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河端 哲也 院長の独自取材記事

河端循環器内科医院

(出雲市/出雲市駅)

最終更新日:2022/04/20

河端哲也院長 河端循環器内科医院 main

「高齢者をはじめとする地域住民の健康を支えたい」との思いから、出雲市塩冶町に新たに「河端循環器内科医院」が誕生する。同院では、島根県立中央病院をはじめとした病院勤務で長年の研鑽を積んできた河端院長のもと、専門である循環器内科はもちろん、かかりつけ医として一般内科領域の診療にも広く対応する。「ご高齢の方はもちろん、若い方にも気軽にご相談いただける存在になれたら」とほほ笑む河端院長がめざすのは、心血管疾患の発症予防だ。勤務医時代には心筋梗塞などの急性期患者の治療やカテーテル手術にも対応し、数多くの重症例を目にしてきたからこそ、これからは開業医の立場から「生活習慣病から始まる負の連鎖」を断ちきりたいのだという。そんな河端院長に、クリニックや診療のこと、循環器内科の疾患についてなど、詳しく聞いた。

(取材日2022年3月15日)

循環器の専門家、また地域のかかりつけ医として診療

河端循環器内科医院はどんなクリニックでしょうか?

河端哲也院長 河端循環器内科医院1

当院の前身は、義父が開業したペインクリニックです。地域医療に長年貢献してきた医院を、この度の2022年4月に継承し、内科・循環器内科・麻酔科のクリニックとして新たに移転開業することになりました。循環器内科では、心血管疾患の早期発見や治療のほか、病院退院後の病気のコントロールといったケアに対応することで、病院勤務医の目線で「ここに紹介すれば大丈夫」と思ってもらえるような「循環器疾患患者さんの地域の受け皿的な存在」をめざしています。動悸や息切れ、足のむくみなど、些細な不安の段階から、気軽にご相談いただけたらうれしいです。もちろん内科医師として、地域のかかりつけ医の役割も担っていきたいと思っているので、風邪やちょっとした体調不良なども気軽にご相談ください。なお、前院長の義父も、引き続き当院で診療にあたる予定です。

開業にあたり、こだわった点がありますか?

まず、循環器内科のクリニックとして、あらゆる心血管疾患の初期診断ができる設備をそろえました。心不全・心筋梗塞の診断マーカーを測定する血液検査や、動脈硬化の程度を調べる血圧脈波検査のほか、超音波検査機器、24時間ホルター心電図、肺機能の測定機器など、一通りの検査ができるようにしています。また、受診は気が重いものですので「少しでも居心地の良い医院にしたい」と思い、上窓から光や緑がやわらかく入るようにしたり、居心地の良い家具を選んだりなど、温かみがあってくつろげる空間をめざしました。庭の植栽は、木から生命力や四季の移り変わりを感じられるほか、当院らしく「自然の循環」を表現できたらとこだわりましたね。あと、循環器内科には高齢の患者さんが多いことから付き添いの方もいらっしゃることを想定して、乗り降りといった車の動線も工夫しました。

診療で心がけていることは何でしょうか?

河端哲也院長 河端循環器内科医院2

忙しいときでも、患者さんのお話に真摯に耳を傾けることです。医療者側にとっては良いと思える選択肢でも、患者さん側にとっては違う場合もよくありますからね。その人の病気や症状だけではなく、「どんな仕事をしているのか」「おうちはどんな家族構成で、その中でどんな役割を担っているのか」「人生の中で何を優先するのか」など、その人一人ひとりの生活状況や人生設計、価値観によって適切な治療は変わると思っています。医学的に正しいとされることが、必ずしもベストな方法ではないのです。それを知り理解するためには十分な会話が必要で、その上で「『要望』と『健康』の折り合いをつける」というのが私の昔からのスタンスです。どのような選択であれ、最終的に患者さんご本人が納得できるか否かが最も重要だと思います。

心臓の重大な病気の予防と、生活習慣病治療はイコール

循環器内科とはどのような科なのでしょうか?

