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川植 康史 理事長の独自取材記事

川植歯科医院

(岸和田市/和泉大宮駅)

最終更新日:2024/01/31

川植康史理事長 川植歯科医院 main

南海本線・和泉大宮駅から程近い、商店の並ぶ通りに面した「川植歯科医院」。理事長の川植康史先生は、現在も大阪歯科大学の非常勤講師として学生たちの指導にあたるベテラン歯科医師。今では一般的となったインプラント治療に早くから着目し、豊富な知見と実績を持つインプラント治療のスペシャリストだ。同院では、大学院で培った歯科放射線学と解剖学をベースに3Dシミュレーションシステムなどの先進技術を導入し、論理的かつ創造性豊かな治療を展開する。「医学も科学も、最終的には哲学に行き着く」と持論を語る川植理事長。そのユニークな視点やコンセプトを中心に、同院のインプラント治療の奥深い世界に迫ってみた。

(取材日2023年12月20日)

解剖学を重視した広視野なインプラント治療を展開

まずはこちらの歯科医院の概要を教えてください。

川植康史理事長 川植歯科医院1

当院はもともと60年近く前に先代である父が開業し、当初はもっと小さな規模からスタートしています。私は大学院を出てから父と一緒に診療を続け、2007年に院長を継承しました。現在はゆとりある診療スペースにチェア7台をそろえ、オペ室以外にも個室を用意しています。また、歯科用CTは新型のコーンビームCT(頭頸部用CT)やコンピューター制御による先進システムも備え、建物自体は年数がたっている割に、設備面は充実しているといえるでしょう。歯科医師は、私以外に大学院時代の指導担当の先生が常勤で、非常勤の先生も加えると4人です。一般の開業歯科でできる診療は一通り行っており、矯正も月に1回は専門の先生が来て対応してくれています。

インプラント治療には古くから携わっておられるそうですね。

もう30年以上になりますが、当時はまだインプラント治療も黎明期で、チタン製のインプラント材料が登場するまでは失敗の連続だったと先人から聞いていますし、私もその経験があります。チタンは骨と拒否反応なく結合する特性があり、優れた素材として現在も使われています。入れ歯やブリッジと異なり、他の健康な歯に負荷をかけることなく、欠損した歯を補うことがめざせるのがインプラント治療の大きなメリット。診断や骨が足りないときに行う骨造成の技術はどんどん進化していますが、その基本コンセプトは今も30年前と基本的には何も変わっていません。一方で失敗例も決してなくなったわけではなく、神経を傷つけたり上顎洞に部品を落としてしまったりといったトラブル事例を聞くことがあります。これらを防ぐためにも解剖学への理解が非常に重要な課題となるわけです。

歯科に必要な解剖学とはどのようなものですか?

川植康史理事長 川植歯科医院2

インプラント治療に必要なのは、単立的な技術ではなく総合力。生体や細胞のことをちゃんと理解していることが重要で、そのベースとなるのが放射線的な解剖学です。歯科用CTやレーザー、マイクロスコープなどをいくらそろえても、それを解読する力がなければ何の意味もありません。経験値よりも、解剖学や生物の機能、規則性に対する理解のほうが大切です。歯科の領域を大別すると、けが・できもの・炎症の3つ。その体系の中では、虫歯なんて炎症のほんの一部にすぎないわけです。大きな診断の幹という概念があるか、病態のことがわかっているか、そこが信頼に値する歯科医師かどうかの分かれ目だと思います。

先進的なシステムや医療技術で患者の期待に応える

大学では口腔がん治療も行っていたとお聞きしました。

川植康史理事長 川植歯科医院3

大学で学ぶべき学問は何かを考えた末に、私は大学院で歯科放射線学を専攻して口腔がんや放射線治療の臨床に携わりました。口腔がんには歯肉がんや舌がんなどがありますが、がん全体の4%程度を占めるといわれ、決して看過できないのが現状です。口には話す、食べるなどの機能が集中しているため、がんになって舌を半分切除するようなことがあるとQOL(生活の質)が一気に低下してしまいます。口の中のことですから歯科が窓口になることが大半ですが、確定診断までつける必要はなく、迅速に適切な医療機関につなげることが重要です。

