廣松伸一院長の独自取材記事

ひろまつデンタルクリニック

(川崎市多摩区／中野島駅)

最終更新日：2023/02/09

川崎市多摩川沿いに、1999年に「ひろまつデンタルクリニック」を開業した廣松伸一院長。子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者に、幅広い歯科診療を提供したいと、この場所を選んだという。矯正歯科の歯科医師としての勤務経験もある廣松院長がめざすのは、噛み合わせを軸に口腔内をトータルに診る包括的な歯科診療。矯正治療はもちろんのこと、虫歯や歯周病治療の際も噛み合わせに留意するほか、顎関節症の治療にも注力。また、歯科医師会を通じて医科や薬科と連携して、口腔からの全身の健康づくりに取り組む。開業以来、地域住民の口腔環境向上に努め、「口の中を見るとその人がどんな生活を送っているかわかる」と話す廣松院長に、その診療方針や診療の特色、めざすところを聞いた。

（取材日2022年12月12日）

噛み合わせを重視した、包括的な歯科診療を提供
小児矯正やマウスピース型装置を用いた矯正にも注力
治療に前向きに取り組めるよう通いやすさを重視

噛み合わせを重視した、包括的な歯科診療を提供

こちらで開業した経緯を教えてください。

大学卒業後、矯正専門の診療所や大学病院などでの勤務を経て、そろそろ開業をと考えていた矢先にこの場所と出合い、1999年に開業しました。私は石川県金沢市の出身ですが、川崎市に縁あって、「子どもからお年寄りまで幅広い層の方に、幅広い治療をしたい」という、私のめざす歯科診療を実践する場としてぴったりだと感じたのです。この地域はお子さんからお年寄りまでいらっしゃいますから、地域に密着した診療ができるのではと思いました。開業から20年以上を経て、団地の高齢化とともに高齢の患者さんも増えていますが、今も幅広い年代層の方が来てくださいます。子どもの時に受診していた方が成長して、ご自分のお子さんを連れてくる時もあり、うれしく感じますね。

診療面にはどのような特徴がありますか。

まずは患者さんの声をしっかり耳を傾け、その後に口腔内を広く総合的に捉えて、治療後のケアも含めた包括的な治療を行うことでしょうか。その軸となるのが噛み合わせです。矯正治療、インプラント、義歯などの選択肢の中から、その方に適した咬合を見据えて治療プランを提案するようにしています。虫歯や歯周病の患者さんで、入れ歯の摩耗や、口腔内全体で力のかかるバランスの悪さから、噛み合わせが悪くなっている場合は、歯の高さ、前後などの位置調整をご提案することもあります。というのも、噛み合わせの異常というのはご自身では気づけないことも多いのです。もちろん、無理にお勧めすることはありませんが、悪い噛み合わせを放置しておくことで、顎関節症や頭痛になることもありますから、口腔内全体を診て患者さんの利益になる治療があるようであれば、こちらからご提案することはよくあります。

悪い噛み合わせが顎関節症の原因となることもあるのですね。

そうなんです。顎関節症は、口を開けづらい、口を開けると痛みが出るといった症状の病気です。ストレスなどによって発症する場合もありますが、噛み合わせの不正が原因となることもありますし、合わない入れ歯などの要因でも引き起こされる場合も考えられます。30代、40代の女性に多く、突然発症し、原因が1つではないことが多いのも特徴です。噛み合わせを調整したり、補綴物を取り替えたり、口腔内全体のバランスを整える治療で、さまざまな不快が解消に向かうケースも多いので、症状が出たら早めに受診していただきたいですね。

小児矯正やマウスピース型装置を用いた矯正にも注力

矯正治療にはどのような特徴がありますか。

大人の方の矯正では、ワイヤー矯正も行いますが、最近はマウスピース型装置を用いた矯正治療を希望される方が増えていますので、適応する方にはお勧めしています。小児矯正の場合は、永久歯の治療の前段階として小学校の低学年から、噛み合わせの改善や、機能回復の治療を行います。必要に応じて顎外装置、口腔機能のトレーニングなども行います。お子さんの場合、ブラケットを装着しての矯正治療中はとかく虫歯になりやすいものですが、当院では矯正中の虫歯治療にも速やかに対応できるのが特徴です。スタッフと協力して、虫歯予防にも力を入れてトータルな診療を心がけています。

