顎関節を安定した位置に導くことが
矯正治療での大事なポイント

良い歯並びを得るために、顎関節を安定した位置に導くことが肝要。根本原因にアプローチし、健康への貢献も

Q矯正治療を行う患者さん全員の顎関節の状態を調べるそうですね。

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▲正しい噛み合わせを得るために、必ず初めに顎関節の状態を確認

矯正治療では歯を並べればいいと考えてしまう方も多いのですが、顎関節の位置がずれて不安定だと、いくら歯並びだけを整えたとしてもアゴがガクガクして痛む、歯ぎしりがひどい、頭痛や耳鳴りがする、噛みにくいなどの症状は改善しないでしょう。当院では顔や口腔内写真、歯型とかみ合わせの採取などに加えて、まず顎関節の位置や骨の形状などもしっかりと調べます。院内では歯科用CT、頭の骨の状態もわかる頭部エックス線規格写真などを、そして顎関節の状態をもっと精密に知る必要がある方は連携している長崎原爆病院でMRIの検査を受けていただきます。治療を行うには患者さんの状態をできる限り詳細に知らなければならないのです。

Qかみ合わせと顎関節には深い関連があるのですね。

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▲「噛み合わせと顎関節の調和が非常に大切」と語る内山院長

上下の顎をつないでいるのが顎関節。そこに問題があると上下の歯はうまく噛み合いませんよね。でもこの状態を意識している方はあまりおられません。というのも、人の体には"神経筋機構"といって、噛みやすいところに反射的に顎をずらす働きがあるのです。しかしそういう無理をした状態を続けると筋肉に負担がかかり、筋肉緊張性の頭痛や肩こり、歯ぎしり、歯の痛みや摩耗、歯根破折、顎関節症などの症状につながる場合も。当院の患者さんの中には他院で歯列矯正を受けたものの、歯ぎしりがひどく、顎の痛みなどの症状に困り再治療を受けている方もいます。また、「顎関節から治療したほうが良い」と他院の先生から紹介された患者さんもいます。

Q治療の大まかな流れについて教えてください。

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▲CT撮影、歯並びの撮影などの資料を見せながら説明

初診の際にじっくりと当院の治療の流れや費用、期間を説明し、ご理解いただいた上で治療に入ります。最初の治療は緊張している顎の筋肉のリラックス。スプリントというマウスピースのようなものを下の歯に着けます。スプリントを噛みやすく調整することで無理に上下の歯が噛み合う必要がなくなり、徐々に顎の筋肉がリラックスすることで、顎関節の位置が安定してくることが期待できます。さらに、スプリント治療によって頭痛や耳鳴り、歯や顎の痛みなど噛み合わせが原因で生じる症状の改善も期待できます。半年から１年ほどかけて顎関節の位置を安定させたあと、詳細な噛み合わせの検査を行い、ワイヤーとブラケットを用いた矯正治療を行います。

Qまず土台を整えてから、歯列矯正を行うのですね。

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▲患者がリラックスして治療を受けられるよう意識

そうです。矯正治療を希望される方は目に見える歯並びそのものやお顔立ちなどを気にすることが多いですが、まず土台である顎関節を整えないことには治療はうまく進みません。顎関節とかみ合わせが調和するということは、筋肉もリラックスできて、歯ぎしりやくいしばりによる歯根破折やそれによるインプラント治療などを防ぐことにもつながります。せっかく矯正治療をうけられるのですから、ご自身の歯を生涯使っていただきたいです。歯は、食べ物を咀嚼する以外に、発音、嚥下、呼吸などにも深い関わりがありますから、長い人生における健康にとって、歯と顎関節は非常に大きな影響を及ぼします。だからこそ丁寧で精密な治療が大切になるのです。

Q矯正治療後の長期安定にも注力されているそうですね。

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▲治療が終わった後も定期的に口腔内のチェックを受けよう

矯正治療が終わると、後戻りを防ぐため最低2年間は保定装置を装着します。もともと歯ぎしりや歯の摩耗がひどい方、顎関節症の方はもちろん、日常生活における環境の変化や、受験、仕事、子育てなど実にさまざまなストレスを受けて生活するので、顎関節や歯にも負担がかからないように、夜間就寝時にはスプリントを装着して筋肉の安静をはかることをお勧めしています。保定2年後の通院は患者さんのご意志にお任せしていますが、半年か年に一度くらい定期的に来院いただく方が治療後の状態の維持につながります。スプリントの状態を見るとその方のストレスの度合いもわかりますし、私としても来てくださると安心なんです。