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大野 公稔 院長の独自取材記事

大野歯科医院

(名古屋市昭和区/いりなか駅)

最終更新日:2022/10/20

大野公稔院長 大野歯科医院 main

いりなか駅から徒歩7分ほどの場所に2022年5月、「大野歯科医院」は新築移転、開院した。前面に9台分の駐車場を備えた敷地に、白と黒、味わいのあるグレージュのタイルをまとった建物がすっくと立つ。入り口にはスロープがあり、院内はバリアフリー。吹き抜けとなった広い待合室にはやわらかく光が注ぎ、中庭の緑が目を癒やす。歯科技工士が働く技工室には窓があり待合室から作業を見ることができる。大野公稔院長は入れ歯やかぶせ物を作製する補綴治療が得意で、予防にも注力。現在は患者のニーズに応え、子どもの治療にも積極的に取り組む。「患者さんにとってベストな治療を」という先代院長である父の思いを引き継ぐ大野院長。新しい歯科医院や心がけについて朗らかな笑顔で語ってくれた。

(取材日2022年8月31日)

歯科技工室を「見える化」し患者とつなぐ

院内は広く明るい空間ですね。

大野公稔院長 大野歯科医院1

ありがとうございます。当院は1985年、父が同じ滝川町内のビル2階で開院しました。ありがたいことに患者さんが増えて手狭になったこともあり、ご縁があって出合ったこの土地に移転した次第です。院内はバリアフリーで6室ある診療ユニットは広めに、トイレにも余裕を持たせましたので、高齢の方やベビーカーの方、車いすの方はもちろん、どなたにも来ていただきやすくなったと思います。建物は「白くてきれい」というより、昭和の時代のクラシックな洋風レストランのような空間にしたくて、縦長の窓や石のタイルにはこだわりました。私のイメージをくみ取って素晴らしい提案をしてくれた設計者に巡り合えたことも幸運でしたね。この辺りは市が定める緑化地域でもともと緑が多いので、当院でも入り口前や中庭に緑を取り入れました。中には開院祝いにいただいた大切な植物もあります。

他にも特徴はありますか?

私が補綴治療が得意なこともあり、当院には移転前から、入れ歯やかぶせ物を作製する技工室があり歯科技工士が2人在籍しています。新築にあたってはその歯科技工室にガラス窓を設け、待合室から見えるようにしました。歯科医院によっては作製を外注するところもあり、患者さんは自分の口の中に入れる物がどのように作られているのか知らない方が多いのではないでしょうか。当院では以前から歯科技工士が患者さんのお顔を直接拝見して審美的なバランスを考慮して作製に努めております。患者さんと交流することで作製物に魂がこもり、お互いに感謝や喜びも生まれるのではないかと思います。職人のような歯科技工士の技術を皆さんにぜひ見ていただきたいですね。

新しい設備も導入されたそうですね。

大野公稔院長 大野歯科医院2

検査機器としては、デジタルエックス線装置、CT、頭部エックス線規格写真撮影装置を備えました。デジタル化によって画像処理のスピードが早くなり画像が鮮明になり、隠れた疾患も見つけやすくなりましたね。各チェアの前に大型モニターを設置したため、患者さんにも画像を供覧することができ、理解していただきやすいです。スタッフ間で各種データの共有が容易になり、作業がスムーズになったことも大きいです。また、感染症対策として空気清浄機や紫外線照射装置を導入した他、治療器具は使い捨てを増やしたり新型の機器で滅菌を行ったりなど衛生管理も徹底しています。

子どもの患者にはステップを踏んで診療する

患者さんはどのような方々が来られていますか?

大野公稔院長 大野歯科医院3

移転前は、父が30年以上地元に根づいてきたことからご高齢の方が多かったのですが、移転開院してからは未就学児や小学生などお子さんが増えて、ご家族そろって来られることもあります。患者さんのご紹介も多いですね。開院前の内覧会で、おもちゃの「吹き戻し」を使った射的などのゲームがお子さんに好評で、それが楽しくて開院後に来てくださったことも(笑)。お子さんにとって「歯医者さん」に来ることはとても大変で勇気のいることです。少しでも楽しいと感じて何だか面白い先生がいる、と思っていただければうれしいです。現在、診療ユニットの一つはチェアではなくマットを敷いており、そこで座ってお子さんの歯磨きをしたり、親御さんに仕上げ磨きの仕方やお子さんをしっかり支えるコツをお伝えしたりしています。

子どもの患者さんにはどのように接しておられますか?

