あびる歯科クリニック (福岡市西区／姪浜駅)
阿比留 鉄 院長、阿比留 葉子 副院長の独自取材記事
福岡市地下鉄空港線・姪浜駅から徒歩3分のビル1階に、アヒルのマークが目印の「あびる歯科クリニック」がある。開業は2014年。陽気で親しみやすい阿比留鉄院長が一般歯科診療を、優しい笑顔が印象的な阿比留葉子副院長が小児歯科診療を担当し、日々患者と向き合っている。診療チェアは大人用2台、子ども用1台とこぢんまりとした歯科医院ながら、夫妻の人柄に惹かれ家族ぐるみで通う患者も多い。「当たり前のことを当たり前にできるような歯医者でありたい」という想いのもと、歯石取り、歯茎ケア、歯磨き指導など定期的な検診を重視する。そんな鉄院長と葉子副院長に、話を聞いた。
親子で一緒に、歯のメンテナンスを
お二人が歯科医師になられた経緯を教えてください。
【鉄院長】百道中学校から福岡県立修猷館高校へと進学。もともとスポーツ大好き人間ゆえ、スポーツ整形外科に興味があり、スポーツ選手の治療・リハビリテーション志望でした。しかし、歯科医師だった父の姿に感銘を受け、医学部から歯学部に方向転換をし、東京歯科大学に進学しました。卒業後、九州大学歯学部第2口腔外科に入局し、その後は実家の歯科医院を手伝ったり、さまざまな歯科医院で勤務医として修業をさせていただきながら研鑽を積みました。
【葉子副院長】「手に職をつけたほうがいいよ」という内科医師の父の言葉で理系を選択し、歯学部に入学しました。子どもに関わる仕事がしたいという小学生の頃からの夢もあり、小児歯科を専攻しました。九州大学歯学部小児歯科に入局し、さまざまな歯科医院へ出向いて勤務する中で、夫と出会ったというわけです。
開業されて10年目。どんな患者さんが多いですか？
【鉄院長】近隣にお住まいの方が多いですね。お子さんが定期検診を受けている隣で、お母さんも同時に歯石取りをしているというように、家族ぐるみで来院される方も多いです。一般歯科と小児歯科、2人の歯科医師がいるからできることですね。夫婦で治療にあたっていることが、患者さんの安心感につながっているように思います。
【葉子副院長】私が担当する小児歯科では、1歳半健診でかかりつけの歯科医院を見つけてくださいと言われるのをきっかけに定期検診で通ってくれる方が多いです。小さい時から定期的に来ていると、私の顔を覚え、診療チェアに寝転ぶことにも慣れているので、お利口に口を開けてくれるお子さんが多いですよ。
患者さんと向き合う時、どんなことを心がけていらっしゃいますか？
【葉子副院長】基本的に優しく接します。主導権はこちらが持ちますが、押しつけるのではなく、わかる言葉で説明し、治療に協力してもらえるよう導いていきます。低年齢のお子さまは、おうちの方にお手伝いをお願いすることがありますが、抑制治療はしていません。小児歯科医師なら誰もが神経を使うところだと思いますが、初めての歯科治療の印象を悪くしないことが第一。その子なりの達成感で自信につなげていきたいと思います。
【鉄院長】恩師の九州大学歯学部第2口腔外科学教室の名誉教授である岡増一郎先生に、開業する時に言われた「患者さんの目線で対等に接すること」を心がけています。また、母校東京歯科大学の建学の精神「歯科医である前に人間であれ」も座右の銘で、これらは常に心にとどめている言葉です。専門用語を並べ立てるのではなく、わかりやすく丁寧にご説明した上で治療にあたっています。
一般歯科と小児歯科、夫婦の息を合わせ患者と向き合う
診療方針についてお聞かせください。
【鉄院長】「一歯入魂・愚直に泥臭く・一途一歯」これらは、私が大事にしている言葉です。1本の歯に魂を込め、当たり前のことを当たり前にやっていきたい、そんな想いで日々患者さんに向き合っています。歯科の二大疾患である虫歯と歯周病に力を入れた治療を展開し、1本の歯より、丹念に治療してまいります。一番の目標は、患者さん自身の歯で一生ごはんを食べられること。そのためには、定期的なメンテナンス、トラブルが起こった時の早期治療、そして、ご自宅での丹念な歯磨きが必要になってきますので、ここの指導は力を入れていきたいですね。しかし、残念ながら歯を失ってしまったという患者さんにも、いろいろな方法があります。その方に合った治療法を提示していきたいと考えておりますので、気軽に相談に来ていただきたく思います。
