光山 素夫 院長の独自取材記事
光山歯科医院
(広島市中区/舟入幸町駅)
最終更新日:2023/02/14
舟入幸町駅から徒歩3分。近くには国道もある住宅街。道の角に添うような形で建っている白い建物が「光山歯科医院」だ。開業は1977年頃。光山素夫院長が生まれる3~4年前に、今の場所に移転した。2012年にリフォームされた同院の内装は木目調で、優しい雰囲気が印象的だ。親しみやすく気軽に足を運びやすいデザインは院長のこだわりでもある。治療も料金も、患者が納得する最適なプランを提案することを大事にしていると話す院長。終始丁寧にインタビューに答えてくれた院長の姿からは、落ち着きを感じつつも朗らかな人柄であることが垣間見えた。院長の趣味はランニングと料理だという。話すことが好きで、周囲を明るくさせてくれる院長に話を聞いた。
(取材日2021年10月27日)
幼少期から生活の一部だったからこそ見えてくるもの
まずは歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。
家庭の環境が大きいと思います。父は現在院長で、この病院を開業した人物でもあります。私が生まれる数年前から歯科医院を開業し、私が物心つく頃には現在の場所に移転していました。いまだに忘れられないのが、自宅のポストです。小学生の私は、帰宅するとまずポストを覗いていました。そこにはほぼ毎日といっていいほど銀歯が置かれているんです。歯科技工士さんたちが作った歯ですね。父は忙しい人物でしたから、歯科技工士さんたちはみんなポストに歯を置いていくんですよ。それを私が取って父に渡す。そんな日々でした。父の仕事を身近に感じられる環境でしたので自然と、自分も将来は歯科医師になるんだろうなと思っていました。
大学は県外に出られたと聞きました。
はい。小学校から高校までは近所の公立学校に行きましたが、大学は長野を選びました。初めての県外は楽しかったですね。地元とは食べ物も雰囲気も違っていて新鮮でした。同時に故郷の良さを再確認することもできました。広島にいた頃はあまり野球に興味がなかったのですが、長野に移ってから地元の球団が勝ったニュースを聞くと、やはりうれしく感じましたね。私にとって県外の大学に進学したことはいい経験でした。卒業後は臨床研修の義務化がスタートした時期でしたので、2006年から1年間、大学に残りました。翌年広島に戻って、広島県内で勤務医として4年間勤めました。
勤務医時代、印象に残っていることはありますか?
クリニックごとに色が違うことですね。院長の方針であったり、内装であったり、違いはさまざまです。個人の感想ですが、あるクリニックは高級感のある内装だったり、一方で別のところではすごくシンプルな内装だったり。当院は2012年に建物をリフォームしたのですが、リフォーム業者からは、洗練されたかっこいいデザインの内装を勧められました。確かに魅力的だったのですが緊張される患者さんもおられるかなと思って。親しみやすく、気軽に足を運んでもらえるようなデザインを意識しました。私の好みでもありましたしね。結果、現在の木目調の内装ができあがりました。
患者を第一に考えるからこその葛藤
患者さんは地域の方が多いのでしょうか?
そうですね。患者さんは地域の方が多い印象です。クチコミを見聞きして、遠くから来られる方もいらっしゃいますよ。昔、父が診察していた患者さんの中には、県外に引っ越しても、わざわざ足を運んでくださる方もいらっしゃいます。よく考えるのが、遠くから来てくださる患者さんへの治療方針です。1回の治療時間を短くして何度も来院してもらったほうがいいのか、1回の治療時間を長くして来院回数を減らしたほうがいいのか。長時間、口を開けているのってつらいですよね。いつも悩むので、患者さんと相談して決めています。
患者さんとよく相談し、歯科医師側が一方的に決定しないということですね。
大切なことだと思います。いくら良い治療法でも、患者さんにも何らかの理由で治療を受けられないなどの事情がありますから。歯科医師が適した治療法だと思っても、患者さんの状況によってはそうではないこともあると思うんです。特に金銭面はトラブルのもとになりやすいのではないでしょうか。こちら側が良かれと思って施した治療が、逆に患者さんの負担になってしまい、結果的にトラブルに発展するのは、私にとっては良い治療とはいえない気がします。患者さんに選択肢を提示して、患者さんに納得してもらえるような治療を提供していきたいです。
患者さん自身が選択するというのは難しいようにも思えますが、どう対応されていますか?
現状で考えられる治療法をお話しして、それぞれの治療期間、費用、削る範囲等のダメージ、最終的な形態等を提示するよう意識しています。もちろんプロとして「自分が患者ならこうする」というのはお話ししますが、患者さん毎に優先順位の違いがあろうかと思いますので、柔軟に考えてもらえたらと思います。私自身が期限を決められると焦ってしまう性格ですから、患者さんも期限をそれほど意識せずにもらえたらと思いますね。
患者が納得する治療を提案したい
料金についても患者さんと話し合うことはありますか?
もちろんです。治療に不安や緊張がある中で、そこに「いくらかかるんだろう」という新たな心配を抱かせたくありませんので、料金についてもよく相談するようにしています。歯科医師にとっては治療して終わりかもしれませんが、患者さんはそこから支払いがありますからね。患者さんによっては、必要に応じて見積もりを出すこともあります。プランに納得していただけなければまた別のプランや治療法を提案したり、その患者さんにとっての落とし所を話し合ったりもします。患者さんとのコミュニケーションは重要ですよ。
すべて含めてベストと思えるプランを提供したい、ということですね。
急に治療するようなことはしませんし、患者さんが納得する治療を、というのが私の大事にしている部分です。例えばインプラントと入れ歯の選択肢があった際、それぞれのメリットとデメリットを患者さんに説明します。治療する上でのメリットとデメリット、そして金銭的なメリットとデメリットの両方ですね。ただ、状況によっては決定したプランから外れてしまう場合もあります。患部の状態であったり、患者さんの環境が変わったり、決して珍しいことではなく、よくあることです。プランが崩れてしまうかもしれないと感じたときも、必ず患者さんに相談するようにしています。こちらで勝手にプランを変えて治療を進めることはしません。
患者にとっては助かりますが、困難も多いように思えます。
実際、難しいと感じるときもありますね。インプラントと入れ歯の例をあげますと、患者さんに選択肢を提示する際、インプラントの単語を聞くなり眉間にしわを寄せる方もいらっしゃいます。インプラントは高額というイメージがありますからね。私がインプラントの選択肢を提示したことで、そっちに誘導されていると感じることもあるようです。インプラントも入れ歯も、その患者さんに適していると思っての選択肢ですので、もちろん、私は全然そんなこと思っていないのですが……。情報を隠すことはしたくないんです。患者さんが不機嫌になることを恐れて、本来は提案されるべきプランを提案しないことは、私はアンフェアに思います。患者さんにとって有効な選択肢があるならば、それをすべて提示したい。そこから患者さんが選び、歯科医師と話し合ってプランを決めていくことが、私の理想とする治療プランです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/19万8000円、入れ歯/8万円