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安田 卓史 院長の独自取材記事

安田歯科医院

(蕨市/蕨駅)

最終更新日:2022/12/01

安田卓史院長 安田歯科医院 main

蕨駅から8分ほど歩いた閑静な住宅街の一角にあるのが「安田歯科医院」だ。1948年の開業以来、3代にわたり地域住民の口腔内の健康を支え続けてきた。建物は建て替えやリニューアルによって快適な環境へと姿を変えたが、趣ある柱時計や、レトロ感あふれる待合室の長椅子と診察室のキャビネットが、懐かしくも和やかな空間をつくっている。3代目院長を務めるのは、安田卓史院長。口内炎や白板症などに代表される口腔粘膜疾患の診断・治療に長年携わっており、現在も東京医科大学病院歯科口腔外科で粘膜疾患を専門に診る外来を担当。また母校である日本歯科大学では講義を行っており、若手の育成にも尽力している。そんな安田院長に、口腔粘膜疾患に関することや治療に対する想いなど話を聞いた。

(取材日2022年9月1日)

地域住民の口腔内の健康を守り続けて70年

3代にわたり地域医療に貢献されていますね。

安田卓史院長 安田歯科医院1

当院は1948年に私の祖母が開業しました。当時は女性の歯科医師はとても珍しかったようですよ。2代目院長は私の父です。私が子どもの頃は、自宅と歯科医院が扉一つでつながっているような構造で、幼稚園や学校から帰るとスタッフさんに遊んでもらっていた記憶があります。そんな環境で育ちましたので、なんとなくいつかは私が後を継ごうと自然に思っていましたね。親子で何世代にもわたって受診してくださっているご家族も多く、私も自分が卒業した小学校の学校歯科医をさせていただいています。

朝の7時30分から診療を始めているそうですね。

仕事や学校の前に来院できるよう、朝早くから診療しています。働いていらっしゃる方に関しては、テレワークの導入により時間の融通が利くようになったのか、午前中にいらっしゃる方もいて、受診時間が少しばらけてきたように思います。当院は口腔外科を専門としているので、抜歯などの外科処置に関しては、よほど難しい症例でない限りは当院で施術できます。良性腫瘍の診断・切除術も行っており、切除後は検体を病理検査に出すことも徹底しています。万が一、難しい症例や高度な設備が必要な場合は大学病院を紹介し、私が自ら執刀することもあるんですよ。

最近増えてきた疾患や患者さんのニーズについて教えてください。

安田卓史院長 安田歯科医院2

自由診療で作る義歯やかぶせ物を希望される方が増えています。新型コロナウイルス感染症の流行における口腔ケアの重要性の認識向上や、自分の身体機能に対する投資の感覚、「マスク生活の間に治そう」などの意識変化でしょうか。衛生的で生体にとって親和性の高い材料を使いたい、といった患者さんのニーズを満たせるのが自由診療の義歯の良さですね。それらを一つ一つ、誠心誠意しっかりと作らせていただいており、とてもやりがいを感じています。それから歯の噛み締めによって舌の前方や側方に痛みを感じる患者さんが非常に多くなっています。噛み締めの原因の一つには長引く新型コロナウイルス感染症の流行によるストレスもあると思われます。肩の力を抜いて、なるべくリラックスして過ごしていただきたいですね。

適切な診断が求められる口腔粘膜疾患の治療

現在も大学病院で外来を担当されている口腔粘膜疾患について教えてください。

安田卓史院長 安田歯科医院3

大学では患者さんの全身管理や外科系の知識と技術を高めたかったので口腔外科へと進み、さらに口腔粘膜疾患に興味を持ち専門的に勉強しました。現在も大学病院で口腔粘膜疾患を専門に診る外来を担当しています。口腔粘膜疾患というと難しく感じますが、口内炎からがんの一歩手前まで、お口の中の粘膜に現れるあらゆる症状のことをいいます。平たくいうと、お口の皮膚科バージョンといったところでしょうか。実はこの分野の疾患は、患者さんにとって結構つらくお悩みの深い分野です。しかし専門的に診療をする歯科医師は多くはなく、何十年もお悩みの末にいらっしゃる患者さんも少なくありません。

口腔粘膜疾患の診療はどのように行うのですか?

