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丸山 正則 院長の独自取材記事

鈴木内科医院

(新潟市秋葉区/矢代田駅)

最終更新日:2023/09/04

丸山正則院長 鈴木内科医院 main

新潟市秋葉区にある「医療法人社団 薫桜会 鈴木内科医院」は、2000年に開業した内科、小児科を標榜するクリニック。2022年11月より、丸山正則院長が鈴木東前院長に代わって院長を務めることになった。丸山院長は、60年近くにわたり基幹病院にて麻酔科や救命救急センターなどで研鑽を積んできた大ベテラン。上越の救急医療体制の構築などにも尽力した存在でもある。現在も現役医師として、患者に寄り添うことに重きを置いた診療を行っている。「日々患者さんと接することができるクリニックでの診療が楽しくて」と話す丸山院長は、勤務医時代とは違った医師としての面白みを再発見しているのだそう。クリニックの概要や丸山院長の人となりについて詳しく聞いた。

(取材日2023年5月12日)

60年近くの勤務医時代を経て地域医療へ

クリニックの診療内容について教えてください。

丸山正則院長 鈴木内科医院1

診療科目は内科と小児科です。私が火曜日と金曜日を担当していて、鈴木先生が月曜日と木曜日を担当。水曜日と土曜日は午前のみ、本間和代先生が担当しています。内科全般を診るので、発熱、おなかが痛い、喉が痛いなど、さまざまな症状に対応します。現在の患者さんの大部分は定期的に来られる方で、高血圧や脂質異常症など生活習慣病のお薬をもらいに来られる方が多いですね。やはり近隣から来られる方を中心に、広くお越しいただいています。

丸山院長は60年近く病院に勤められていたそうですね。

はい。これまで新潟市民病院、新潟県立中央病院、上越総合病院などの基幹病院に勤め、上越総合病院を引退したのは2022年3月です。同年11月から鈴木前院長に代わって当院の院長に就任しました。私はもともと麻酔科を専門としていましたが、重症患者管理にも興味があり、病院では救命救急センター長を務めていたこともありました。優秀な後継者が現れたこともあり、良いタイミングと思い退職を決意しました。でも、病院を退職した後も医師そのものを辞めようという気持ちにはまったくならず、2022年12月まで週に1度は麻酔科の医師として病院を手伝っていました。ただ、遠いのと、クリニックでの診療が面白くなってきたので、今はこちらに専念しています。

もともと麻酔科が専門なんですね。

丸山正則院長 鈴木内科医院2

私の医師としての人生は麻酔科で始まり、36歳の時には新潟市民病院で麻酔科部長も務めました。当時は麻酔科の創生期で、私が新潟大学麻酔学教室からの第一号の麻酔科への赴任でした。それ以前は一般の医師が麻酔も担当していたんですよ。しばらく麻酔科の医師として手術時の麻酔やがん末期患者の疼痛コントロールなどに従事していましたが、しばらくして救命救急センターの立ち上げに関わることになり、その後少しずつ救急科の比重が多くなっていきました。新潟市民病院だけでなく、新潟県立中央病院でも救命救急センターの立ち上げに関わりました。現在は、当院と並行して、麻酔科の経験を生かして毎週水曜日に古町のクリニックにてペインクリニックの診療を行っています。

患者の訴えを素直に聞く

こちらでもペインクリニックの診療も行っているそうですね。ペインクリニック診療について教えてください。

丸山正則院長 鈴木内科医院3

本来の病気の治療は、不調の原因を見つけて診断し、原因の除去をしていくものです。一方で、調べても原因がわからなかったり、原因がわかっているけど治療をすることが難しかったりと、原因除去には結びつかなかったりすることもあります。そのような場合には、原因を治療するよりも痛みそのものを取り除くことが必要となり、ペインクリニックではそういったケースに対応します。わかりやすい例がぎっくり腰ですね。注射によって局所的に麻酔薬等を注入する神経ブロックを行うことで痛みに対処していきます。他にも五十肩や膝が痛い方などにもこのような方法を用いることもあります。

