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井上 匡弘 院長の独自取材記事

井上診療所

(八尾市/久宝寺口駅)

最終更新日:2022/06/24

井上匡弘院長 井上診療所 main

「井上診療所」は近鉄八尾駅から車で約8分の住宅街にある、内科・外科を診療するクリニック。胸部外科を専門とする井上匡弘(まさひろ)院長が2002年に開業し、「患者さんの顔と疾患と薬が一致」するような、地域のニーズに沿った医療を提供している。患者への思いやりを大切にしながら対等の立場での話し合いで治療方針を決め、井上院長自ら薬の説明も行うなど誠実に対応するのがポリシーだという。明るく親しみやすい印象の井上院長に、医師を志した理由や患者に接する際に心がけていること、自慢のスタッフについて、かかりつけ医の見つけ方など、幅広く話を聞いた。

(取材日2019年9月17日)

待合室も点滴室も広々快適に

なぜ医師の道を志したのですか。

井上匡弘院長 井上診療所1

私は子どもの頃から、かつて海軍に所属していた大叔父の血を引いたのか、「軍艦に乗りたい」という夢を持っていました。しかし、家族や高校の教師から反対されて断念せざるを得なかったんです。医師になることは考えてもいませんでしたが、たまたま医大を受験する幼なじみが「知り合いが誰もいないから一緒に受けよう」と言ってきたことをきっかけに受験し、進学することになりました。医師をめざした理由も、胸部外科を選んだ理由も「格好良いから」で、正直に言えばはっきりしたものがありませんでした。しかし例えば肺がんの手術であれば私たちが患者さんの病巣を取り除くことができなければ、その患者さんの命に関わります。医学生の頃も医師になってからも、体力的にも精神的にもさまざまな部分できつい面もありましたが、とてもやりがいを感じていました。

開業までの経緯を教えてください。

この場所は私が生まれ育った、まさに地元なんです。当時、このエリアに新たな病院ができると聞いた祖父が「二番煎じは良くないから先に開業するべきだ」と言い出したのがきっかけで、2002年に開業しました。実際に先んじて開業することはできましたが、診療内容がかぶらない病院だったので、特に関係なかったですけどね(笑)。“故郷に錦を飾る”ではありませんが、地元に戻りしっかりと腰を据えてやっていこうという気持ちで、ここまでやってきました。開業してからは地域のニーズとしてさまざまなことが求められますが、外傷まで幅広くカバーできるのは外科を専門として学んできた私の強みだと思いますし、内科的な症状で私が対応できないものは専門家をご紹介させていただいています。

待合室や点滴室など、かなり大きくスペースを取られていますね。

井上匡弘院長 井上診療所2

広いほうが他の患者さんと離れられるので気楽ですし、風邪やインフルエンザなどの感染症がうつる危険性を軽減させるためという理由もあります。足の悪い方、車いすの患者さんにも来院しやすい造りにしています。点滴室については、体調が悪い時に狭いベッドで縮こまって点滴を受けるのはよりつらいと思うので、大きなベッドを用意してゆっくりと横になれるようにしました。この辺りは交通の便があまり良くないので多めに駐車場を設けましたが、院内はなるべく広々と、ゆったりとした造りにしたいと思ったんです。また、阪神・淡路大震災を経験している世代ですので、万が一のときは泊まり込めるように、当院の2階部分は居住スペースとしても利用できます。

わかりやすい説明と、対等の立場での話し合いを重視

多い主訴は何でしょうか?

井上匡弘院長 井上診療所3

現在は、咳と不整脈の患者さんに多くご来院いただいています。私は、呼吸器や循環器を専門としておりますが、常に医療は日進月歩、進化をしていますのでセミナーや勉強会に積極的に参加し、勉強し続けています。例えば風邪薬一つをとっても、どんな治療法があるのか一つ一つ勉強していかないと、合わない薬を出しても意味がありません。地域のニーズに沿ったかたちで診療ができるよう、私なりに日々の勉強は欠かさないようにしています。

タバコなどが原因の疾患も多いのですか。

現在は、禁煙の外来は設置していないのですが、循環器系、呼吸器系の疾患に関しては、タバコを吸うことによるリスクは非常に高いですから、患者さんへの禁煙指導はさせていただいています。私も胸部外科にいた頃はタバコを吸っていて、開業してからやめたという経緯があります。自分自身、苦労してやめたので患者さんの気持ちはわかる一方、医師の言うことを聞いてやめていただきたいという思いもあります。私の感覚ではこのエリアはまだまだ禁煙が進んでいないと考えているので、今後できるだけ力を入れていきたいなと思っています。

患者さんに接する際に心がけていることはありますか。

井上匡弘院長 井上診療所4

お薬の説明などは看護師たちスタッフ任せにせず、すべて私が行うようにしています。また患者さんとは1対1でしっかり話し合い、患者さんの目線に立ってわかりやすい説明を心がけています。厳しい指摘をすることで、患者さんを傷つけるのが嫌ですから、怒らないようにと注意はしています。ところがへりくだりすぎると、今度は患者さんのほうが偉くなりすぎてしまいかねない。ですから患者さんへの思いやりを忘れず、本当の意味で患者さんと対等な立場でいられるように気をつけていますね。また、当院では、患者さんとしっかりと向き合ってお話をするために、電子カルテを導入しておりません。手間は増えますが、パソコンばかりを見ての診察ではなく患者さんをしっかりと見てお話をすることができるので私としても満足しています。

自慢のスタッフと、常に上をめざして

スタッフもベテランばかりだそうですね。

井上匡弘院長 井上診療所5

当院のスタッフの大半は10年以上、在籍しています。患者さんに対してとにかく実直であれということを伝えています。みんな患者さんに優しく親切ですし、仕事ができる自慢のスタッフですね。私としてもスタッフに対し、患者さん同様になるべく丁寧に接するように心がけています。現在は看護師3人、受付3人のローテーションで診療しており、みんな私生活でも遊びに行くほど仲が良く、アットホームな雰囲気です。

心に残る患者さんとのエピソードはありますか。

患者さんが亡くなられたと聞いたとき、本当はもっとしてあげられることがあったんじゃないか、自分が何か見逃したことがあるのではないか、など今一度振り返るようにしています。そして、その時に気づいたことがあれば、スタッフみんなと改善できるところはしていこうと話し合っています。上には上があるから、常に上を向いてないと病気は治らないと思うからです。重症患者さんも多かった胸部外科にいましたが、患者さんが亡くなることにはいまだに慣れていませんし、今後も慣れることはないですね。決して神道マニア、寺院マニアというわけではないのですが、趣味の旅行では神社や寺院を訪れることも多く、その際は必ず「患者さんの病気を倒せますように」とお祈りしているんですよ。

今後、やりたいことはありますか。また先生の考える「かかりつけ医の見つけ方」を教えてください。

井上匡弘院長 井上診療所6

この地域の患者さんのニーズが変われば当院の方針も変えていくことがあるかもしれませんが、今は現状を維持していくことが重要だと考えています。現在当院に通う患者さんの顔と病名、そしてお薬は基本的に一致させておりますので、この点について現状のままいけたらいいなと思っています。かかりつけ医の見つけ方としては、きちんとご自身で調べ、実際に受診をしてみてご自身に合う先生を探されてはいかがでしょうか。医師は神様でも何でもなく人間ですから、合う・合わないが必ずあります。その人間関係というのは目に見えないもの。「この先生であれば命を預けられる」「何があっても納得できる」と思えるような、かかりつけ医を見つけていただきたいですね。

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