歯の汚れから徐々に進行する歯周病
早期での治療と正しい歯磨きを
中井歯科医院
(八尾市/久宝寺口駅)
最終更新日:2021/10/12
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虫歯とともに、歯を失う大きな要因にもなる歯周病。しかし、ゆっくりと進行し、痛みのような強い自覚症状もかなり進行してから起こることが多い。このため、歯周病になったことに気づかなかったり、軽い症状を放置している人も多いそうだ。八尾市にある「中井歯科医院」の市川朋生副院長は、大学病院で重度の歯周病治療にも携わってきた日本歯周病学会の歯周病専門医。歯の周りに汚れがついていると少しずつ悪化してしまう歯周病だけに、「毎日正しい方法で歯を磨いてお口の中をきれいにすることが、歯周病の最大の治療とも考えられますし、予防になります」と訴える。そこで市川先生に、知っているようで実は知らないことも多い歯周病の症状や治療、また同院で行う治療の流れについて、詳しく解説してもらった。
(取材日2020年10月17日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q歯周病の原因や症状について、詳しく教えてください。
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A
歯周病は口の中にいる歯周病原性の細菌によって起こる感染症です。歯を上手に磨けていないと、歯の周りにプラークと呼ばれる細菌の塊が付着し、炎症を引き起こします。そして、歯周病の主な症状は大きく2つ。1つは歯茎の腫れです。歯茎が腫れると歯ブラシが触れて出血したり、痛みを感じたりします。ですが虫歯のような激しい痛みではないので、かなり進行するまで腫れに気づかないこともあります。それからもう1つの症状は、歯茎の中で歯を支えている歯槽骨が溶けてしまうことです。歯槽骨が十分にあると歯が安定してしっかり噛めますが、歯槽骨が減ると歯があっても支えが弱くなり、進行すると歯がぐらついたり、抜けてしまったりします。
- Q歯周病を放置していると、どのような問題があるのでしょうか。
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A
特に問題になるのが、歯槽骨が溶けてしまう症状です。歯周病で溶けた歯槽骨は、基本的には元には戻せません。最近では歯周組織再生療法という骨を増やす治療もありますが、実施できるのは限られたケースです。だからこそ歯周病で歯槽骨を減らさないように、日頃のケアや定期的な検査、早期からの治療が欠かせません。それから近年では、歯周病と全身の健康との関係も注目されています。例えば糖尿病。歯周病になり歯茎の広い範囲で炎症が起きると、HbA1cが下がりにくく、歯周病の炎症が改善するとこれらの値が下がることがあります。また、糖尿病で体の免疫力が低下していると、歯周病が治りにくいこともあるのです。
- Qこちらで歯周病治療を受けるメリットについて、ご紹介ください。
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A
当院では院長と私、非常勤の先生の3人で診療をしていて、一般的な虫歯治療は皆が対応しています。口腔外科的な治療や歯列矯正は院長が、歯周病の治療を特に望まれる方は私が担当することが多いです。当院では、歯茎を切開して汚れを取るような専門的な処置も行っています。日本歯周病学会のホームページから当院を探して受診される患者さんもおられますね。3人の医師が在籍している当院はさまざまな治療に対応していますので、症状や治療によってクリニックを変えなくてもいいことが当院で治療を受けるメリットだと思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1予約を取る
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歯がぐらつく、歯磨きで出血する、口臭が気になる、などの症状から受診を考える人が多いそう。強い痛みなどの急性の症状がある場合には、急患として受診することも可能。ただ、歯周病はゆっくりと進む病気なので、きちんと診察を受けて治療方針を決めていくためには、少し先であっても時間がしっかりと取れるタイミングで予約をとって受診するのがベター。
- 2問診表に記入し、診察室で問診を受ける
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待合室で問診表に記入する。問診では、現在治療している病気や、過去に他の歯科医院で受けた定期検診やケアの期間や内容なども聞かれるそうだ。また、他の病気の治療薬が歯周病の治療に影響することがある。高血圧のCa拮抗薬、骨粗しょう症のビスホスホネート製剤、ワルファリンカリウムなどの抗凝固薬を服用している場合には、必ず伝えておこう。お薬手帳を持っている場合には持参しよう。
- 3検査と診断
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最初に歯周ポケットの測定を行い、歯茎の腫れの状態や歯茎からの出血の有無、歯が動いているかどうか、歯槽骨がどの程度溶けているかなどを調べる。次にエックス線を撮影し、歯槽骨の量や状態を確認する。後に、必要があればCT撮影を行い歯槽骨の状態を詳しく調べることもある。検査後に現在の口の中の状態や歯周病の進行程度、今後の治療内容についての説明を受ける。歯周病の程度が確認できれば治療へ。
- 4治療
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まず、人それぞれ歯磨きの癖があるので、歯科衛生士から適切な歯磨きの方法を教えてもらう。それに加えて機械を使って歯の汚れを取っていく。症状が軽度であれば数回の通院で状態の改善が見込めることもあるという。中等度以上の場合は、麻酔をして歯茎の奥のほうの汚れを取っていったり、歯茎を切開して歯槽骨の形を調整することもあるそう。一通り治療が終わったら、口の中の状態やこれからのメンテナンスについて説明を受ける。
- 5メンテナンスのための定期的な通院
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歯周病の再発防止や予防には、定期的な歯科医院でのメンテナンスと、毎日の正しいセルフケアが欠かせない。そこで、歯周病の程度や全身状態などとの兼ね合いを踏まえ定期的なメンテナンスが提案される。メンテナンスには、3ヵ月ごとに通院する場合が多いそうだ。歯周病と虫歯のチェックを行い、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアを受け、ブラッシングの状態もチェックしてもらう。1回につき45分程度で終了する。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正(部分矯正)/5万円~
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。