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和田 誠 院長の独自取材記事

わだ整形外科クリニック

(枚方市/長尾駅)

最終更新日:2023/02/10

和田誠院長 わだ整形外科クリニック main

JR学研都市線、長尾駅から山田池方面に向かう幹線道路沿いにあるのが「わだ整形外科クリニック」。緩やかなカーブを描く屋根とグリーンの看板が目印だ。和田誠院長は、勤務医として数多くの手術を行ってきた経験から、リハビリテーションの効果と理学療法士の役割に注目し、先進的な整形外科診療に取り組んでいる。特に、青少年や中高年でのスポーツ障害では、客観的な診断とともに選手の気持ちをくんだ治療に努めている。自身もスポーツが好きだという和田院長は、「痛みの原因を突き止めて、再発しないようにコンディションを整えていくことが、運動器の治療です」と笑顔で語る。このような思いに至った経緯や現在の診療内容を詳しく語ってもらった。

(取材日2018年4月16日)

理学療法士とのチームによるリハビリが特徴

ご開業から14年、地域の整形外科として親しまれていますね。

和田誠院長 わだ整形外科クリニック1

午前中は膝や腰に痛みのある主婦やご高齢の方、夕方は学校帰りの学生や仕事帰りのサラリーマンなど、幅広い年代の方が来てくださいます。私は、高校時代に治療を受けた消化器内科の医師に影響を受け「地域のかかりつけ医になりたい」という思いで医師をめざしました。手術もしたかったので整形外科を選び、大学を卒業後は関連病院で整形外科の手術や救急医療に関わりました。整形外科で必要な手術は習得しましたし、救急医療ならではの緊張感や充実感にはやりがいもありましたが、勤務医は転勤が多く、せっかく信頼関係ができた患者さんとすぐに離れることになる。それが残念でもあり、当初からの夢を実現しようと、この長尾で2004年に開業しました。枚方は学生スポーツが盛んな地域で、スポーツ整形に力を入れる当クリニックを探して受診される方もいて、うれしいことですね。

リハビリやスポーツ整形が特徴だそうですね、診療方針を教えてください。

痛みや不具合の原因を正しく診断し、適切な治療をするとともに、再発しないようにコンディションを整えていくことを重視しています。特に痛みについては、薬での治療を優先するのではなく、痛みが起きている原因を明らかにして、できるだけリハビリでその原因を改善したいと考えています。薬を使うことで痛みが一時的に治まったとしても、効果が切れればまた痛くなる。整形外科疾患での痛みや動きの異常は、骨や筋肉、関節のメカニズム異常から起こっているので、それら運動器のメカニズム異常を根本から治さなければ、いったん症状が治まっても再発してしまうのです。このため、症状の原因となる不良動作という患者さんの動きの癖や姿勢を突き止め、リハビリ時には装具なども使いながら、少しずつ改めていきます。

診療の流れを教えてください。

和田誠院長 わだ整形外科クリニック2

当クリニックでは、医師が行う症状の評価および診断と、理学療法士による評価およびリハビリなどのアプローチ、この2つを組み合わせています。医師はまず、骨や筋肉などに異常がないか、エックス線や超音波装置を使って検査します。また、診察では問診とともにさまざまな動きをテストして、痛みの原因を突き止め、診断をつけます。次に理学療法士は、患者さんの日常での動きや姿勢を丁寧に見せていただき、痛みを引き起こす原因になった動きや姿勢を探します。例えば、階段を上がる一瞬だけ痛いとか、歩き方の癖などは、医師の短い診察時間では見極めるのが難しいので理学療法士が担当します。原因がわかれば、それを改善するリハビリの内容や装具などを理学療法士が考え、リハビリを進めます。もちろんリハビリ内容や効果は医師にフィードバックされ、治療内容の改善につなげます。