神経ブロックとは、どのようなものなのでしょうか。

神経ブロックで注入する麻酔は1時間~3時間程度の作用が見込まれますが、痛みを感じなくなる時間はそれよりもずっと長くなることが期待できるとされています。その理由はいろいろとあり、1つは痛みの悪循環を断つのに役立つためと考えられています。痛みの悪循環とは、痛みがあると交感神経が緊張して血管が収縮します。すると血流が悪くなったり発痛物質が分泌されたりすることで、痛みが増強してしまうというものです。そのため神経ブロックで、交感神経の遮断、血管収縮による血流の悪さや発痛物質の分泌の抑制につなげ、痛みの悪循環を遮断することをめざしていこう、というのが神経ブロックの考え方です。

患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

丸山正則院長 鈴木内科医院4

いわゆる「正常化バイアス」を持たないことです。例えば、患者さんが「痛い痛い」と主張しているときに「本当にそんなに痛いの?」とつい疑ってしまうことがあるかもしれない。これは人間のさがなのかもしれません。しかし私は、痛みに限らず、患者さんの訴えはまず素直に聞くことを心がけています。最終的に、その痛みに精神的な関与があったとわかることもありますが、初めからそう決めつけないことが大切だと思っています。

終末期に受けたい医療の意思表示の仕組みづくりが必要

2023年で御年80歳だとか。医師を続ける原動力は何でしょうか?

丸山正則院長 鈴木内科医院5

大それた思いがあるわけではありませんよ。ただ毎日患者さんが来てくれるので、一人ひとりに対応することを自分の勤めとしてやってきたら、60年近くになっていただけです。でも、医師を長年やっていると、ふとしたときにやっててよかったなと思うことはたくさんあります。わかりやすいのは患者さんに感謝されたときですが、麻酔科の医師は手術の執刀医から感謝されることも多くあるんですよ。救急科に所属してからは、患者さんに後からお礼の言葉をいただくこともありました。毎日のように直接患者さんと接するようになったのは、クリニックの医師となってからです。実は、病院の麻酔科を引退したら、きっと医師としての張り合いがなくなると思っていたのですが、いざクリニックでの診療を始めてみると、毎日患者さんと接点があるのが楽しくて。もしかしたらこれが医師の原点ではないかと80歳で再確認しました。

消防局と協力して仕組みづくりを行ったことがあるそうですね。

新潟県立中央病院で救命救急センターの立ち上げを行っていた頃のことです。準備期間が2年ほどあり、救急医療は病院だけで行えるものではありませんので、その期間に消防組織と一緒に救急患者を症状に合わせてスムーズに病院に運ぶための優先順位づくりを行ったんです。以前、救急患者のたらいまわしが問題となったことがありましたね。その数年前に、上越地域では仕組みづくりをしていたのです。

高齢化が進んでいく中で、今後の高齢者医療について思うことはありますか?

丸山正則院長 鈴木内科医院6

長年救急に携わる中で、肺炎を起こしたり、食べるものがうまく食べられなかったりといった高齢の患者さんが多く搬送されていると感じていました。もちろん肺炎だったら肺炎の治療はしますが、例えば口から食べられなくなった患者さんの場合に、管や点滴を使った、いわゆる延命治療をするのかについて何も決まっていないというケースがとても多いですね。患者さんが望んでいた医療が行われるのが本来のあるべき姿ですが、それがわからないんです。かと言って意思表示をする方法もない。ですので本人の意識がはっきりしているうちに意思表示できる方法、つまり「アドバンスディレクティブ」が普及されれば、高齢者医療がもっとスムーズにいくのではないかと思います。例えば後期高齢者の保険証の裏に意思表示の欄を作るとか、特定健診の際に意志表示ができるようにするとか、方法はあると思います。意思表示の方法が明確になり、普及することを願っています。

最後に、メッセージをお願いします。

医師の中で有名な言葉として「医師はときに病気を治す、しばしば和らげる、つねに慰める」という格言がありますが、これが医師のあるべき姿だと思います。私はこの中で「しばしば和らげる」ことを専門的にめざしてきました。今後は「つねに慰める」も意識しながら、できれば病気の治療につながるようなお手伝いができるように寄り添っていきたいと思っています。患者さんには少しでも調子が悪いことがあれば、気軽に来てほしいと思います。

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