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予防接種・ワクチンの
正しい知識で子どもを守る

こどもの木クリニック

(横浜市都筑区/江田駅)

最終更新日:2021/10/12

こどもの木クリニック 予防接種・ワクチンの 正しい知識で子どもを守る こどもの木クリニック 予防接種・ワクチンの 正しい知識で子どもを守る
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子どもを病気から守るために有用な予防接種。現在、日本で行う予防接種には、自治体が接種費用を負担する定期接種ワクチンと自費で行う任意接種ワクチンがあり、そのすべては努力義務。欧米諸国のように厳しく定められてはいないという。その現状に注目し積極的な啓発を行うのは、小児科専門の医師として豊富な臨床経験を持つ「こどもの木クリニック」の百々秀心院長だ。「例えばアメリカでは、必要とされる予防接種を受けていないと公立学校への入学が許可されません」という百々院長。なぜ日本は予防接種の後進国といわれるのか、そもそもワクチンとはどういうものなのか、気になる安全性、同時接種についてなど、予防接種・ワクチンについて話を聞いた。

(取材日2020年7月6日)

子どもを病気から守るため、予防接種のスケジュールに合わせてワクチンを接種し免疫を作っていくことが大切

Q日本の予防接種を取り巻く状況について教えてください。
A
こどもの木クリニック ワクチンの大切さについて話す院長

▲ワクチンの大切さについて話す院長

日本は経済的には先進国ですが、ワクチンに関しては後進国といわれています。その理由は大きく分けて2つあると私は考えています。1つは、日本では予防接種が努力義務になっていること。「必須ではないのですが、頑張って接種しましょうね」というスタンスです。もう1つは定期予防接種化が遅いということです。つまり予防接種の無料化が遅いのです。ヒブは2013年、肺炎球菌や水ぼうそうは2014年、B型肝炎は2016年に定期予防接種となりましたが、おたふく風邪やロタウイルスワクチンは、まだ定期予防接種とはなっていません。そういったことで、日本のワクチンに対する考え方は遅れているのではないかと思っています。

Qそもそもワクチンとは何なのですか?
A
こどもの木クリニック 自治体が費用を負担する定期接種と自費の任意接種がある

▲自治体が費用を負担する定期接種と自費の任意接種がある

抗体を体の中に作ると、2度目にその病気を引き起こす抗原が体内に入ってきたとき、抗体が抗原を排除する武器になります。その武器を作るための手段がワクチンです。ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあり、生ワクチンは生きた細菌や病原体を十分に弱めたものなので、接種することで軽くその病気にかかったような状態で抗体を作っていきます。不活化ワクチンは、細菌やウイルスから抗体を作るために必要な成分のみを取り出す操作をして作ったもので、破傷風菌が出す毒素をもとにして作ったトキソイドなどもこれに分類されます。

Qなぜ予防接種を受ける必要があるのですか?
A
こどもの木クリニック 自分や周りの人を守るため、予防接種は重要

▲自分や周りの人を守るため、予防接種は重要

その理由は大きく3つです。1つ目は、自分がその病気にかからないようにするため。生後2ヵ月頃から始まりますが、乳児はいくつかの病気以外は免疫を持っておらず、病気によっては治療法がなく、治療をしても確実に良くなる保証はありません。薬剤抵抗性の肺炎球菌やウイルスなども少なくないので、それをカバーする免疫をワクチンによって作ることが大切です。2つ目は、病気にかかっても重症化させないようにするため。僕の経験で、はしかの予防接種を受けなかった患者さんがはしかにかかり、間質性肺炎を合併して亡くなったことがありました。3つ目は、症状はなくても不顕性感染もあるので、周りを守るという意味でも予防接種は重要です。

Qワクチンの副作用が心配な方は多いと思います。
A
こどもの木クリニック 予防接種への意識を変えていくことが必要

▲予防接種への意識を変えていくことが必要

確かに、ワクチンには副作用が出る可能性はあります。例えば、WHOによる調査では、ポリオの生ワクチンの副作用について報告が上がっていました。しかし、日本でも以前は生ワクチンでしたが、今は不活化ワクチンが使用されています。また、子宮頸がんワクチンの接種については、2013年から積極的な推奨が控えられていますが、WHOの専門委員会では「安全上の問題は確認されていない」とされていますし、子宮頸がんワクチンは定期接種なので自治体が費用を負担してくれます。20歳~29歳の女性の子宮頸がんの罹患率が増加していることも踏まえ、接種への意識を変えることが必要だと思っています。

Q同時接種についても気になります。
A
こどもの木クリニック できるだけ早く免疫をつけることが大切

▲できるだけ早く免疫をつけることが大切

当院では5つぐらいのワクチンは同時に接種しています。アメリカでは2ヵ月の間に6つのワクチンを接種するので、同時に接種しないとスケジュールが間に合いませんし、同時接種に関しては、1つでも6つでも副反応の熱が出る頻度はまったく同じだといわれています。同時接種を嫌がるお母さんもいらっしゃいますが、生まれて間もない子どもは免疫力が弱く、1歳以下の子のワクチンには2~3回接種しないと免疫がつきにくいものも多くあります。風邪をひいたりすると予防接種のスケジュールが伸びてしまうこともあるので、病気にかからないようにするためには、同時接種を取り入れてできるだけ早く免疫をつけるということが大切だと考えています。

ドクターからのメッセージ

百々 秀心院長

僕は予防接種に関する講演を行うことも多いのですが、まず最初に日本がワクチンの後進国であるということからお話ししています。予防接種率を上げることが講演の目的なので、予防接種に対する皆さんの認識を少しでも変えていけたらいいですね。例えば、肺炎球菌やヒブは髄膜炎の原因になります。先ほどもお話ししましたが、薬剤抵抗性のある菌も出てきていますし、髄膜炎になったら薬を使えばいいじゃないかと言っても、その薬が効くかどうかはわかりません。よく効くといわれている薬でも、人によってはまったく効果がない場合もありますから、ワクチンを接種して免疫を作ることはとても大切なのです。

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