お子さんに対しては、緊急の場合を除いていきなり診療に入ることはせず、「歯を磨く」「唇に触れる」など順にステップを踏んでいくようにしています。そして、褒めることを心がけています。これは非常勤の先生もスタッフも実践してくれていますね。たとえ泣いたとしても、「頑張っているね」「ちゃんとできたね」と声をかけるんです。「ここはだめだったね」というネガティブなことは言わず「ここはこうしたほうがいいよ」という言い方をします。大人でも、そのほうが次回も頑張ろうというモチベーションにつながりますね。また、どなたに対してもですが、できるだけゆっくりわかりやすく話すようにしています。

治療する上で気をつけていることはありますか?

大野公稔院長 大野歯科医院4

治療はこちらから押しつけるのではなく選択肢を用意し、患者さんに選んでいただくようにしています。また患者さんが何を望んでいるのかに耳を傾け、一番困っていることを最優先に解決するように気をつけています。困り事の一つに痛みがあると思いますが、その周囲が炎症を起こしている場合、基本的に炎症が治まってから治療を行います。そのため早期に炎症を鎮めることを目的に歯科用レーザーを活用しています。治療対象としては歯周病、口内炎になりますね。時には痛みの原因が口腔がんや舌がんの可能性もあり、診察でこれは怪しいと思ったときは聖霊病院など近隣の医療機関をご紹介します。

診療時間を長めにとって丁寧に患者と向き合う

先生は予防歯科にも注力されているそうですね。

大野公稔院長 大野歯科医院5

はい。当院では患者さんが相談しやすいように歯科衛生士を担当制にしており、連続性のあるメンテナンスを行っています。クリーニングは手で行うハンドスケーリングが主体で、患者さんの様子を見ながら極力痛みの少ないように注意を払って作業しています。メンテナンスを治療後に始めるのではなく、治療と同時進行で行うことも特徴です。予防は毎日の歯磨きが基本になりますが、正しい磨き方はなかなか難しいもの。当院では一気に正しい方法を指導するのではなく、できることを一つずつ増やしていく段階的指導をしています。利き手や歯ブラシの持ち方、力の強さなど個性がありますから、その方に合わせた方法を提案します。おかげさまで予防に来られる方は現在、全体の6割ほどになりました。

患者さんに丁寧に向き合っていらっしゃるのですね。

診療の質を落とさず、お一人お一人に丁寧に向き合いたいと常に思っています。そのため、以前は1人30分だった予約枠を、45分または60分に変更しました。というのも、口腔内の写真撮影など、患者さんにお口の状態をしっかりご理解いただくために行うことが増えたから。長めに時間を確保する分、きちんとブラッシング指導まで行いたいとも考えています。

移転に伴い、スタッフさんも増員されたとか。

大野公稔院長 大野歯科医院6

非常勤の勤務医が1人、歯科助手が3人増え、現在、歯科医師が私を含めて2人、歯科技工士が2人、歯科衛生士が3人、歯科助手が3人の体制になりました。移転前は歯科技工士と歯科衛生士のみでしたが、移転後は歯科助手も採用したんです。歯科助手には、お子さんの診療のときに、怖がっている子がいたら「もうちょっとで終わるよ」などと横で声をかけてもらい、とても助かっていますよ。移転の期間を利用して、2週間以上、皆で集まって、接遇のセミナーなど外部講師を招いての勉強会を開いていました。他にも、消毒や滅菌システムなど、皆で取り組めるようなセミナーも行いましたね。人数が増えたことで、スタッフがお互いに声をかけ合い、フォローし合いながら仕事をしていて、私も刺激を受けています。

今後の展望についてお聞かせください。

父は職人気質で、患者さんの要望に対してできることには全力で応え、できないことはその理由をしっかり説明していました。そうした、父が築いてきた患者さんとの信頼関係をはじめ、大切にしたい根本的な部分は引き継いでいきたいですね。当たり前のことですが、患者さんの話をよく聞き、自分にできる技術でもって治療や予防に取り組んでいきたいと思います。一生懸命働いてくれているスタッフの残業も少なくしたいため1日に診療できる患者さんの数は限られてしまいますが、できるだけ患者さんをお待たせしないように努めていますので、お気軽に何でも相談してくださいね。

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