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澤村 茂樹 院長の独自取材記事

こうのとりWOMEN’S CAREクリニック

(四日市市/近鉄四日市駅)

最終更新日:2022/06/28

澤村茂樹院長 こうのとりWOMEN’S CAREクリニック main

澤村茂樹院長が2009年に開業した「こうのとりWOMEN’S CAREクリニック」は、近鉄四日市駅から徒歩3分とアクセスの良いマンションの2階にある。商店街の中にあるため、周囲にはクリニックや店がたくさん立ち並んでいる。澤村院長は、体外受精の研鑽を積んだ不妊治療のスペシャリスト。同クリニックを訪れる患者のほとんどが不妊治療希望で、遠方から来る人も少なくないのだとか。話し上手で、笑顔で受け答えする澤村院長に、クリニックの強みや特徴、これまでの歩みなど幅広く聞いた。

(取材日2022年3月30日)

何でも相談できる街の不妊治療のスペシャリスト

駅からすぐでアクセス抜群の立地ですが、この場所はどのように決めたのでしょうか?

澤村茂樹院長 こうのとりWOMEN’S CAREクリニック1

駅近にこだわっていたわけではなかったのですが、良い場所がなかなか見つからなかったのでここに決めました。開業を考えたときは、お産も扱う産婦人科にしようと思っていましたが、駅近ならと思って方針変更したんですよ。ただ、電車を使う若い方が多いかなと思っていたのですが、現状当クリニックには30~40代の方が多くいらっしゃっている印象です。私も妊娠希望者にはぜひ妊娠していただきたいと考えていますので、年齢で区切らずどんな方でもウェルカムでやっています。不妊治療で通われている方がほとんどで、四日市からだけでなく桑名、鈴鹿、津や名古屋からの方もいます。

ご開業までの歩みを教えてください。

実は脳外科出身で大学院では、神経移植がテーマでした。ただ、体外受精も同じ移植。顕微鏡や培養器を使って細胞に働きかけるという点では同じなので、テーマとしてはかけ離れていないと思っています。もともと不妊治療には関心があったので、紆余曲折あったのち産婦人科の道に進みましたが、違和感なく入ることができました。最初の3年間はお産をメインに経験し、その後ヨナハ総合病院で初めて生殖補助医療(ART)に携わりました。そこで経験を積んでいくうちに、もっと妊娠率を上げるにはどうしたら良いのかと思うようになり、東京にあるJISART(日本生殖補助医療標準化機関)のメンバーの木場公園クリニックへ行きました。そこで「ARTの鉄人」の技術を学び、さらに岐阜の個人クリニックでART施設を立ち上げました。翌年、培養士志望で入職してきた今の主任培養士である高岸さんと出会い、一緒にこのクリニックを立ち上げたのです。

先生はどのようなクリニックをめざされているのでしょうか?

澤村茂樹院長 こうのとりWOMEN’S CAREクリニック2

不妊治療専門のクリニックとして紹介されることが多いのですが、私は当院が不妊治療専門のクリニックだとは思っていません。不妊治療を得意とする、しかし駅近で、何でも産婦人科に関することは相談できるクリニックにしたいと思っていました。そもそも不妊症で悩んでいるご夫婦は10組に1組ともいわれますので、不妊専門のクリニックだけが診ていく状況では、患者さんが多すぎて対応しきれなくなってしまいますので、一般的な婦人科クリニックでもある程度対応していく必要があると考えています。開業後しばらくは患者さんが来ないこともあったのですが、今は遠方からも来てもらっています。

患者とは時間をかけて丁寧にコミュニケーションを

このクリニックならではの治療はありますか?

澤村茂樹院長 こうのとりWOMEN’S CAREクリニック3

こだわっているのは卵管鏡治療まで含めた子宮鏡ですね。当クリニックでは、子宮鏡を使ったスクリーニングを実施しています。一般的には子宮卵管造影というエックス線検査を行うのがほとんどですが、胃透視と胃カメラみたいな関係で、子宮内膜炎やポリープの状態は子宮鏡で直接見ないとなかなかわからないのです。当クリニックでは軟性子宮鏡(ビデオスコープ)を採用していますので、子宮をけん引せず短時間で検査が可能です。

このクリニックの強みはどんなところだと思いますか?