一般歯科は、院長が担当されているんですね。
【鉄院長】大人の歯科治療全般を担当していますが、メンテナンスまですべて私が行うこともあります。私は歯科口腔外科が専門ということもあり、口内炎がなかなか治らない、悪性腫瘍じゃないかと不安に思い来院される患者さんもいらっしゃいます。そういう患者さんは、九州大学や九州医療センターなど大きな病院に積極的に紹介し、診察を受けていただくようにしています。調べて何もなければ、安心できますからね。当院のような“町の歯医者さん”はその窓口だと思っています。
小児歯科を受診する上で、保護者が心がけておきたいことはありますか？
【葉子副院長】お子さまへの前向きな声かけと、定期検診の大事さを意識していただけるとうれしいです。最近は初診の年齢が下がってきて、1歳台から検診に連れて来られる方が多いです。歯科医院が怖いところだと認識させないためには、おうちの方の「ここは歯をきれいにしてくれるところだよ」という声かけが重要です。先日、お子さんの定期検診で来られたお母さんに、「子どもに、『歯医者さんに行くよ』と言ったら『わーい！』と喜んでました」と言われたんです。小児歯科医師として、こんなにうれしい言葉はありません。時間がある就学までは定期的に来られるお子さんが多いのですが、小学生になると習い事等も始まり検診が途絶えがちになってしまうんです。無理をしない程度で構いませんので、長期休みごとにでも定期検診に来てほしいと思います。
美しく引き締まった歯茎をめざして
かかりつけの歯科医院を持つと、どんなメリットがあるのでしょうか？
【葉子副院長】一般歯科では、患者さんの歯を保つという目標、小児歯科では、健全な永久歯列の育成という目標に向かって、定期検診や治療を重ねていくわけですが、続けて診ていると、トラブルが起きそうだなという予測が立てやすいです。その情報を前もって患者さんにお話しできるので、早めに手を打つことができますね。生活習慣や生活のバックグラウンドを把握した歯科医師が、一人ひとりに合わせたアドバイスができる。それが患者さんにとって、かかりつけを持つ最大のメリットだと思います。
お忙しい毎日だと思いますが、お二人の趣味は何ですか？
【鉄院長】福岡県立修猷館高校時代、修猷大運動会で、筋骨隆々とした先輩方を見て闘争心に火がつきまして（笑）。今も趣味は筋力トレーニングです。昔からスポーツが好きで、高校野球やラグビーなどのスポーツ観戦、K-1に憧れキックボクシングをやっていたこともありましたし、現在も早朝ソフトボールチームに参加しています。高校野球で有名な“球道即人道”という言葉や、ラグビーで有名な“One for all, All for one”という言葉も好きで、診療においては、1本の歯はすべての歯のためという想いで日々取り組んでいます。その他音楽鑑賞など、多方に興味があり、患者さんとつい話し込んでしまいます。
【葉子副院長】院長も私も本当に患者さんといろんな話をするのが大好きで（笑）。私は中学2年生と高校3年生の娘と一緒に、大型テーマパークに行くのが何よりの楽しみ。みんなで500円玉貯金をしているところです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
【鉄院長】歯周病は、程度の差はあれ、誰もがかかる病気と考えていいと思います。放っておけば歯を失う原因になってしまいます。1～3ヵ月に1度は歯科医院で定期的なメンテナンスを受けてください。同時に、自宅での丁寧な歯磨きも欠かせません。いくつになっても美しく引き締まった歯茎を、患者さんとめざしていきたいですね。
【葉子副院長】初めて訪れる歯医者さんで不安に思うのは大人も子どもも同じです。泣いてしまう子と泣かない子では、表現が違うだけで、気持ちは同じかもしれません。慣れるまでの時間はそれぞれですが、おうちの方と一緒に来てもらうことが始まりです。お子さんの定期検診のついでに、隣の診療チェアで、お父さんお母さんも歯をメンテナンスしていかれませんか？ ご家族皆さんのかかりつけ医として、長いお付き合いができればと思っています。
