金子整形外科 (川崎市高津区／久地駅)
金子 修 院長、市川 亨 副院長の独自取材記事
川崎市高津区、JR南武線「久地」駅から歩いてすぐの医療モール1階に「金子整形外科」はある。診療開始時間前から多くの患者が待機している広い待合室を抜けて診察室に向かうと、金子修院長と市川亨副院長が迎えてくれた。終始笑顔の2人は、大学時代にボート部でともに汗を流した同級生でもあるという。はつらつとした印象の金子院長に、人当たりもソフトな市川副院長のコンビネーションの良さは、長い付き合いによって培われたものだ。開院から丸18年となり、多くの患者を診てきたそうだ。そんなクリニックについて、2人のドクターから話を聞いた。
同級生ドクターによるコンビネーションを生かす
開業のきっかけを教えていただけますか？
【金子院長】私自身、勤務医時代は「絶対に開業医にはならない」と思っていました。大きな病院で医療の第一線にいたいと思っていましたし、組織の中で後進育成にも興味がありましたから。それが開業を決意したのは、家族の存在によるものです。私の入局した医局は転勤が多く、家族との暮らしを安定させるためには開業の道しかないと思いました。仕事と家族を天秤に乗せたとき、やはり家族をより大切にしたかったというのが開業の直接のきっかけです。
【市川副院長】しばらくは金子院長がお一人で診療にあたっていたのですが、毎晩遅くまで仕事が続くような状況だったようで。私は大学病院や関連病院で勤務をしていましたが、「とにかく多忙だから助けてくれ」という声を聞き、2007年から「金子整形外科」に携わるようになりました。
お二人はどういったご関係なのでしょうか？
【市川副院長】大学の同級生です。ボート部の仲間で、今では40年以上の付き合いになります。
【金子院長】同門のドクターである市川副院長を迎えることができたのは当院にとって本当に喜ばしいことでした。絶対的な信頼を寄せているというのももちろんですが、一人では診ることが難しい症例や医院運営上のさまつなことなど、相談できる相手がいるというのは頼もしいことです。現在、リウマチの専門家として週に1度診療を担当してくれている倉林医師も同窓の先輩ですし、当院では病診連携にも力を入れているのですが、手術などが必要な患者さんを大きな病院にご紹介する際にも、同窓の医師を頼ることが多くなっています。やはり、信頼できる相手との連携が、現代の医療には不可欠ですから。
現在は3人の先生で診療を分担されているということですね？
【金子院長】はい。私の専門が腰痛や手足のしびれなど背骨に原因がある症状、市川副院長のご専門が腱鞘炎、テニス肘といった手の症状、さらに倉林医師はリウマチのご専門と、現在は3人体制です。医師の担当については、症状によることもありますが、基本的には患者さんのご要望を聞いています。私は症状改善に必要な生活上の注意など、結構厳しく指導するのですが、市川副院長は逆にソフトでマイルド。相性に合わせてお選びいただけているのではないでしょうか？
【市川副院長】専門分野もタイプも違う医師がいるということで、2つの医院が1つになったような感じかもしれませんね（笑）。
大病院では難しい「ここならではの診療」を追求
診療に際して、特に大切にしていらっしゃることは？
【金子院長】とにかくよく説明するというのが当院の方針です。医師は診察室でしか患部を診ることができませんが、患者さんは24時間365日症状と付き合います。症状改善には患者さんの「治そう」という意識と自己管理もとても大切なのです。そのためには症状や治療について、患者さんご自身がしっかりと理解していなければなりません。ですから、ご理解いただけるまで何度でも繰り返しお話しするようにしています。
【市川副院長】大きな病院では午後から手術が入っていたり、とにかく多くの患者さんを診る必要があったりと、それぞれの患者さんに時間をかけることが難しい現実があります。当院ではお一人お一人の患者さんに時間をとって、きちんと理解していただくまでご説明することを大切にしています。
「分かりやすい説明」のために、具体的にされていることはありますか？
【金子院長】お話をしても忘れてしまうという方も多いので、当院では専用の用紙を用意して図説したり、ご理解いただけるまで繰り返し何度でもご説明したりということを常に意識して行っています。
【市川副院長】話を聞くだけでなく、目で見ることで理解しやすくなるという患者さんは多いので、紙に書いて見せるということは特に意識していますね。レントゲン、MRIの画像をお見せしたり、血液検査などのデータもコピーしてお渡ししするなど、患者さんが理解しやすい形で共有するようにしています。
きめ細かな対応をされているのですね。
【金子院長】手術の必要な患者さんは大きな病院に紹介する必要がありますし、当院ではできないこともあります。しかし、逆に大病院では難しいことで「当院でしかできないこと」もあると思うのです。例えばリウマチなど整形外科分野には一生付き合う疾患も多くありますが、大きな病院では通院の都度担当医が変わってしまうというケースも少なくありません。いつ来ていただいても同じ医師が診察するというのは、当院のような開業医ならではのメリットなのではないでしょうか？
【市川副院長】確かに、大病院でできないことをやるからこそ、来ていただけているというところはあると思いますね。
分かりやすい説明で、患者主体の治療をサポート
どのような患者さんが多くいらしていますか？
【金子院長】開業して18年たちますが、これまで多くの患者さんに出会ってきました。近隣にお住まいの方で、祖父母から孫まで3世代、4世代にわたって通っていただいている方もいます。その一方で、インターネットなどで情報を見つけて遠方からはるばるいらっしゃる方も増えているように感じます。
【市川副院長】腰痛の治療や手の症状について、他院での通院結果に納得されず、他の選択肢を求めていらっしゃる方も多くなっているように思います。
他の選択肢を求めていらっしゃる患者さんにはどのような対応をされますか？
【金子院長】特別な対応をするわけではありませんが、わざわざ時間をつくって通っていただいているのですから、患者さんの時間を無駄にしないためにも、早く治そうという一心で日々患者さんと向き合っています。そのためには、医師任せではなく、治療の主役は患者さんであるというスタンスは欠かせません。
【市川副院長】整形外科領域では、いわゆる人間ドックや健康診断というものはありません。来院のきっかけとなった主訴を解決することはもちろんですが、検査する中でなんらかの不具合が見つかれば、その都度お伝えするようにはしています。
今後の展望をお聞かせいただけますか？
【金子院長】特別なことは考えていませんが、一人でも多くの患者さんと出会い、満足していただける診療を行っていきたいと考えています。私一人だけの力では限界がありますが、市川副院長を始めとするスタッフや、他院、他科との連携にも力を入れていきたいですね。腰や下肢の痛みや痺れには脳神経が関わることから神経内科などのドクターとはすでに協働を始めています。
【市川副院長】当院のような医院では、とにかく幅広い視点が求められます。水虫や皮膚炎など皮膚科領域の知識も必要ですし、内科の薬についても知識を持っている必要があるのです。患者さんのお困りに応えるジェネラリストとして、これからも常に新しい知識を取り入れながら、医師として成長を続けていきたいと思います。