こちらの先進的なシステムやアプローチについて教えてください。

現在はデジタル技術の進化により、3Dデータで座標を決定し、ガイドどおりにインプラントを埋入できるよう補助するシステムがあります。しかし最初に撮るCT画像に1~10%程度の誤差があるため、自分が使う機種の傾向を事前に検証しておく必要があります。機械にはどうしても限界がありますから、それをわかった上で補正する能力を持たないことには、ガイドシステムを使いこなせているとはいえないと考えています。あと、インプラントを入れるための骨造成技術はかなり進んでいますが、一番大切なのはスペースメイキングで、まずは骨ができる場所をつくってあげることです。ここでもやはり解剖学的な基礎知識が重要となるわけです。

患者さんとの関係性で留意していることはありますか?

川植康史理事長 川植歯科医院4

これまでインプラントを諦めていたような方でも、現在の先進システムや骨造成技術を用いれば可能なケースがあるかもしれません。とはいえインプラントは本来の生体ではありませんから、やはり神様から授かった、生まれ持った歯とは違います。例えば内科的な治療では、薬はあくまで手助けに過ぎず、自分の体が病気を治していることになります。ですがインプラントは人が作ったもので、医療機器を使った人為的な治療であり、おのずと限界があります。来院された患者さんには、自分の持てる時間と情熱をすべて注ぐ覚悟で診療にあたっています。しかし、できることとできないことはあります。患者さんの希望する治療の終着点と術者が治療できる終着点の擦り合わせが、満足のいく治療につながると思います。

人の体は天からの授かり物

先生のご家族のことなどもお聞かせください。

川植康史理事長 川植歯科医院5

うちは祖父母の代からの医療家系で、今は娘も女性医師として乳腺外科で活躍しています。息子もいるのですが、こちらは単身で渡米して現代アーティストとしてニューヨークで活動しています。診療室に飾ってある絵の多くは彼の作品なんですよ。私もデッサンは得意なほうですが、アートにしても歯科医療にしてもイマジネーションというのは大切です。何もないところにインプラントという柱を立てて口腔という機能を再現していく行為は、審美的な意味も含めて建築などのアートに通じるところが多分にあると思います。そして一つの症例、一つの作品を生み出すたびに、人生がすり減るくらいの全霊を注いでいく。仕事というのは、みんなそういうものだと思います。

休日はどのようにお過ごしですか?

私は車が好きで、特に楽しみにしているのは1950年代の英国製スポーツカーでクラシックカーのラリーに出場することです。車が目立つので写真を撮られたり、テレビ取材を受けたり、ちょっぴり得意気になれるひとときですね。こんな古い車が70年以上も現役で生き抜いてこられたのは、その個体にきっと何かの力が宿っているのでしょう。私もこの車は社会からの預かり物と考え、入手時より良い状態にして誰かに引き継ごうとメンテナンスに励んでいます。今は歯の修復や再生療法もどんどん進化していますが、人の体も天からの授かり物。何でもできるように考えるのは間違いだと思います。神の領域というのは必ずあります。どんな科学も探求も、その領域に近づこうとする行為ではありますが、その領域との差を埋めることは不可能だと思います。したがって、天然歯を維持するためのメンテナンスが大切だと考えます。

インプラントを検討している人に向けたメッセージをお願いします。

川植康史理事長 川植歯科医院6

インプラント体は人工関節のようにすべてが体内に埋まっているのではなく、半分は顎の骨の内部に、半分は外部に出ているという、極めて非生理的な状態です。ある意味、口の中に弱点を背負っているともいえるでしょう。そうしたインプラントの欠点までちゃんと説明してくれる先生を見つけてください。あとはライフステージによる環境変化ですね。高齢になり自分で清掃できなくなったらどうするか。インプラント以外の天然歯がだめになったらどうするか。それを常に念頭に置くことです。今あるインプラントを使って入れ歯を支える、インプラントオーバーデンチャーという手法もありますので、そのためにも自分の口の中に入っているインプラントのメーカーや仕様は必ず控えておいてください。その2つが、私から皆さんにお伝えするメッセージです。

自由診療費用の目安

自由診療とは

インプラント治療/1本あたり、33万円、骨造成/5万5000円~22万円、床矯正/22万円~27万5000円、外科矯正/66万~132万円、インプラントオーバーデンチャー/33万~110万円

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