強みというか特徴になるかもしれませんが、当クリニックの患者さんには、自由にメールを送っていただき、私がメールで返信しています。特に、移植後7日目の採血検査の結果は、メールでお伝えし、着床に至らなかった場合には、ご期待に応えられなかったことに対して謝罪をしつつ、「なぜ妊娠しなかったのか」「次はどうしたら良いか」ということに関して私のこれまでの知識と経験を総動員して文章を作り、最後に、患者さんを励ますようにしています。

患者さんと接する際に最も大切にしていることを教えてください。

澤村茂樹院長 こうのとりWOMEN’S CAREクリニック4

想像力ですね。「この人は何をどう悩んで、何を望んでいるのだろう」とその患者さんの思考になって考えるようにしています。そこに客観的な視点を加えることで、「ここに原因があるのではないか」という予知力を大事にしています。患者さんと数回周期面会をすると、今までの幾多の経験が、現状ではその方が妊娠しないのではないかと教えてくれます。そう感じたときには、患者さんにはそれをきちんと伝えた上で、そこからどう対策をたてていけばよいのか、しっかり向き合って一緒に考えることが大切だと思っています。こちらがちゃんと伝えないと患者さんもなかなか変わろうと思わっていただけないのではないかと感じますし、患者さんのためにならないと思います。妊娠しない原因を見て見ぬふりをして、耳障りの良い言葉だけで良いイメージを保って接していても成果が出ないので、患者さんには正直に向かい合うようにしています。

スタッフ全員で患者のメンタル面もサポートする

患者にあらかじめ伝えておきたいことはありますか?

澤村茂樹院長 こうのとりWOMEN’S CAREクリニック5

最初は、深く考えずに「お手軽に」子どもをつくろうと来院される方もいらっしゃいます。検査の結果、想像以上に治療が大変だとわかると、そこで躊躇する人もいるし、なんとしてもつくろうと固執する人もいます。そこで、そのご夫婦にとって「子どもが欲しい」ということは、どういう意味合いを持つのかを客観的に考えて想像してほしいです。「子どもを持つ」のはプラスの面だけではなくて、マイナスの面も出てきてしまうわけです。子どものいる人生といない人生をしっかり想像してほしいですね。今は仕事を優先したいのか、今の仕事を先延ばしにして、自分の時間を子どものために費やすことができるのか考えた上で、それでも子どもが欲しいと思ったらまた前進していただきたいです。

スタッフについて教えてください。

ARTというのは、私一人ではできないので、スタッフの力はとても大切です。休日も含めて朝から晩まで対応してもらうために、培養士全員にはこのクリニックの入っている同じマンションに住んでもらって、負担を軽くしています。スタッフの負担を軽くすることが、患者さんに提供する医療の質にもつながると考えています。不妊治療は心のケアもとても大切なので、カウンセリングを学んでいるスタッフもいます。心のケアも不妊治療の一環と考え、スキルを持ったスタッフにも患者さんの話をしっかり聞いてもらって、サポートしていってもらおうと思っています。

最後に今後の展望をお聞かせください。

澤村茂樹院長 こうのとりWOMEN’S CAREクリニック6

今後は、女性の産婦人科の先生を迎えて、チームになって医療を提供していきたいと考えています。私も徐々に年を重ねていますし、考えも技術も古い状態のままではいけないと思っています。それに自分1人の考えではなく、誰かと一緒に考えることで新しい風を吹き込んでいけるとも思います。まず、これが第1の目標です。あとは、当クリニックで妊娠された患者さんのお子さんが、成長した姿を見せてくれたら感動するでしょうね。長い年月がかかりそうですが、そういう感動が味わえるまで頑張っていきたいです。「あの時の赤ちゃんがこんなに大きく成長したんだな」と思うと、やってきてよかったと感慨深いでしょうね。

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