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菱川 敏光 院長の独自取材記事

ひしかわ歯科

(可児市/日本ライン今渡駅)

最終更新日:2022/09/22

菱川敏光院長 ひしかわ歯科 main

「ひしかわ歯科」は、名鉄広見線の日本ライン今渡駅から徒歩2分の場所に立つ。この地で開業して45年、地域の歯科医療を支え続けてきた。院長の菱川敏光先生は2代目で、父である菱川清太郎先生とともに診療に臨んでいる。菱川院長は、大学院や大学附属病院で20年もの間、専門とする歯周病学をはじめとした研究や臨床において研鑽を積んできた。現在も大学の非常勤講師として後進の指導にあたる。「こうした経験は、診療面に限らず、クリニックの体制づくりにも役立っています」と院長。インタビューの間、爽やかな笑顔で丁寧に語りかけてくれる菱川院長に、これまでの経験やクリニックの方針、歯科治療への思いなどを聞いた。

(取材日2021年4月26日/情報更新日2022年9月15日)

歯周病が専門。勤務医や大学講師の経験を診療に生かす

開業から40年余りと、地域に根差して診療されてきたのですね。

菱川敏光院長 ひしかわ歯科1

1977年に父が開院して以来、地域の皆さまのお口の中の健康を維持するお手伝いを続けてまいりました。そんな父の背中を見て育ち、長崎大学歯学部を経て、愛知学院大学大学院の歯学研究科で歯学を学びました。その後、大学に残って研究や附属病院勤務を経験し気がつけば20年、いろいろな勉強をすることができました。2020年、私が副院長として戻った機会に、クリニックを新築し、スタッフも設備も刷新して全面リニューアルしました。院長に就任したのは2021年7月で、並行して愛知学院大学の歯周病学講座で非常勤講師もしています。

なぜ、歯周病学を選び、大学で長く研鑽を積んだのでしょうか?

歯科といえば削って詰めて治すと思われていた時代に、父は早くから歯周病に関心を持って、繰り返し定期的に歯科に通うことが大事だと取り組んでいたことと、歯周病が大学の恩師の専門分野だったことが大きいです。歯周病と矯正治療と口腔外科の3分野は、当初は苦手としていたので、しっかり学び専門分野にしてみようと思ったのです。中でも一般的な開業歯科医師が最も携わることになるであろう歯周病に焦点を絞って、研究や臨床の経験を積んできました。大学院修了後、診療だけでなく、研究や人材育成に関われる大学ならではの魅力を感じ、研鑽を続けました。その結果、歯科医師が社会に対して果たすべきさまざまな役割を学ぶことができたと思います。

大学や、他の医療機関での20年の経験はこちらで生かされていますか?

菱川敏光院長 ひしかわ歯科2

ええ。特に電子カルテ導入時に立ち会えたことはとても良かったですね。大学病院では、歯科医師以外にも医師、看護師、薬剤師、放射線技師など一般の歯科クリニックではあまり関係しない部門と折衝しながら治療の方向性を決めていきます。自分の診療分野だけで完結していたら聞けなかった知識や考え方も吸収できました。また、さまざまな先進機器に黎明期からふれられたのも大いにためになりました。デジタル化を通じた歯科の検査指標の標準化、客観的データの収集は現在の精密な治療に役立っています。

先進機器を専門性の高い診療に活用

リニューアルされたというクリニックの特徴について教えてください。

菱川敏光院長 ひしかわ歯科3

患者さんが安心して受診できるよう、診療環境の明るさと衛生管理には特に力を入れています。私は新型コロナウイルス感染症の流行以前から院内感染予防、滅菌、消毒には人一倍気を使っていました。使用後の器具を滅菌するのは当然ですが、その過程で本来清潔に保つべき所を汚染しないよう動線を考えて院内を設計しています。また、一般的な手術室などと同じような環境消毒をめざして、オゾン噴霧器を導入し、診療時間外は高濃度のオゾンで院内空間を除菌していきます。診療台には1台ずつ、口の中用とは別に口腔外バキュームを設置し飛沫やエアロゾルが拡散しないよう注意しています。

歯科用CTのスペシャリストと聞いています。診察機器にはどのようなものがありますか?

