しもむら歯科医院 (京都市右京区/西京極駅)
下村 容規 院長の独自取材記事
阪急京都本線の西京極駅から徒歩約3分の「しもむら歯科医院」は、患者にとって誠実でありたいと願う下村容規(やすのり)院長の思いがあふれた歯科医院だ。下村院長は、歯科医師の祖父と父のもとで育ち、「父が患者さんの話に耳を傾け、患者さんのことを考え、寄り添った診療を提供する姿を見てきた」と話す。下村院長自身も、診療の際は患者との会話に十分な時間を取り、患者がしっかり納得した上で治療を行うことを心がける。「成長」を行動規範に掲げる歯科医院らしく、下村院長、スタッフとも勉強熱心で、新しい診療も積極的に取り入れている。「歯の状態を高めることで、より良い毎日を送っていただきたい」と話す下村院長に、同院の診療ポリシーや力を入れている診療などについて語ってもらった。
毎日を豊かにする「歯高歯善」の実践をめざす
どのような患者さんが来られますか?
お子さんの歯やお口の健康について相談に来られる子育て世代の方から、ご高齢の方まで広い年代の患者さんが足を運んでくださいます。最近は、歯の根っこの根管治療を希望される方や、歯列矯正を検討して受診される方が増えています。あらゆる世代の方が、さまざまなご相談を抱えて来てくださる歯科医院をめざしているので、気になることがある場合は、気軽にご相談いただきたいですね。私自身、2人の子どもがおり、もともと子ども好きなので、小さなお子さんの受診やお子さん連れでの受診も大歓迎です。
こちらの診療ポリシーを教えてください。
「歯高歯善(しこうしぜん)」を当院の理念に掲げています。道徳的に正しい行いをすれば、大きな幸福を得られるという意味の「至高至善」という熟語がもとになっていて、歯の状態を高めることで、より良い毎日を送れるサポートをしたい。しっかり噛めて、食事を楽しむことができ、すてきな笑顔になれる毎日を送っていただきたいという、開院当時から変わることない私たちの願いを表現したものです。私はもちろん、スタッフ全員がこの「歯高歯善」に込めた思いを理解し、質の良い歯科診療の提供に努めており、スタッフに対するアンケートをもとに作成した、「思いやり・誠実・成長」という3つの信条を意識した行動を心がけています。
診療の際にはどのようなことを大切にしていますか?
患者さんと心の通うコミュニケーションを取れるように心がけています。常に安定したより質の高い医療の提供を追求することは大事ですが、その前に人と人として気持ちが通じなければ意味がないと思っているからです。歯科診療に対して、「怖い」「痛い」といったイメージを抱いておられる方は、たくさんいらっしゃいます。そうした緊張や心配を少しでも和らげることができるよう、患者さんへの声がけを工夫したりユーモアを交えてお話ししたりするなど、説明の仕方などに気を配っています。
カウンセリングも重要視されているそうですね。
患者さんに、治療法を選択してもらうことが大切と考えており、治療前に十分にカウンセリングの時間を取るのが特徴です。患者さんのお口の中の状況やライフスタイル、治療におけるご希望などを伺い、治療期間などについてもご相談の上、選択可能な治療法を提案します。このため、とりわけ急を要する場合以外は、その日にすぐ治療をするのではなく、患者さんに現状をきちんとご理解いただき、治療方針にご納得いただいた上で治療を開始します。小さなお子さんの場合も、無理な治療をすることはせず、たとえ時間がかかっても歯科医院に慣れるのを待ちます。「歯医者さん」を怖い場所、嫌な場所にしたくないからです。
ストレス社会で増加傾向の食いしばりに対応する
最近、力を入れている診療はありますか?
食いしばり、顎関節症の診療に力を入れています。偶然かもしれませんが、「食いしばりがあるみたいなので診てほしい」「就寝時につけるマウスピースを作ってほしい」など、顎関節症に関連する悩み相談が目的で来院される方が多く、私自身、顎関節症で長く苦労した経験もあるからです。私の場合はもともと食いしばりの傾向があり、ストレスなどが加わって、食事をするのもままならない状態にまでなりました。なんとかしようと自分自身でいろいろなことを試す中で理解が進み、このアプローチが良いのではないかと考えられるようになりました。
どのような状態になったら注意が必要ですか?
