りょうこ皮ふ科クリニック (豊中市／千里中央駅)
西林 涼子 院長の独自取材記事
北大阪急行電鉄の千里中央駅から直結するビル内にある「りょうこ皮ふ科クリニック」。西林涼子院長は形成外科を専門とする医師だ。同院では湿疹やかゆみ、アトピー性皮膚炎といった皮膚科診療の他、傷痕やできものなどの形成外科診療、しみなどへのレーザーを用いた施術といった自由診療も提供している。2023年には多岐にわたる症状や悩みにできる限り対応できるよう増床リニューアルし、アクセスや利便性を向上させた。家族ぐるみでの受診も多く、「患者さんが気軽に訪れて相談できる、身近なクリニックをめざし続けたい」と話す西林院長に、クリニックの特長やリニューアルによる変化、患者への思いなどを聞いた。
複数の医師によるそれぞれの強みを生かした診療
最初に、形成外科の医師を志した理由を教えてください。
学生時代に老人ホームや介護施設に訪問し、女性の入居者の皆さんにメイクをする機会がありました。その時、皆さんがメイクによって笑顔になり、明るく和やかな雰囲気にガラッと変わったのを間近で見て、外見の変化で前向きな気持ちになれることを知ったんです。それから人の見た目のコンプレックスに寄り添うことに興味を持ち、形成外科の道に進みました。しかし、実際に医師として働くようになると、形成外科を専門とするクリニックが少ないことや、大きい病院でも形成外科の専門の医師がほとんどいないケースが多いとわかったんです。そこで診断から治療、手術まで、トータルで形成外科の診療に携わるクリニックの開業をめざすようになり、2020年に開業しました。
クリニック名にはありませんが、形成外科に注力されているのですね。
どちらかといえばそうですね。皮膚科のクリニックを継承開業したので皮膚科を標榜していますが、形成外科の患者さんが目立ちますね。湿疹、かゆみ、乾燥肌、ニキビ、アトピー性皮膚炎などの一般的な皮膚科の疾患から、おできやイボ、巻き爪、傷痕、眼瞼下垂まで幅広く診ています。診療の選択肢や疾病の予防策という位置づけで、しみやしわのケア、脱毛など、痛みなどの負担に配慮した自由診療も提供しています。保険診療の範囲内での治療を望まれる方から、レーザーを用いた診療をお考えの方まで、患者さんのニーズに柔軟に対応できるのは、当クリニックの大きな強みと考えています。単純性血管腫、乳児血管腫（いちご状血管腫）、毛細血管拡張症については、保険診療でレーザーを用いた治療が可能なので、赤ちゃんから大人までご相談が多いですね。
治療の幅の広さの他に、こちらのクリニックにはどのような強みがありますか。
医師の人数はかなり多いほうではないでしょうか。院長のほかに、非常勤医師で形成外科の医師4人、皮膚科の医師3人が所属しています。院長含め形成外科医師は、日本形成外科学会形成外科専門医を取得しており、日々研鑽を積んでおります。また、女性医師の割合が高いですね。形成外科は湿疹から眼瞼下垂、やけど、傷痕の修正、またがん治療後の再建など対応する疾患が多いことから全身を診る必要があると思っております。同院は、特に自信のある部位や疾患、治療法がある医師が多いんです。私自身も赤ちゃんの赤あざについて、開業前から診療経験を豊富に積んできました。患者さんの疾患やお悩みの治療を得意とする医師が担当するのはメリットが大きいはずです。基本は複数の医師が常駐してますので、多くの患者さんを同時に診察できて、待ち時間の短縮にもつながっていると思います。
気軽に立ち寄り悩みを相談できるクリニックへ
2023年2月に増設リニューアルされたと伺いました。
はい。それまではこの建物の3階にクリニックがありましたが、2階にも個室の診察室を設けました。こちらでは、主に自由診療と、保険適用疾患を含むレーザーを用いた診療を提供しています。自由診療の患者さんが年々増えているにもかかわらず、個室が少なかったのが気になっていたんです。以前から、ゆったりとしたプライベートな空間で施術を受けていただきたいと考えていたので、リニューアルできてほっとしています。また、赤ちゃんをベビーカーに乗せた保護者の方にスムーズに来院していただけるよう、メインフロアである2階への増設にこだわりました。赤ちゃんの治療については、私も一人の母親として保護者の皆さんの不安を十分に承知していますので、できるだけストレスフリーな環境を整えることで、安心につなげられればと思っています。