従来のエックス線撮影は2次元撮影ですので、歯や骨の奥行きが確認できなかったり、歯並びによっては確認しにくい箇所もあったりしました。歯科用CTはそれらを補い、立体的な3D画像で確認できますので、骨の変化や、歯根の形、神経の位置などをしっかりと診ることができます。歯科用CTは、約20年前に登場して以来ずっと使っていますが、従来のエックス線写真も併用し、経験を生かした確かな診断をめざしていきたいですね。また、歯周病の正確な診断や経過判断のために、専用の検査記録機器を導入し、診断・治療記録をしっかりと残せるよう努めています。

患者側の歯周病の理解は、以前に比べて深まっていますが、意外と知られていない原因があるそうですね。

菱川敏光院長 ひしかわ歯科4

歯磨きや免疫のことが一般的に言われがちですが、噛み合わせも重要な要素です。歯周病の原因の多くは細菌感染による炎症ですが、もっと広く捉えたときに咬合性外傷といって、歯に過度の噛み合わせの力がかかることによって歯の支えが負けてしまい、骨が変形することで引き起こされる症状もあります。咬合性外傷には、一部の歯の噛み合わせの具合に問題がある場合と、歯ぎしりのようにお口全体に問題がある場合があります。治療には、細かな噛み合わせの調整やマウスピースによる歯の保護が必要となるでしょう。

加齢との共生。その道のりを穏やかに歩んでいく

スタッフの皆さんはどんな方たちですか?

菱川敏光院長 ひしかわ歯科5

歯科衛生士は、本当に熱心に診療にあたってくれています。歯周病治療において、歯磨き指導や生活習慣改善のアドバイスはとても重要なのですが、しっかりと患者さんに寄り添って対応してくれるので助かりますね。時には黙々とパソコンでの作業に集中することもありますが、患者さんの状態や診療内容などを長期間管理していくための資料を、地道にまとめていく重要な役割も担ってくれています。歯科助手は、それぞれ素晴らしい個性を発揮してスムーズに連携し、診療室全体を上手に管理していると思います。歯科医師、歯科衛生士が安心して診療を行える環境を整備することで、より良い治療を患者さんにお届けできているのでは、と感じます。すでに十分な能力を持ったスタッフたちですが、まだまだ若いチームですので、さらなる成長が楽しみです。毎日の診療で、患者さんと素直に真面目に向き合ってくれるスタッフと一緒に仕事ができ、本当に感謝しています。

今後、どのようなクリニックにしていきたいですか?

ペイシェントジャーニーという言葉をご存じでしょうか。患者さんが病気を自覚してから医療者の診断や治療を受け入れ、症状の改善とその後に病気と共生してゆく道のりのことをいいます。もともとは慢性腎疾患の治療について提唱された概念ですが、歯科の治療にも同じことが言えると思います。歯は加齢とともにすり減っていきますし、歯周病の進行を遅らせることはできますが、失った支えが以前のように戻ることはありません。人生が続く限りの消耗戦なのです。ですので、当院の歯科衛生士や歯科助手には、患者さんの一生に寄り添っていけるような人に育っていってほしいです。もちろん私も、一歩一歩最良の選択ができるよう今後も診療に励んでいきたいと思います。

先生の歯科治療にかける思いをお聞かせください。

菱川敏光院長 ひしかわ歯科6

歯科治療は効率を優先するとパターン化した画一的な治療方針になりがちです。しかし患者さんから求められる治療は、それぞれ異なるものと思います。私たちは、患者さんが前向きに取り組める治療計画を考えながら、ゴールをめざしていきます。私たちの価値観や一般論を押しつけるのでなく、大切なご自身の体とどう向き合っていけば良いのか、十分にお考えいただけるようお話しています。病状によっては自覚症状がないため治療したくないとおっしゃる方も多いので、決定的な治療を行わないことによるリスクをご説明した上で、お口全体のお手入れをしながら経過観察を続けていく場合もあります。人生100年時代、いつまでも自分の歯でおいしいご飯を食べられるように、歯と歯茎の消耗戦を生き抜くことが大切です。その道のりを一緒に歩ませていただくことが私たちの役割だと考えています。お一人で考え込むことなく、どうぞお気軽にご相談ください。

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