河端哲也院長 河端循環器内科医院3

心臓や血管に関わる疾患のほか、その危険因子となる高血圧や糖尿病、脂質異常症を含めた生活習慣病を治療する科です。心血管疾患には狭心症や心筋梗塞、不整脈などがあり、これらの病気が心臓のポンプ機能を低下させ、全身に十分な血液を送れなくなる「心不全」という病態を引き起こします。そのため心不全に陥らないよう、心臓に関わるあらゆる病気に注意する必要があるのですが、生活習慣病はそうした心血管疾患のリスクとなるのです。当院ではリスク段階での発見と早期の予防・治療開始に努め、全身のコントロールに専門的に取り組みます。また、心血管疾患の兆候や初期症状というと難しく聞こえますが、例えば、動悸や息切れ、長引く足のむくみといった症状をお持ちの方は一度ご相談に来てみてほしいですね。

生活習慣病と心血管疾患の関係について教えてください。

まず、高血圧や糖尿病、脂質異常症を放置すると、血管が硬く厚い状態になる「動脈硬化」を引き起こします。進行すると血管が細くなり、場合によっては閉塞することで、血液が心臓に届きにくくなり、狭心症や心筋梗塞などを発症します。そして、そうした状態が心臓に負担をかけることで、心機能が低下して「心不全」へと発展してしまいます。さらにいうと、心不全が原因で不整脈になるケースもあり、すべての病気はつながっています。心臓や血管に負担をかける要因を排除し、根本的な改善をめざすには、一連のメカニズムの始まりである生活習慣病の治療が必須です。動脈硬化の進行状況や血管の傷み具合、心臓への負担の程度は、画像診断や足の血圧測定で確認できます。当院では症状に応じ、詳細な検査による数値・データや、病院勤務医時代の経験を生かしながら、科学的根拠に基づいた治療を実施していきます。

生活習慣病は軽視されがちですが、実は恐ろしい病気なのですね。

河端哲也院長 河端循環器内科医院4

そうなんです。しかし実際は、健康診断で前回より血圧が高くなっていても深刻に捉えない方が多いですね。数値が高いとなぜ危険なのか、具体的な説明ができれば認識も変わると思います。健診結果をどう受け止めればよいかわからない方はご相談いただければと思います。また、指摘を受けても受診をせずに、食事制限や生活習慣の改善などから自力で頑張る方もいらっしゃいます。「生活習慣病」という名前から「自分の生活態度や怠けが原因だ」と思ってしまう方もいますが、その人個人のせいではなく、遺伝や体質などによって症状の発症や進行は人それぞれであることを知ってほしいです。長く健康に暮らすためにも、治療を受けることをネガティブなことと思わず、気を楽にして専門家に頼ってください。

早期の診断・治療で心血管疾患の患者を減らしたい

河端院長はなぜ医師を志したのですか?

河端哲也院長 河端循環器内科医院5

医師を志した背景には、同じく医師である父の存在があります。幼少期から父の職場に顔を出し、患者さんに優しく接する姿を見て、自分も父のようになりたいと思ったんです。循環器内科を選んだのは、高齢化に伴い心疾患や高血圧の人は増えると予測し、そこに対応できる科目を学べば、お役に立てることが増えるのではと思ったからですね。大学を卒業した後は、医局を含めて県内外の複数の医療機関に勤務し、その中でさまざまな経験をさせてもらいました。

勤務医時代の経験が今にどう生かされていると思われていますか?

そうですね。過疎部の小さな病院で勤めた際には、医師が私を含めて十数名しかおらず、「診療科を越えて何でも対応しなくてはいけない」という大変さはあったものの、脳梗塞や肺炎をはじめ全身の病気を治療する機会を得られましたね。療養型の病院では寝たきりの方のケアや全身管理の経験を経て、治療の早期介入の重要性や、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の維持・向上の大切さを改めて知ることができました。そして、最後に勤務した島根県立中央病院では、循環器内科でカテーテル治療などの技術を磨くことができましたし、急性期から回復期までのさまざまな患者さんの治療や診療にあたった経験を通して、悪化した場合のリスクを考慮しながら、医療とQOLの両方の軸から適切な診療を行うことができるようになったと感じています。

今後の展望をお願いします。

河端哲也院長 河端循環器内科医院6

心血管疾患は早期の診断・治療によって予後が変わります。しかし、心筋梗塞といった重篤な病気は自覚症状なく突然起こる上に、重大な後遺症を残したり、命を奪うこともあります。だからこそ「そもそも起こさない」ことが重要なのです。循環器の第一線で長年研鑽してきた医師として、今後は心血管疾患で苦しむ人が減るように、この地で新たな役割を果たしたいと考えています。まずは、地域の皆さんに当クリニックの存在や専門性を認めてもらえるようになることが目標ですね。

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