しい毎日かと思いますが、ストレス発散法などを教えていただけますか?

中崎浩道院長 医療法人社団HKN横浜ポートサイド 中崎クリニック5

スポーツとしてはゴルフですが、年に3、4回くらいしかしていないので、あまり日常的なストレス発散にはなっていませんね。最近は家を引っ越したので、休みの日には庭いじりをしています。緑に触れていると心が落ち着くような気がするので、休みでも朝5時くらいに起きていることもあります(笑)。自宅のある鶴見区は、まだ周辺に自然がたくさんあり、ウグイスの鳴き声が聞こえることもあって和んでいます。今は、家にいることがストレス解消になっていますね。妻は庭いじりをしています(笑)。庭というほどの庭ではないんですが、確かに、こういうふうにしたいなという理想があるみたいで、最近は木を切ってみたりしていますね。あとは、おいしいものを食べている時が一番幸せそうですね(笑)。

読者へのアドバイスなどがありましたらお願いできますか?

脳外科の分野に関しては、突然の頭痛はすぐに病院に行ったほうがいいですね。じわじわと痛くなるのではなく、突然、「ガン」という感じで痛くなるのは、くも膜下出血など命に関わる場合があるので、すぐに受診するか、救急車を呼ぶべきです。30、40歳代でも、急に亡くなってしまうことはあります。若いから大丈夫だろうと言いながらも検査を受けてみたら頭の中で出血していたということがあるんです。女性では、ピル(経口避妊薬)を飲んでいると、脳出血の恐れがあります。ちょっと異常を感じたら、すぐに検査を受けてください。また、最近では、子どもにも偏頭痛があることがわかっています。昔は「サボリ病」などと呼ばれることもありましたが、確かに子どもでも偏頭痛は起きるんです。だから、先入観にとらわれず、子どもが頭の痛みを訴えた場合も、早めの受診をお勧めします。

最後に、今後の展望について伺えますか?

中崎浩道院長 医療法人社団HKN横浜ポートサイド 中崎クリニック6

私は、小児神経外科が専門なんですが、実は、医師会の中では認知症に関する仕事をしているんです。神奈川区役所で「物忘れ相談」という窓口を開設しているのですが、今後は、この分野にも力を入れていこうと考えています。ご本人の自覚があるうちはまだ程度が軽いと思われますが、症状が進むと危険な状況になります。鍋を焦がして火事になったり、金銭的なトラブルに巻き込まれたりしてからでは遅いので、物忘れがひどいなどの予兆があったら、ご家族が早めに連れて来ていただきたいと思っています。この病気は症状が良くなることはありません。薬を飲んでも進行を和らげるのは難しいのが現状です。だからこそ、早めに対策を立て、周りでサポートしていくしかないんです。これは、医療だけで解決するものではなく、介護保険などを使って、地域のケアマネージャーや訪問看護師・ヘルパーなどの手助けが必要です。総合的な力で支えていく、その一部として私も関わっていくことになります。このように、妻は働き盛りの年代の患者さんを多く診療し、私はお子さんとお年寄りの患者さんを多く診ています。気づいたら、すべての世代を診ていることになっていました(笑)。 各種の人間ドックや健康診断の結果などでよくわからないことがあれば、そのデータを見ながら、今後注意すべき点などについてお話しながら、早めに治療したり、病気にならないよう予防したりといった取り組みを地域のなかで広げられたらと思っています。今後も、幅広く、地域のかかりつけ医として、その役割を担い続けたいと思っています。

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