まずは視診をして、病歴聴取を行います。必要に応じて組織採取をして検体を病理検査に出し、経過観察か切除かの判断になります。治療の基本は、お口の中を清潔に保つことです。口内炎ならステロイド軟こうといった短絡的な処置の結果、治るどころか逆効果になることもあるため、診断・治療に際してはできるだけ専門的な知識を持つ歯科医師の判断が重要になります。よく歯磨きの代わりに洗口剤を多用して悪化させてしまう方がいらっしゃいます。基本は起床後、3食後、就寝前の計5回歯磨きをすること。口腔粘膜疾患の一つである口腔カンジダ症は、義歯のプラスチック部分にカンジダ菌が入り込み発症することが多いのですが、金属床の義歯であれば、カンジダ菌が侵入可能なアクリル部分の面積が少なく衛生的です。

CO2レーザーのメリットを教えてください。

当院では良性のできものを切除する際、CO2レーザーを使うことも可能です。血流が多いところを切開して切り取るのですが、CO2レーザーであれば止血しながら切開を進めることができます。そのため術後の出血の煩わしさや、不安感や恐怖感を軽減できるというメリットがあり患者さんへの負担軽減にもつながります。粘液嚢胞のほか、頬の粘膜や舌にできた良性腫瘍にも対応できます。

口腔顔面痛の診断・治療にも取り組まれていますね。

安田卓史院長 安田歯科医院4

お口の中や歯に痛みがある場合、それが粘膜に起因するものか、顎関節などに理由があるのかを見極めるには、口腔顔面痛に関する知識が必要となります。例えば噛み締めが強い時、口周りの筋肉の凝りを脳が歯の痛みとして認識してしまうことがあります。この場合、原因は食いしばりですから、いくら歯を調べても原因は見つけられません。歯痛に注目するあまり診断を誤り、抜歯や神経を取ってしまう事例もあるので注意が必要です。またストレスによる噛み締めや、体の冷えが原因となることもあります。そのため私は患者さんの話をよく聞き、時には漢方を用いるなど、多角的に診断・治療をしています。

長期的に見て患者のためになる治療を提供していきたい

日々の診療で心がけていることはありますか?

安田卓史院長 安田歯科医院5

とても基本的なことですが、患者さんとお話しする時は、きちんと顔を合わせて話すようにしています。また口腔粘膜疾患などでは時に原因究明までしばらく通院してもらう必要がありますが、通院に対するモチベーションを維持するためには、私が真摯に対応し患者さんに信頼していただかなければならないと思っています。そして、目先のことだけではなく、長期的に見て患者さんに何が必要なのかということを考えるようにしていますね。昨今の医療現場では、患者さん自身が考えている病気の原因や経過、望む治療方法などについて聞き出すことが大切だといわれています。当院でもまずは患者さんからじっくりお話を伺うように心がけています。患者さんの思いと私の考えの間でちょうど良い落としどころを見つけて治療を進めるようにしています。

大学病院での外来を続けている理由を教えてください。

東京医科大学病院では臨床の非常勤講師をしていて、 日本歯科大学では授業と実習の非常勤講師をしています。大学の同僚や教授、若い世代の先生も含めて、お手本にすべき素晴らしい「教材」の宝庫なんです。思考回路がガラッと変わりますからね。研修医の先生たちを見ていると、「自分もこんな感じだったのかな」と懐かしさを感じるとともに彼らの情熱をひしひしと感じます。開業医として一国一城の主でいるだけでは得られないものがあるので、今後も続けていきたいですね。

読者へのメッセージをお願いします。

安田卓史院長 安田歯科医院6

当院では、有病者歯科という持病などをお持ちの方を意識した診療にも対応しており、さまざまな病気が原因の歯科疾患や、患者さんご自身がお気づきではない粘膜疾患なども考慮しながら診察しています。粘膜疾患で困っている方、心配な方でかかりつけのクリニックがある方は、まず一度かかりつけ医にご相談いただいた上で受診していただければと思います。一方、当院には口内炎の薬を求めて受診される方も多いのですが、そうした方にとって一番重要なのは口内炎ができてしまう背景なんです。口腔清掃をこまめに行い、舌に力が入ってしまう癖を直すことで症状の緩和が見込めるケースもあり、その場合は歯磨き指導と発症理由の説明を行います。「薬は出ないのですか?」と聞かれる方もいらっしゃいますが、薬が処方されないケースもあることをご理解の上、受診していただければと思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

診察費用/初診1万1000円、再診5500円
ハイブリッド冠/8万2500円~
セラミック冠/14万3000円~
金属補強義歯/33万円~
金属床義歯/66万円~

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