リニューアルの利点をどのように感じていらっしゃいますか。
今回のリニューアルによって、私が長年こだわってきた「患者さんがふらっと立ち寄ることができるクリニック」に、ようやく近づいてきたように感じています。自由診療にご興味のある方は、以前よりも相談しやすくなったのではないでしょうか。赤ちゃんのレーザーを用いた治療のためにいらっしゃったお母さんの「産後の肌の調子が気になっていて……」といった相談にも対応しています。また、当クリニックがお勧めしているスキンケア商品が陳列されている様子が院外から見えますので、商品を見に訪れ、診療に関心を持ってくださる方もいらっしゃるんです。
入りやすくなることで、来院される方々の幅が広がりそうですね。
以前から30代から50代の女性の患者さんの割合が高いですが、眼瞼下垂のような、目の周りの悩みのご相談に訪れる中高年の患者さんもいらっしゃいます。男性の患者さんも増えていて、ご相談で多いのはカミソリ負けですね。症状を繰り返す患者さんには、ひげ脱毛のような自由診療を紹介することもあります。この辺りは集合住宅が急増している地域ですので、親子連れやファミリー層が目立ちます。なので、ご家族全員を診させていただくケースも多いです。たくさんの患者さんと一緒に年齢を重ねていくようなお付き合いをさせてもらえているのは、本当にうれしいですね。
症状や悩みをすべて受け止める覚悟で診療を提供
地域の皆さんの健康に寄り添っていらっしゃるのですね。
来院された患者さんに対して真摯に相談に乗り、すべてを受け止める覚悟で診療に臨んでいます。幅広い症状や悩みに対応できるよう、さまざまな医療機器を積極的に導入しているので、開業時とは比べものにならないほど増えました。医療機器の設置スペースという点でも増床して良かったですね。全身麻酔が必要な施術など、どうしてもこちらで対応できない場合も、他の総合病院やクリニックとの連携体制も整えています。医療の質を保つために、定期的にスタッフで勉強会を開いて知識を共有しています。また、私自身も客観的な指標になればと、日本形成外科学会形成外科専門医はもちろんのこと、さらなるスペシャリティーを追求して、美容医療やレーザーなどの各分野についても専門的に学び、研鑽を積んでおります。患者さんの負担にも配慮した誠実な医療を提供できる、安心感のあるクリニックでありたいです。
対応できる疾患が多い分、かなりお忙しいのではないでしょうか。
形成外科の診療は体力が必要なだけではなく、細かい作業も多いので正直ハードです。ただ、私は分刻みにスケジュールが入っている状態が大好きで、パズルのピースのように業務を埋めていく感覚で仕事をしています。一日何もしない日は、まずないでしょうね。休みの日は家族と過ごしたり、上司の勧めで始めたキックボクシングとピラティスで息抜きをしたりしていますよ。
最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。
皮膚科や形成外科はデリケートなご相談が多く、緊張して話せなかった経験のある方も少なくないのではないでしょうか。ですから診察では、患者さんの目を見てしっかりお話を伺うことに重きを置き、できる限りお悩みを話していただけるよう気を配っています。わかりやすいアドバイスと質にこだわった治療を心がけ、一つでも「知識のおみやげ」を持って帰っていただきたいと考えているんです。クリニックのスタッフ全員で、患者さんが話しやすい雰囲気づくりに徹し、強固なチーム医療で診療に励んでいます。自由診療についても、あくまで保険診療の延長として捉えていますのでこちらから強く勧めることはありません。最初の一歩を踏み出すのは勇気がいると思いますが、今まで以上に入りやすいクリニックになりましたので、どんなことでもぜひ相談に来てくださいね。
