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女性に多い甲状腺疾患は
不妊や生活習慣病にもつながる

なかのクリニック

(鹿児島市/市立病院前駅)

最終更新日:2024/01/31

なかのクリニック 女性に多い甲状腺疾患は 不妊や生活習慣病にもつながる なかのクリニック 女性に多い甲状腺疾患は 不妊や生活習慣病にもつながる
  • 保険診療

女性に多い甲状腺疾患は、不定愁訴のような症状が出るため気づかない人も少なくない。特に甲状腺疾患として広く知られるバセドウ病は動悸や息切れ、汗をかきやすいなど更年期障害と似た症状が出るため、勘違いしたまま放置してしまうケースもあるという。甲状腺疾患の治療と手術の経験が豊富な「なかのクリニック」の中野静雄院長は、「甲状腺疾患と上手に付き合っていくには薬を適切に服用することが重要となります」と語る。しかし、一方で甲状腺の働きが低下する橋本病を患ったまま放置していると、不妊や流産のリスクも高くなる。「甲状腺疾患の疑いがある方は、一度甲状腺を専門とするクリニックを受診してほしい」と呼びかける中野院長に甲状腺疾患の種類と特徴、治療方法など詳しく教えてもらった。

(取材日2024年1月11日)

女性に多い甲状腺疾患が疑われる場合は検査と適切な治療を。放置すると循環器疾患や不妊のリスクも

Q甲状腺疾患の種類と特徴を教えてください。
A
なかのクリニック 院長の中野静雄先生は消化器疾患と甲状腺を専門とする医師

▲院長の中野静雄先生は消化器疾患と甲状腺を専門とする医師

甲状腺疾患は大きく分けると腫瘍の病気と機能の病気があります。喉の下にしこりができるのが腫瘍の病気で、中には甲状腺がんの可能性もあります。機能の病気は、甲状腺ホルモンの異常を引き起こすもので、ホルモンが増える甲状腺機能亢進症とホルモンが減る甲状腺機能低下症があります。亢進症の9割はバセドウ病で、患者さんが自覚しやすい症状としては、汗をかきやすい、暑がり、よく食べるのに太らないなどがあります。一方、橋本病に代表される低下症は代謝が低下するため、少ししか食べていないのに太りやすくなるのがわかりやすい症状ですね。

Qバセドウ病と橋本病が発症しやすい性別や年齢はありますか?
A
なかのクリニック 甲状腺疾患を判断する上で重要な触診風景

▲甲状腺疾患を判断する上で重要な触診風景

甲状腺疾患患者の約8~9割は女性です。バセドウ病の発症年齢は比較的若く、中学生や高校生でなる方もいます。一方橋本病は、甲状腺ホルモンをつくる部位が自分の免疫に攻撃されて機能が低下すると発症し、30代以降が多いです。しかし、橋本病も10~20代で発症する方もいるため、若い方も油断は禁物。女性の約15%が橋本病を引き起こす甲状腺自己抗体を持つといわれているため、10人のうち1~2人が発症する可能性があります。バセドウ病の症状である動悸や息切れ、汗をかく、橋本病の症状である無気力、便秘、髪が薄くなるといったことがあれば一度検査を受けましょう。

Q甲状腺疾患と妊娠の関係について教えてください。
A
なかのクリニック 甲状腺疾患は女性に多いという

▲甲状腺疾患は女性に多いという

妊娠中は免疫力が下がるため、自己免疫が引き起こすバセドウ病は症状が軽くなるケースもあります。橋本病があり甲状腺機能が低下すると妊娠しにくくなることがわかっています。当院も産婦人科から不妊治療中の方を紹介されることが多いです。甲状腺ホルモンの数値が正常の範囲内でも、低めだと妊娠しにくくなる影響があるので、不妊に悩んでいる方は一度検査を受けてほしいですね。橋本病の薬は、私たちの体にもともとある甲状腺ホルモンを補うためのものなので、妊娠中も妊娠を希望している方でも服用できます。

Qバセドウ病や橋本病は発見が遅れることで危険性はありますか?
A
なかのクリニック 気になる症状があれば、早めに相談しよう

▲気になる症状があれば、早めに相談しよう

バセドウ病の発見が遅れることにより、頻脈や動悸など循環器に関係する症状が持続して、心不全や心房細動、血栓ができるリスクがあるため、なるべく早く治療をするべきです。あと、性格が攻撃的になるケースもあるので、注意が必要です。一方、太りやすくなる橋本病は肥満によって引き起こされる疾患のリスクがあります。脂質異常症による動脈硬化の危険性が増悪します。バセドウ病も橋本病も、早く見つけて治療するのが良いですね。

Q甲状腺疾患の治療内容や期間について教えてください。
A
なかのクリニック 定期的な通院によりコントロールすることが重要

▲定期的な通院によりコントロールすることが重要

甲状腺疾患は薬物で治療する場合は、長い付き合いになります。バセドウ病の場合は、まずは投薬からスタート。薬物療法が順調に進まない方や、生活背景によっては手術や、放射線治療を選択する方もいます。妊娠中や授乳中に飲める薬もありますよ。橋本病に関しては薬物療法により正常化が期待できます。私たちの体にも存在する甲状腺ホルモンを補うためのものなので、副作用の心配もありません。橋本病を患うとずっと薬を飲み続けなければいけないのは大変ですが、薬さえ飲んでいれば症状の抑制が図れるとお考えください。治療のポイントは定期的に検査を行って、投薬量を調整することです。

ドクターからのメッセージ

中野 静雄院長

バセドウ病は動悸や息切れ、汗をかきやすい、橋本病は無気力、便秘、髪が薄くなるといった自覚症状が出ます。そのような症状および、喉の少し下が全体的に腫れるびまん性甲状腺肥大がある場合は、甲状腺疾患を専門とするクリニックへなるべく早く相談してください。また、甲状腺機能低下症は不妊にも関係しています。半年以上にわたり不妊に悩んでいる方は、橋本病の可能性もあります。婦人科だけでなく、一度甲状腺疾患を専門とするクリニックにも相談して、甲状腺機能低下症ではないか確認しましょう。

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