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横浜市立市民病院 石原 淳 病院長

こちらの記事の監修医師
横浜市立市民病院
石原 淳 病院長

みずぼうそう(すいとう)水ぼうそう(水痘)

概要

10歳以下の子どもによく見られる感染症で、正式には「水痘」、一般的には「水ぼうそう」と呼ばれる。全身の皮膚に痒みの強い水疱(水膨れ)ができてしまい、発熱を伴う。原因は、「水痘・帯状疱疹ウイルス」というウイルス。感染力がとても強いため、咳やくしゃみなどを通じた飛沫感染をはじめ、空気感染や接触感染によって広まってしまう。一人が感染すると、家族間はもちろん、保育園や幼稚園などでも一気に流行するといわれている。冬から春にかけてかかりやすい病気で、潜伏期間は感染から2週間程度。万が一、成人が発症した場合は、子どもよりも重症化してしまう可能性が高い。

原因

ヘルペスウイルスである「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因。感染力がとても強いウイルスのため、咳やくしゃみなどによる飛沫感染や、空気中に漂うウイルスを吸い込むことで感染する空気感染などで、あっという間に流行してしまう。つぶれた水膨れなどを直接触ることで感染する接触感染も少なくない。また、過去に水痘にかかったことのある人は体の中に水痘・帯状疱疹ウイルスが残っており、加齢やストレスなどによって免疫力が低下することで、「帯状疱疹」として再び発症するケースもある。

症状

子どもの場合、初期症状は発熱と発疹であることがほとんど。38度前後の熱が続く中、全身に紅斑(赤くて小さな発疹)がブツブツと現れ始める。この紅斑は胸やおなかを中心に、頭皮や足、顔、口の中と全身に広がるのが特徴。その後、1週間ほどかけて、強い痒みを伴う水膨れ、かさぶたへと変化していく。数日にわたって紅斑が次々と現れるため、紅斑や水膨れ、かさぶたが混在していることも多い。一方、大人の場合は、発疹の前から全身の倦怠感や発熱が見られることも。子どもと比較した場合、熱はより高くなり、発疹はより痒みが強くなることが多いといわれている。さらに重症化すると、脳炎や肺炎などを合併することもある。

検査・診断

発疹や発熱が見られた日や、発疹の出方、水膨れやかさぶたの有無などを確認した上で、診断を行う。一般的に、水痘は特徴的な症状が現れる病気として知られているため、ほとんどのケースは医師による問診と視診によって診断を確定することができる。まれに、重症化している場合など、必要に応じて血液検査やウイルス検査などを行うこともある。

治療

基本的には、自然と治っていく病気。そのため、治療としては症状を軽減させるための「対処療法」をメインに行うことになる。例えば痒みが強い場合は、抗ヒスタミン剤を使用。そのほか、細菌感染による化膿を防止するために抗生物質を用いたり、発熱に解熱剤を処方したりする。持病で免疫力が低下している場合や成人が発症した場合などは、重症化やほかの病気との合併などに注意しなければいけない。そのため、抗ウイルス剤を投与し、体内にてウイルスが増殖していくことを抑制する。また、細菌感染を防ぐために、皮膚はもちろん衣類や布団などを清潔に保つことも大事。そのほか、免疫力を上げるために栄養のある食事を取ることや安静に過ごすことも、治療のポイントとなる

予防/治療後の注意

予防には、水痘ワクチンによる予防接種が効果的。2014年10月より定期予防接種になったため、乳幼児は必ず受けること。水痘ワクチンによって体内に抗体ができると、その効果はほぼ一生続くといわれている。また、予防接種を受けておらず、周囲に水痘にかかった人がいたら、できるだけ接触の機会を避けることが重要。もしかかってしまったら、水膨れをつぶしたり、かさぶたをかきむしったりしないようにすること。場合によっては細菌感染を起こして化膿したり、痕が残ったりすることもあるため、注意しなければいけない。

横浜市立市民病院 石原 淳 病院長

こちらの記事の監修医師

横浜市立市民病院

石原 淳 病院長

島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。