口が開けづらくなった、口を開けていると痛いといったわかりやすい症状のほかに、就寝中の食いしばりのせいで、起床時の顎の付け根の辺りの痛み、頭痛、肩凝りなどに悩まされることもあります。とはいえ、顎関節症は状況、環境、状態によって変わり、ストレスが強くかかっていると、当然のことながら症状は悪化します。寝具や寝る際の姿勢を変えただけで、症状の軽減が期待できることもあります。このため、症状が強い、長期にわたって続いているという場合以外は、特に注意が必要というわけではありません。ただし、食いしばりには注意していただきたいですね。
食いしばりは歯のダメージにつながると聞きました。
食いしばりや歯ぎしりは、一つのストレス回避の動作ですが、癖になってしまうことがあるので要注意です。習慣的に行うようになると、歯はもちろん顎などの筋肉や関節にも大きな負担がかかり、場合によっては顎関節の変形を引き起こしてしまうケースもあるくらいです。歯や舌の状態、顎の辺りの温度やこわばり感などを確認すると、食いしばりや歯ぎしりをしておられるかどうか判断できるので、そのことは患者さんに伝えます。奥歯の痛みなど、抱えている悩みと、食いしばりがあるという結果がつながるケースも多いですので、そのことを理解していただくことが改善へ向けての第一歩となります。主な対処方法は、就寝時にマウスピースをつけていただくことです。
競技中の安全を守るためのスポーツマウスガード作製
歯列矯正にも対応しておられますね。
根本的な噛み合わせの調整が必要な場合は、マウスピース型装置を用いた矯正やワイヤー矯正に対応できます。当院で診断して、より専門性の高い矯正が必要と判断した場合は、それが可能な歯科医院をご紹介することもできます。お子さんの矯正についても、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保するために顎を広げる目的の床矯正や、生え替わり後の歯並びを整えるためのマウスピース型装置を用いた矯正、ワイヤー矯正を提供しています。さらに、口周りの筋肉の健全な発育を促して、歯がきれいに並ぶための環境を整える目的のMFT(口腔筋機能療法)についても、歯科衛生士の協力を得て近々導入する予定です。歯並びに悪影響を与える口呼吸や指しゃぶりなどの改善にも役立ちます。
スポーツマウスガード作製にも注力されているそうですね。
はい。私自身、学生時代にスポーツをやっていたので、試合中にかかる衝撃は理解していますし、衝撃を和らげることで、スポーツのパフォーマンスにも良い影響を与えることも体感しています。実際に、スポーツマウスガードの作製を希望して受診される方も多く、そうした患者さんにしっかりとした知識に基づいた診療を提供したいと思い、スポーツ歯科分野も専門的に学びました。スポーツ用のマウスガードというと、一般的にはラグビーなどのコンタクトスポーツをイメージされますが、転倒や衝突のリスクがあるスキーやスノーボード、スイングの際に顎に力がかかるゴルフなどにもメリットが期待できます。一部の種目を除いて、まだそれほど普及していないのですが、特にスポーツをされるお子さんには安全のためにぜひ装着していただきたいですね。口腔内スキャナーを使って歯型を採り、厚みやデザインなどを相談して10日〜2週間で完成します。
地域の方や読者にメッセージをお願いします。
開院からおよそ5年がたち、試行錯誤しながらもクリニックが成長してきたと感じております。これからも、「歯高歯善」の歯科診療を提供できるよう一人ひとりの患者さんに寄り添った丁寧な治療を大切にしていきたいと思います。また、「成長」を信条の一つに掲げる歯科医院として、精進を重ねていきたいです。より良い治療の提供を継続するためには、スタッフの働き方改革が必要なので、時短など働きやすい環境づくりも進めていきたいと考えています。地域の方々のお口の健康、豊かな毎日のために貢献する身近な歯科医院として、お口のお悩みや困り事は、どうぞお気軽にご相談ください。