診療方針について教えてください。

患者さんの話をよく聞き、わかりやすいかたちで情報提供をすることで、お互いの間に信頼関係が築けると考えてコミュニケーションを重視しています。初診の際の対話には30分以上時間をかけて、その上で徹底したスケーリングと検査を行ってお口の中の状態をしっかり把握します。どのような状態かをわかりやすくご説明してから、必要な治療についても説明するという流れです。そして、インフォームドコンセントを重視して、治療方法の選択や費用、メリットなどをわかりやすいようご説明し、ご自身でどこまで治療を受けるのかを決めていただくようにしています。治療の中心は常に患者さんですので、患者さんの利益を第一に考えています。また特に高齢の患者さんは全身状態なども把握しながら、お一人お一人に寄り添う診療を心がけています。

歯科医師を志したきっかけを教えてください。

歯科医師を志したのは、子どもの頃の通院経験でしょうか。人と人とが直接接する仕事であり、技術を磨き、より上のレベルをめざすことで、人の役に立つことができる仕事であるという点に魅力を感じました。ただ、実際には何年やってもゴールにたどり着くということはなく、一生涯、切磋琢磨を続ける必要がある仕事でもありますので、研鑽は続けています。勉強会やセミナーへの参加や文献を読むことももちろん大切ですが、何より大切で難しいのは、モチベーションを維持することだと思っています。日常に流されてお一人お一人と向き合う姿勢を忘れないように、常に患者さんの利益を意識しながらも、自分自身の在り方については満足しきってしまわないよう、常に全力を尽くしているか、日々自分に問いかけながら診療を行っています。

ところで、ご自身の健康法などがありますか。

平日は週に3～4回、スポーツクラブに通って体を動かすようにしています。子どもの頃から水泳をやっていたのもあり、マスターズ水泳にも取り組んでいます。歯科医師は体が資本で体力勝負です。また、腰などに負担のかかりやすい職業でもありますから、そうした意味でも水泳は役に立っていると感じています。あとは、愛犬との散歩で気分転換しています。

治療に前向きに取り組めるよう通いやすさを重視

歯科医師の立場から気になることはありますか。

新型コロナウイルス感染症流行下のマスク生活の中で、「見えないから」と治療やケアをおろそかにする人がいる一方、口臭を気にする方や、この機会に矯正治療を受けたいという方も増えていますね。口臭の8割は歯槽膿漏が原因ですから、口臭を気にされる方には歯周病の検査やケアをお勧めしています。そもそも、お口の中を見るとその方の日常生活がわかる気がしますね。ケアをおろそかにする方は、油断されているというか、全身的な疾患が隠れていることもあるようです。子どもの虫歯は減ってきていますので、家族でデンタルケアに取り組んでいただけたらと思います。

今後の展望について聞かせてください。

歯科治療は、基本的に悪くなったところをゼロに戻す、いわば後ろ向きの治療です。それをプラスに変えて、前向きに取り組んでもらえるようにするために、通いやすいクリニックをめざしたいと考えています。また、噛み合わせは口腔の問題だけでなく、体の不調につながっていることも多く、とても重要ですから、幼少期から矯正治療も取り入れて、口腔機能の改善に力を入れていきたいと考えています。生活習慣病である糖尿病や高血圧、心疾患と歯周病の因果関係が指摘されていますので、歯周病予防や管理に力を入れていきたいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

お口の中は、その方の年齢や状態に合わせたケアが必要です。例えば、妊娠中の方は歯周病が進行しやすく、歯周病自体が早産と関係があるともいわれていますし、年齢が進むに従って、お口の中の状態も変わっていきます。何か症状が出てからでは手遅れになることもありますので、定期検診やメンテナンスを受けて早め早めに対応していただきたいですね。当院は、その方の年齢や全身状態、生活背景にも配慮して、包括的な口腔ケアと安全で安心していただける治療を心がけています。何かお困りごとやお悩みがあればお気軽にご相談ください。