リハビリでこそケアできる痛みや不調がある

診療では理学療法士の担う役割が大きいのですね。

和田誠院長 わだ整形外科クリニック3

「医師が決めたリハビリを実施するのが理学療法士」という医療機関もありますが、私は、医師がつけた診断・評価に対してどのようにアプローチすればよいか考え、実践する職種が理学療法士であると考えています。なぜなら、同じ診断名であっても、患者さんの体や生活はそれぞれ違うので、治療やリハビリの内容も異なります。医師だけが評価や診断をしていたら、治療できる患者さんの数は限られますが、理学療法士が今述べたような役割を担えれば、多くの患者さんを、丁寧に効果的に治療ができると考えています。その代わり、当クリニックでは月に何度も外部から講師を招いて理学療法士の勉強会を開き、多くの知識や経験を学んでもらいます。さらに、医師と理学療法士が参加する研究会を開くなど、職種にとらわれないフラットな人間関係でチームを組み、診療に臨んでほしいと考えています。

なぜ、チーム医療やリハビリを大事にしているのでしょうか。

勤務医時代には時間に追われ、画像診断で骨の変形があった患者さんでは、すぐ手術を決めることも多かった、しかし手術しても痛みが取れない例もありました。つまり、その方の痛みの原因は骨ではなかったのでしょう。そして開業後、本格的にリハビリを始めてからは、「リハビリで筋肉や靭帯をケアできれば、骨は変形したままでも痛みの改善につなげられる」ということを学び、実感してきました。手術をしなくても、患者さんの毎日を快適にすることはできるはずなのです。だからこそ今はリハビリや理学療法の重要性を訴えています。「手術が嫌いだから、手術せずに何とか改善してほしい」というご相談も増えているので、応えていきたいですね。

診療方針を患者さんに伝える際に、心がけていることはありますか。

和田誠院長 わだ整形外科クリニック4

何よりも、今のようなお話を丁寧にすること。また、リハビリを進めるうちに体や痛みの変化を実感できれば、患者さんは納得されます。最近では、整形外科用の超音波機器を活用して、症状を客観的にお伝えすることも心がけています。超音波では、筋肉や軟骨、靱帯などエックス線では見えにくい組織も目視できます。周囲にはスポーツの部活動に力を入れる学校が多く、高校生のスポーツ障害、中でも肉離れが多い。肉離れは自然に治りますが、断裂部位の筋肉や構造によっては治りにくかったり再発しやすいことが、超音波の画像でわかってきました。学生たちは早く競技復帰したいのですが、患部の画像を見せながら、復帰してもよい状態か、あるいはきちんと治しきって再発を防いだほうがよいのか、客観的に伝えるようにしています。

地域の住民に、体を動かすメリットを伝えたい

最近では、スポーツを楽しむ中高年層も増えていますね。

和田誠院長 わだ整形外科クリニック5

高齢社会、あるいは東京オリンピックを背景に、スポーツによる健康づくりが見直されています。われわれも、患者さんにはスポーツをお勧めしますが、ウォーミングアップやクールダウンなどの重要性もお伝えしています。またご高齢の方では、スポーツで痛みがあっても、運動を続けるメリットのほうが大きいので、競技を続けながら痛みを改善するような方針をとっています。

不調を訴える患者さんとの会話で、心がけていることはありますか。

特にご高齢の方にとって、痛みはつらいもので、時には生きる意欲さえ損なうこともあります。健康寿命の大事さを改めて感じるところですね。痛みや不自由を訴える患者さんには、少しでも前向きな気持ちになってもらえるようにお話をしていますし、特に、社会やご家庭での患者さんの存在意義をお伝えしたいと心がけています。また、痛みがあってもポジティブに生きている患者さんには、心の持ちようをお聞きしていますが、「人のために」、「周囲の人を楽しませたい」といった気持ちの方が多いと感じています。

先生ご自身のリフレッシュ法を教えてください。

ゴルフやランニングで、体を動かすことでしょうか。来週も、地元のマラソン大会にスタッフとエントリーしています。また、大阪マラソンにはゴール地点にある救護所のドクターとして毎年参加しています。やはりスポーツが好き、現場が好きなので、スタートやゴールの熱気を感じて、ワクワクする気持ちを楽しんでいます。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

和田誠院長 わだ整形外科クリニック6

開業から今まで、理学療法士とのチーム医療や超音波による診療を積み重ねてきました。最近では、その成果を論文などで情報発信できる機会が増えて、やりがいを感じていますし、他の先生方のお役に立てればうれしいですね。また、かかりつけの整形外科としては、地域の介護関連の職種の方に向けて簡単にできるリハビリや体操を紹介するなど、地域住民の運動器の健康維持のために貢献できることがないか、考えていきたいと思っています。

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